2.知識とは
前述した内容を、少しおさらいしておきたい。
旧車バイクを購入するのは、あくまで個人の自由だ。
しかし、そこに最低限の知識がなければ、それはただの面倒な乗り物へと変わってしまう。
そして最終的には、倉庫に眠るただの鉄の塊になってしまうことも珍しくない。
では、旧車バイクを購入した後、実際にどのようなことが起こるのか。
いくつかの事例を挙げていこうと思う。
まず一つ目。
旧車専門店で購入するケースだ。
バイクに限らず、商売は売上がなければ成り立たない。
その前提を踏まえたうえで言うが、旧車市場においては、需要と供給のバランスが大きく崩れている。
理由は単純だ。
古いからである。
古いものに高値がつく場合、それは骨董品や名のある芸術作品のように、唯一性や歴史的価値が伴うものだ。
しかしバイクはどうだろうか。
古いバイク=部品がない。
つまり、乗るためには修理を前提としなければならない。
この時点で、それは「飾るもの」ではなく、「維持し続ける必要のある乗り物」になる。
では、その維持はどうするのか。
同じ車種をもう一台購入して部品取りにするか、
あるいは流用できる部品を探し、加工して取り付けるか。
どちらにしても、それなりの金額と手間がかかる。
そして、もっとも簡単な方法がある。
“その場だけ調子よく見せる”ことだ。
納車前整備された車両は、セル一発で始動し、吹け上がりもよく、一見すると絶好調に見える。
知識のないまま憧れだけで購入した人間は、それを信じ、高額な金額を支払う。
そして後に、現実を知ることになる。
この手の話は、決して珍しくない。
二つ目。
オークションサイトで購入するケースだ。
これは、たとえ知識があったとしても、非常にリスクが高い。
なぜなら、整備や点検はおろか、現物確認すらされていないことが多いからだ。
いわゆる「現状渡し」というやつである。
仮に運よく、走行に問題がない車両を手に入れたとしても、それで終わりではない。
バイクは壊れることを前提とした乗り物であり、車以上にメンテナンスに費用がかかる。
では、故障した場合どうするのか。
オークションで購入したバイクを近くのバイク屋に持ち込んでも、断られるケースは少なくない。
理由は単純で、状態が不明確すぎるからだ。
どこが壊れているのか。
部品は正規のものが付いているのか。
過去の所有者がどのような整備や改造をしているのか。
そうした不確定要素が多すぎる車両は、店側にとってもリスクが高い。
結果として、対応してくれる店を探すだけで苦労することになる。
場合によっては、県をまたがなければ見つからないこともある。
「安く買える」ということは、「何かしら問題を抱えている」ということだ。
それは、当然の話でもある。
この二つが、安易に旧車へ手を出し、乗ることを諦め、手放すに至る典型的な流れだ。
購入店に持ち込めば高く買い取ってもらえる――
そう考えて持っていく人もいるだろう。
しかし、そこで提示される査定額に驚くことになる。
ここまでが、安易に旧車バイクに手を出した人間の現実だ。
では、どうすれば安心して旧車バイクを購入できるのか。
その話は、また次回に書こうと思う。




