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《2章迄完結済15万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第2章 限定カフェ編

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第23話 記念イベント後の5人

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挿絵(By みてみん)



夜八時。


学校や仕事を終えた人達のログインが増え始める時間帯。


LAST CHRONICLE ONLINE。


先月開催された五周年記念イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。


会場に足を運んだプレイヤー。


SNSで話題を目にした人達。


絶大なプロモーション効果があったのだろう。


ラスクロの勢いは止まることを知らなかった。


新規プレイヤーは増え続け。


古参プレイヤー達ですら、


「最近人増えたよな」


と実感するほどだった。


そんな賑わいの中。


今夜もいつもの時間がやってくる。


週一開催。


灼熱のイグニスレイド討伐タイムアタック。


その五人はいつも通り集まっていた。


アキ。


ハル。


拓郎。


貝類。


すい♡


五年間何度も共に挑んできたレイドボス。


巨大な炎竜イグニス。



「行くよ」


ハルの回復支援が飛ぶ。


前線へ飛び出すのはアキ。


巨大なハンマーを担ぎながら、一気に間合いを詰める。


振り下ろす。


轟音。


敵の注意を引きつける。


その隙に


貝類の銃弾が弱点へ突き刺さる。


正確無比。


無駄弾ゼロ。


イグニスの行先、拓郎が盾を構え、炎のブレスを受け止める。


そして


すい♡の鋭い矢が放たれ空を切る。


連続で飛ぶ矢がドラゴンの翼を見事撃ち抜いた。


飛行体勢を崩すイグニス。


その瞬間。


ハルがバフをかける。


アキが高く飛ぶ。


貝類の照準。発砲。


すかさず、すい♡が追撃。


まるで呼吸するような連携だった。


五年という時間が作り上げたチームワーク。


もう言葉はいらない。


誰がどこにいるのか。次に何をするのか。


分かる。


それが当たり前だった。


激しい戦いの末


大きな咆哮。


そして。


ドラゴンの巨体が崩れ落ちる。


【CLEAR】


画面中央へ文字が浮かび上がる。


続いて。


【暫定ランキング3位】


まずまずだ。


悪くない。




アキ

『おつかれー』


拓郎

『お疲れ様でした』


貝類

『おつ』


ハル

『おっつ!』


すい♡

『おつかれ様』




いつものチームチャット。


5人が初めて顔を合わせてから2週間程が経過したが


男性陣は特に変化がない。


問題は女子陣だった。


誰が見ても分かるレベルで変わっている。




ハル。


以前は丁寧な敬語。


顔文字多め。


ふわふわしたチャット。


しかし今は。


完全にリアル陽奈だった。




そして。


一番変わったのはすい♡。


見た目は五歳児。


しかし中身は完全に乃村実莉。


♡がない。愛嬌もない。妙にキレがある。



『……やっぱ違和感半端ないな』


そんなふたりの様子を見ながらアキが言う。



『この五人しか見えないチームチャットで装う理由がない』


ハルが正論をかます。



『同意見』


すい♡が短く同意する。


その横で岩石のような筋肉を纏った老人拓郎。


『…前の方が良かったですよ♡』


以前までのすい♡のチャットを真似る。


絶対真顔で打っている。


『お黙りなさい』


即座に反応するすい♡。


幼女が言うから怖い。


『怖』


貝類が反応する。


『あなたも黙りなさい』


すい♡が言う。


その時だった。


チームチャットの外。


ダンジョンチャットが流れる。


『アキーーーー!』


『かっこいいーー!!』


『すきーー!!』


『岩石おじいちゃーーん!!』


賑やかだった。


『……また増えてない?』


ハルが呆れながら観客数を見る。


イグニスレイドには観戦システムがある。


他チームの攻略をリアルタイムで見られるのだ。


元々人気コンテンツだった。


以前も見学に来るプレイヤーはいた。


チラホラ程度。


だが五周年イベント以降。


明らかに観客数が増えていた。


理由は簡単。




『ネットに上がってた武闘大会デモンストレーションの動画』


『まだ消せてないの?』


アキが拓郎に聞く。


デモンストレーションは撮影禁止だったのだが、


かなりの観客数だったため、


完全には動画撮影を防ぎきれていなかったようだ。


なんせあの盛り上がりだ。


動画が出回らないわけがなかった。


『ええ』


悪びれる様子もなく拓郎が答える。


『最善は尽くしたのですが』


『消しても消しても増えるので』


『今はラスクロを知っていただく良いきっかけとして活用する方向へ切り替えました』



『開き直った』


すい♡が拓郎を見る。



『プライバシーもひったくれもないな』


そう言いながらも。


アキはハンマーを肩へ担ぐ。


そして。


観客席へ向かって手を振った。



『きゃーーーーー!!』



歓声。


『満更でもなさそうなのがムカつくな』


そんなダンジョンチャットの様子をみて、


ハルが白い目を向け、続ける。


『女子にモテるのダルいから女キャラ使ってたんじゃないの?』



『もうこうなった以上』


『ハーレム楽しもうかなと』



そう言ってアキが投げキッスエモート。


完全に面白がっている。


『きゃぁぁぁぁぁぁ!!』


『あざとぉおおおい!!』


黄色い歓声。


『こいつとことんウザいな』


ハルが呆れる。



しかし。


そんな中。


一人だけ変わらない男がいた。


……貝類である。


イベントで顔を合わせた時。


全員が思っていた。


絶対チャットうるさくなる。


絶対キャラ崩壊する。


……と。


だが実際は。


予想に反して、貝類は変わらなかった。



『おつ』


『了解』


『いく』


『ナイス』



相変わらず短文。単語。


必要最低限の会話しかしない。



ちゃんとキャライメージ守ってるな……


いつメン全員が感心していた。



陽奈もその一人だった。


陽奈の住むアパート。


今日は珍しく晃は来ていない。


そのため、自室のベットの上で一人


ゲーム画面を眺めている。



……海斗。



ゲームと現実をしっかり分けるタイプなのだろうか?

……そうは見えなかったけど。


リアルの海斗を思い出す。


よく喋る。


距離が近い。


笑う。


からかう。


すぐ女子を口説きそうな勢い。




でも。


画面の中の貝類は。


相変わらず無口だった。



陽奈は違和感を抱えながら今日も貝類を眺める。


ただ眺めるだけ。



もし今ここに晃がいたら。


絶対言う。


ニヤニヤしながら。


『今日は貝類に個チャ送んないの?』


そう。


五周年イベント以降。


ハルから貝類への個人チャットは明らかに減っていた。



三月二十一日。


あの日から二週間程が経過した。


顔を合わせたのは5周年記念イベントの一度きり。


もう普段通りに戻ったはずなのに。


ゲームも。


日常も。


何も変わっていないはずなのに。



気付けば


五人の関係は少しずつ確実に


あの日以前から変化しつつあった。

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