9話 最悪なパーティー1
昨日はまさか浄化が僕の”異空間”に通用するとは思わなかったな。それにしても平民の聖女様ってだけあって人気はあるのか。僕とは大違いだね。人気者が僕を救うって決めたのが驚きもあるけど、普通におかしくない? まぁ僕には関係ないからいいんだけどね。
いやあるのか。だって普通に僕の部屋まで入って来ていた訳だ。コレは何か対策を立てないと僕が追い詰められていくかもな。空間が違うはずなのに浄化の光が”異空間”を包んだ訳だしねぇ。フィー先生にでも意見を聞いておこうかな。
向こうは貴族達に教えているから聞ける暇があるかどうかなんだけどね。ちなみに平民の教師陣も普通に優秀なのでこのままでもいいと思っている。わざわざ貴族側に移転したいなんて思える筈がないじゃないかな。
「まぁ聖女様って胸小さいよな」
「・・・」
「おい、聞いてるのかよ。ブラザー」
「誰がブラザーだ!!」
「俺はアレンだ。いつか勇者になる男だ」
「あっそ」
「冷たいな」
そんなことよりも聖女はランク的にもっと上のクラスになってもいいと思うのだが一体何が原因でこのクラスにいるんだ? 平民と貴族ではクラス分けの条件が違うのか? 誰かに嵌められたって可能性もあるのか。気にする必要はないだろうけど気にしておかないとね。
相手は僕を救うって決めた聖女様だし、雑に扱いでもしたら神様に罰を与えられるかもしれないから。あの子は何を思ってあそこまでやる気を出しているのかが気になるよ。僕であればあんなのはやりたくないしね。
「皆さん、座ってください」
「来ちまったか。じゃあな、相棒」
「誰がじゃい」
「皆さんに伝えないといけないことがあります」
「先生に彼氏が出来たとかぁ?」
「違います。ダンジョン探索は皆さん強制参加で、2日後に決まったってことです」
ダンジョン探索が2日後にねぇ。何かきな臭いがまぁいいか。誰かが何かを企んでいるってことは分かるけど、僕を巻き込んでする馬鹿は居ないだろうしね、出来ればダンジョン探索は一人でやりたいんだけども無理かもね。
あの森にもダンジョンはあったがその辺のモンスターとは違い、ダンジョン内では繁殖がない。ダンジョンが勝手にモンスターを生み出し、それが倒されるとアイテムがドロップする。ステータスに運の項目がないのはダンジョン以外では役に立たないからだ。
まぁ武器やアクセサリー、防具のスキルに幸運が付いている時があるからソレを利用する。ダンジョン探索は面倒なこともある。それは層があることで、ダンジョンコアがあるとされる最深部は”異空間”と言われている。
大昔にただ一人が辿り着いたとされる場所。歴史上一人しか到達出来ていないことにより事実なのかが分からず仕舞いだ。まぁそもそもダンジョン内が別世界って感じがするけど、ここと同じ時間の流れ方するので亜空間って感じだね。
「本日はパーティーとの顔合わせになります」
「貴族様と同じパーティーを組まないといけないんですかぁ?」
「はい、バランスを考えた上で決めています」
「監視役は?」
「コレを使います。最新の魔道具です」
ドローンみたいなものが出てきた。アレで配信するって感じなのか。1パーティーに付き1台って感じだろう。はぁ……それはいいけど、僕が何かしないといけないって考えるだけで面倒だなぁ。出来れば組んでも何も影響がない人達でお願いします。
僕は決めたんだよ、神は殺す。どうしてよりによってこのパーティーになったんだよ!? 僕が前世で何をやったというんだ。ただ一生懸命に働いて過労で死んだってだけなのにさ。こんなのはあんまりではないでしょうか?
「俺はレオン・ゲルハーツだ。王太子だが無礼講でいこう」
「ミア・アーベルトです」
「公爵家のアミル・デミアルですわ」
「よろしくお願いします。デロアです」
「えっと異世界の勇者の吉沢湊。ミナトでいい」
「私は聖女のエレン・グリーグ」
「アレンだ。よろしく」
「アデル・アグールです。よろしくお願いします」
コレで神を殺さないって思わないだろ? このパーティーを考えた奴は今すぐに出て来い。絶対にバランスがおかしいって。何故に聖女様が二人もいるんだ!! アレなのかよ、勇者と聖女はセットですからってか。アホか。
あまりに馬鹿げているから帰ってもいいかな。このパーティーのメンバーに入る僕ってアレなのかねぇ。かませ犬的なポジションなのかなぁ? 弟のアデルもいることだしさ、このままじゃ殺される可能性だってあるのに。講義してはダメかな?
「アデルの兄よ、貴様だけだぞ?」
「はぁ……デオルです」
「あら、それだけですの?」
「・・・Plvは1なので荷物持ちだけさせていただきますね」
「むっ……我々が行くのは50階層だぞ」
「ソレは無理です」
「殿下、兄は足手まといになりますので外しましょう」
アデルくんナイスだ。あまりにもナイス過ぎて飴をあげようかと思ったくらいだよ。1~15階層は上層と呼ばれる初心者向けの場所だ。16~45階層は中層で、難易度が上がるがまぁC.Bクラス以上が入れる階層だ。46~70階層が下層と呼ばれる。
下層はA.Sランク以上でパーティーも最低でも全員Aはないと入ることは許されない。下層は70までとされているが、実際はそれ以上あるとされている階層だ。その下は深層、深淵層…………そして”異空間”とされている。深層すら今いる者達は到達出来ていない。
「いや、このメンツでいく」
「レオンくん、それは危険だ。彼は別のチームに入れてもらおう」
「ミナト、アデル。貴様らは何を見ておるのだ?」
「殿下、兄は絶対にパーティーに入れるべきではないです」
「アデルくんの意見には賛成だ」
「私は勇者様に従います」
「俺も賛成だね」
「私も4人に賛成です」
「ふぅ、すまぬな。デオルよ。貴様の実力が見抜けぬ奴らが多くて」
マジかこの王太子様。普通に僕のことを分かっていやがる。アデル、デロア、ミナト、アレン、エレンは見抜いていない判定して言ってきたな。王太子、公爵令嬢、ミア嬢は見抜いている枠に入れるしかないか。王太子にこんなことを言われたらな。
しかも普通に僕をこのパーティーに入れるままで進めようとしているし。おそらくは勇者様やその他に対して品定めしているな。いやなくらいに面倒で仕方ないタイプだな。これなら従う方が何かといいかもしれないな。
「俺は貴様が居てくれたら助かるがな?」
「降参するのであまりそういうことは言わないでください」
「うむ、決まりだ」
「待て納得できない。彼を危険にさらす訳にはいかない」
「なら貴様が守ればいいだろう? もっとも俺らの方が足手まといだと思うが」
「・・・分かった。彼は僕が責任を持って守ろう」
えぇ……勇者様に守られたくないんですがぁ。あと怖いので思いっきり睨むのはやめてくれませんかね? 聖女様のエレンさん? 僕ではなくてレオン殿下に言ってほしいですよ。僕は教師陣に言おうとは思っていたさ。だから許してよ。はぁ僕は巻き込まれただけっていうのに。
最悪なパーティーだよ
~レオン視点~
あまりに愛いではないか。助けてくれた時と何も変わっていない容姿に性格で居れたらどうしても欲しくなってしまうな。兄上にはあのエルフ教師をくれてやるからコヤツだけでも貰えぬかを聞いてみることもアリだな。
兄上がもしあのエルフを堕とせたらだが……無理であろうな。兄上には期待など一切していないがまぁ自滅してくれるであろう。デオルを狙っているのであればエルフも◆◆◆も動くであろうから死は避けれぬな。
「レオン殿下、楽しそうですね」
「貴様は反対しなくて良いのか?」
「あら気が付いてないとでもお思いで」
「うむ流石だ。デミアル公爵家は優秀であるな」
「ありがとうございます。婚約者を見繕うと思っておりますが……」
「やめた方がよいぞ? 警告だ。意味は分かるな?」
婚約者は何も言わずに頷き、少し距離を開けた。うむ、流石によく出来過ぎている気もするのだがよいか。それもまた愛いな。俺は何もかも愛いのだから愛でるのは当然である。それが楽しくないわけがないのに、よく確認をとるな。
父上も俺の性格をよく分かっておられるな。流石と言ったところだが、アグール家のご令息はよくないな。俺のことを観察出来てなさすぎるが、あのアーベルト家令嬢はいい線をいっている。今後に期待と言ったところであろう。
アレンとデロアか。まだまだ経験が足りておらぬが、デオルを心配しておることは分かる。堕落貴族と呼ばれ嫌われている者からすれば救いになるのかもな。だが実力を見抜けておらぬからダメである。まぁ論外がおるからいいだろう。
異世界の勇者、ヨシザワは貴重だがソレだけだ。心技体が全くできておらぬのに、よくもここまで生き残て来れたモノよ。聖女、グリーグ家令嬢は愛でる気も起きぬな。何も自分の意思がなく才能に胡坐をかいておる。そう考えるとな__
「貴様はすごく愛いな」
「どこからか気持ち悪い視線が……気のせいか」
むぅ、気持ち悪いとはな。




