10話 ドワーフ工房1
はぁあんまりじゃないか。何がお前に渡す武器はないだよ。どこの鍛冶屋も何も売ってくれないっていよいよコレを頼るしかないのかな。パーティーの顔合わせが終わった後、時間があるので武器をや食料を買いに来たんだけど、鍛冶屋は一切何も売ってくれなかった。
王太子におすすめの鍛冶屋を教えてもらったのだけど、ここもダメだろうねぇ。コレがダメだったら僕が作った武器でいかないといけなくなるからソレはやめておきたい。すぐに壊れるようなものだし、あまり使いたくない。一撃で壊れてしまうからね。
「ここか。ドワーフ工房ね」
武器を売っているのかが怪しいんだけど、まぁいっか。勇者が守ってくれるって言っていた訳だしね。此処が無理だったらそれでいこう。アデルには色々と言われそうだけどね。紹介してくれたから王太子に何かお土産を買っていこうかな?
やめておこうか。あの人は僕を見る目が何故か怖かったしなくても問題はないだろう。まぁお礼だけは言っておかないといけないか。それにこんな招待状ももらった訳だし、何とかなるでしょう。頼むから門前払いはしないでほしい。
「失礼します」
「坊主、冷やかしなら帰__おい、何者だ?」
「デオル・アグールです。武器を買いに来ました。あとコレ」
「・・・レオンのガキの字だな。それに……」
ダメなら早く言ってほしいんだけど、何も言わないってことは勝手に見て回るか。出来れば自分だけの武器を作ってくれるような職人を探したかったけど、名前を言うだけで締め出されるから無理だね。実家の町でも無理だったしねぇ。
工房って書いているだけ色々と揃えられそうだ。冒険用のカバンすらない訳だしここで買っておくことにしよう。あぁ冒険者ギルドにも色々とあるらしいけど、カードがいるから無理なんだよね。無理だから探していたけど、惨敗って笑えねぇ。
「坊主、コレ抜いてみろ」
「投げるのはなしじゃないですか!!」
「ふんっ! いいから抜け!!」
ドワーフは背が低いってことで有名な筈なのに普通に高いし、髭生えてないしイケメンだし、ムカつくな。にしてもコレって刀だよね? 僕が知っている刀とは少し違うみたいだけど、ほとんど変わらないけどなぁ。抜けって言っても魔道具付いてるじゃん。
確かコレって普通に抜けないやつだね。おそらくは僕を試しているんだろうけど、魔道具は過剰な魔力を流されると壊れる。まぁそんな魔力はないからみんなしないだけで僕は出来るがやらない。修理費を請求されたら僕は払える自信がないからだ。
「どうした? 抜かないのか?」
「無理ですよ。魔道具が付いているでしょ」
「ついてこい」
ドワーフについて行くと店の裏に着いたおそらくは試し斬りが出来る所みたいだけど、綺麗にされているな。ただ藁だけだ。新品みたいに綺麗だけど、床には血痕があるからヤバいことが起きたので間違いないだろうな。
「魔力を流してみろ」
「魔力を?」
「あぁそうすれば抜けるようになるようになっている」
「登録したのですよね?」
「仮登録はすでに済んでいるからやれ」
いつの間にそんなことしていたのかが気になるが相当な腕前なんだろうな。僕に何も気付かせずに魔力を登録してこの刀を抜けせるようにしたのは。罠かもしれないけどもやれることだけはやるかぁ。刀に魔力を軽く流して抜く。
鞘からは抜けたがこの後、どうしたらいいのかが分からない。けど綺麗な波紋をしているが妙な気配がするのは僕だけなのか? この刀は妖刀とかの部類ではないといいんだけどねぇ。まぁそんな危ないモノがあるような所を紹介する訳ないですよね。
「どうだ?」
「妙な気配するんですが」
「だろうな。それは妖刀だ」
「藁を斬っても?」
「斬れるモノならな」
妖刀の噂を聞いたことはある。刀自身が主として認めないと腕を持っていかれるとかな。まぁそんなことはなかったし何も問題はない。噂が本当かどうかなんてどうでもいいが、コレは命を奪うための道具で使い方を間違えると自身の命も取られる。
だから集中しないとヤバい。まずは普通に藁を斬る。すんなりと斬れるからびっくりだ。次は納刀からの抜刀、本当に切れ味が抜群過ぎるなぁ。全く力を込めていないのにここまで斬れるとは驚きだね。これがほしいわけではないから選ぶ気なんてないけどね。
「どうだ。気に入ったか?」
「別のでお願いします」
「何故だ!? 俺の最高傑作だぞ!?」
「いりませんし、安いのでいいんですよ」
「お、あ、マジか。頼むからもらってくれ」
「えぇ……何故です?」
「話せば長くなる」
とのことだったので店が一時休業ということにして自宅に招かれた。そこでこの刀にまつわることを聞いた。話の半分は分からなかった。だって、コレは妖刀として作ったがあまりに使い手がいなかった為、ずっと飾られていただけなのだそう。
まぁこの妖刀自体が認める主がいなかったから使おうとするもの全てを斬ったらしい。うわぁ……怖いな。
まぁ仕方ないけどさ、それは知らないし僕がもらうってことにはならないからね。このドワーフに何か条件を飲んでくれないとこの危険な妖刀は貰えないしね。出すならどんな条件がいいかな? 何かいい条件があるといいんだけど……武器を作ってもらおう
「この刀はいただきますが、代わりに武器を作ってください」
「おう。どんなのでも任せろ」
流石はドワーフだな。いい返事してくれるのはありがたい。まぁこの武器が作れるかは分からないからあまり期待はしておかない。ドワーフに設計図を見せたら固まった。絵か字が汚すぎたのかもしれないなぁ。フィーに見せた時も反応は同じだったしな。
「坊主、コレは?」
「武器ですが」
「形は武器だし、変形できるのも確かにあるがコレは……」
「何か問題がありますか?」
「大アリだ。何を狩るつもりだ!!」
いや特に何かを狩る予定はないけど、便利だと思って設計したんだけどそんなに変なのか? 通常形態は剣で、弓や鎌、槍、盾やレイピア、大剣などに変形するようで設計したんだけどなぁ。まぁ無理なら別にいいんだけど。
そもそも素材自体は揃えてあるけど数がないから失敗出来ないしドワーフがこうゆうのであれば止めておいた方がいいか。まぁ無くても困りはしないからねぇ。僕は”異空間”ってのがあるからいくらでも収納は出来る。
「いいか。この血鉄ってのは文字通り血で出来ている鉄だ」
「はい知っています」
「ならお前が作りたがっているのはソレを大量に使うんだ」
「はい」
「血鉄は希少なんだぞ。あのオリハルコンよりもな」
まぁそうでしょうね。そもそも血鉄はモンスターから摂れる鉄だしね。吸血モンスターの中には血で鉄を生成するのが居て、その作ったのは体内に溜めておく生態を持ったモンスターでしか入手できない。僕はソレを自分のだけで作った。
製造方法は秘密だが相当苦労したし、フィーに物凄く怒られたのでもう作ることは出来ない。まぁ1tは出来たから良かったけどね。自動再生のスキルが無ければ死んでいたほど無謀なことしていた自覚があるから怒られても仕方ない。
「素材がそもそもでないんだよ」
「これならいけますか?」
「血鉄にエンシェントドラゴンの鱗と牙!? あと爪もあるな」
「他にも色々とあります」
「待て待て作ってやるから待てアホが!!」
「痛い!?」
頭を打たれた。親父にも打たれたことな__いやものすごくあるわ。まぁ作ってくれるってことだし一旦ストップしますか。まだまだ素材はあるんだけど。




