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《3章迄完結済17万文字突破!》リアルとゲームのギャップが凄いが何故か絵になる美男美女  作者: 小春日和
第1章 5周年記念イベント編〜5人が出会うまで〜

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第19話 初めまして

休憩スペース


イベント会場の一角。


ベンチとテーブルが並ぶ休憩スペース。


武闘大会やリアルレイドの歓声が遠くから聞こえてくる。


そんな中。


向かい合う二人の男女は、完全にゲームの世界へ戻っていた。


スマホを横向きに持つ。


真剣な顔。


「すい、そっちのドラゴン倒して」


「おっけ」


「こっち討伐終わったから後で宝箱回収しといて」


「了解」


淡々としたやり取り。


まるで普段の夜だった。


いつもと違うのは


二人が現実で向かい合っていることだけ。


身バレしてから数十分。


少し前までなら考えられなかった。


外出先で。


しかも隣にギルドメンバーがいる状態で。


堂々とラスクロを起動している。


実莉はふと苦笑した。


「変な感じ……」


「なにが?」


晃が視線を画面に向けたまま聞く。


「外で普通にゲームしてるの」


「今まで絶対無理だったから」


「あー」


晃が頷く。


「すいってそういうタイプだもんね」


「そういうタイプって何」


「警戒心MAX」


「否定できない……」


そんな会話をしていると。


ピロンッ。


晃のスマホが鳴った。


「あ」


画面を見る。


晃がスマホを縦向きへ戻した。


「姉ちゃんだ」


実莉がちらりと覗く。


『今どこ?』


晃が返信する。


『実莉と休憩スペースいる』


数秒後。


返信。


『あーおっけ!向かう!』


さらに。


『ほんと疲れてるから席確保しといて……』


晃は思わず笑った。


「姉ちゃんらしい」


「どしたの?」


実莉が聞く。


「姉ちゃんもこっち来るって」


「そか」


実莉もゲームをログアウトする。


スマホを縦向きへ戻した。


その様子を晃が見ていた。


「……まだ怖い?」


「え?」


「身バレ」


少し間。


実莉は苦笑した。


「少しね」


「まあ最初はみんなそうじゃない?」


「そうかな」


「そうだよ」


晃はあっさり言う。


「絶対大丈夫」


「なんで言い切れるの」


「俺の姉ちゃんだから」


謎の説得力だった。


実莉は思わず笑う。


「なにそれ」


「ほんとだって」


そう言った直後。


遠くから声が響いた。


「あ!いたーーー!!」


聞き慣れた声。


陽奈だった。


二人同時に顔を上げる。


そして。


固まった。


「「え」」


陽奈がいた。


それはいい。


問題はその隣。


当然のように歩いている男だった。


高身長。


栗色のパーマ風の癖毛。


長い睫毛。


整いすぎている顔立ち。


欧州を思わせるハーフ顔。


黒いシャツ。


首元のシルバーネックレスがキラッと光る。


足が長い。


顔が良い。


とにかく顔が良い。


そして…


やたら陽奈との距離が近い。


当たり前みたいに隣を歩いている。


「あ、ホワイトドラぴこ!」


陽奈が机から顔だけ出ているぬいぐるみに気付く。


「いいなー!ゲットしたんだ!」


「そういうひちゃも……」


晃が男を見る。


「…なんか凄いのゲットしてるようで」


「初めましてー」


男がひらひら手を振る。


「なんか凄いのでーす」


どうも。


晃は軽く会釈した。


そして思う。


(やっぱ姉ちゃん一人にさせるとロクなもん連れてこねぇな)


頭を抱えた。


「ほんと……」


陽奈が疲れた顔をする。


「私もこんな予定じゃなかったんだけどね…」


そう言いながら。


隣の男を指差した。


「紹介します」


一呼吸。


「海斗さんです」


そして。


続ける。


「……貝類さんの中の人です」


「「え」」


聞きなれた名前の登場に、晃と実莉が固まった。


数秒。


沈黙。


晃が衝撃で震える指をゆっくりと海斗に向ける。


「こ……この人がひちゃの片思――」


バシッ。


陽奈の手が飛ぶ。


晃の口を完全封鎖。


「むぐっ!?」


「一旦黙ろうか晃くん???」


ニッコリ。


怖い笑顔だった。


「仲良いねぇ」


そんな姉弟の様子を見た海斗が笑う。


完全に面白がっていた。


「ひなちゃんから聞いたよ、君がアキか」


「秋と春って名前似てるとは思ってたけど」


「まさか姉弟とはね!まあ性別も驚いたけど」


どもっす、

口を塞がれたまま、晃が軽く頭を下げる。



そんな中。


陽奈は実莉を見る。


「ごめんね実莉ちゃん」


「完全に身内ネタなんだけど」


「この人も私たちの知り合いなの」


「いや、それなんだけど」


晃が言った。


やっとの思いで陽奈の手を引き剥がしながら。


チラッ


実莉を見る。


無言。


だが意味は伝わる。


実莉は深呼吸した。


立ち上がる。


そして深く頭を下げた。


「あの」


「黙っててごめんなさい」


「え!?」


突然の出来事に


陽奈が丸メガネの奥の目を丸くする。


「どうしたの!?」


実莉は少し迷った。


でも。


ここまで来たら隠す意味もない。


「さっき」


「二人のキャラの名前聞いたのに」


「私だけ言ってなかったから」


緊張する。


心臓がうるさい。


だが。


覚悟を決める。


「私」


顔を上げる。


「すいです」


沈黙。


「「え」」


今度は


陽奈と海斗が固まった。


数秒後。


陽奈が吹き出した。


「ふふっ」


そして。


肩を震わせる。


「そっかぁ」


嬉しそうだった。


馬鹿にする笑いじゃない。


ギャップを笑う笑いでもない。


張り詰めていたものが切れたような。


そんな笑いだった。


「なんかさ」


陽奈が言う。


「五年も一緒にゲームしてたのに」


みんなを見る。


晃。


実莉。


海斗。


そして。


笑った。


「全員思ってたのと違うね」


沈黙。


そして。


「それな」


晃。


「否定できない……」


実莉。


「ほんとそれ」


海斗。


全員一致だった。


次の瞬間、四人同時に笑い出す。


イベント会場の喧騒の中。


五年間一緒に遊んできた仲間達は


ようやく本当の意味で顔を合わせたのだった。

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