11話 ドワーフ工房2
「坊主、いいか? 貴重な物をぽんぽんと出すな」
「普通に採れますが?」
「アグール領にいるんだよな?」
「はいそうです」
「ってことはエンシェントドラゴンもいるんだよな?」
「いますね」
黙ってしまった。だって僕はあそこで今まで生活していたんだから仕方ないじゃないか。普通に強いモンスターがうじゃうじゃといる森でどうにか生きないといけないと思って色々と試行錯誤したんだよ。結果、大量の素材が余りました。
フィーに売ってもらったけど流石に量が多いと色々と疑われる可能性があったからね。ある程度しか買い取ってもらってないんだよねぇ。スローライフってのも憧れがあるからやってみたいとも思っているし、いらないことを探られたくないんだよ。
「今日は帰れ。その刀は持って帰れよ」
「待って、冒険用に色々ほしいんです」
「メモを書いとけ。で明日また来い」
「ありがとうございます」
僕はメモを書いてドワーフに渡してから出た。いやぁ……満足だ。まさかの日本男児が憧れる刀が手に入るとはね。まぁ妖刀だから嬉しいけど少し微妙ではあるけどもコレはこれでアリだ。明日来ればカバンも手に入るしねぇ。
料金は払っていないけど、何も言われていないし問題ないか。扱いに困っていた物を僕がもらい受けただけだからねぇ。ダンジョンと森の中で試し斬りしたいんだけど、許可がいるんだよね。日本で言うところの狩猟免許って感じのが。
あの森でバンバン狩っていたから今更だけどもここではしっかりとしないと捕まるからね。冒険者ギルドカードがあれば良かったんだけどなぁ。アレは身分証明にもなるんだよねぇ。別の国に行くときにいるんだよねぇ。アレ。
まぁ他にもギルドはあるらしいからそれでもいいんだけど、ノルマが厳しいらしいから冒険者でいいかな。商人ギルド、暗殺者ギルド、奴隷ギルド、漁業ギルドがある。この四つは所属しても意味がないからなぁ。特に暗殺者ギルドはよくない噂があるらしい。
「僕と同じで危ない人ってことだね」
(だから関わる人々に厄災を振りまくんだよ)
今、外套を着たアサシンっぽい人がいたけど、今の方向ってまさか……ドワーフ工房。僕に関わる者に対して辺境伯が何かするのであれば先手を打たないといけないんだが、間違いであってほしい。けど嫌な予感がするから急いで戻ろう。何もなければそれでいいから。
~ドワーフ視点~
全く今日は変な客が来やがったな。おかげで俺の最高傑作が主を見つけたのだから良しとするか。あとでじっくりとこの設計図を見ないとな。ガキらしく下手で理想だけを詰め込んだモノをな。色々と素材は貰っちまったし、頑張らねぇとな。
「まだやっているかい?」
「いらっしゃい。紹介客以外はお断りだぞ」
「元王宮の鍛冶師、ドワーフであっているか?」
「あぁ……俺のことだが」
「デオル・アグールとも仲良くなったな?」
「てめぇは一体何がもく___ガハッ⁉」
警戒していなかったわけでもないが、いきなり俺のことを蹴とばすか。しかも相当重い蹴りを喰らっちまった。こりゃぁ左腕の骨が折れちまっているな。ここは反応出来たことを素直に褒めるべきだな。じゃなきゃあ俺は死んでいたぞ。
暗殺者ギルド……って訳ではなさそうだな。俺は悪人ではないからアイツらが殺そうとしてくる可能性はない。そうなると別の奴らが寄越してきた暗殺者ってことになるな。しかもあの坊主の名前を出してきたってことは、アイツの親父か。
「客と店主と言え」
「暗殺者が……そんなことを、言ってもいいのかよ」
「いいわけないが言え」
「さてはテメェはあの坊主の知り合いだな?」
「・・・友達第一号だ」
「ハハッ、可哀そうな奴だな」
まさかの友達第一号が暗殺者で俺を殺しにきたってなったら坊主はどんな顔をするのか楽しみだな。近くに家とかがないのは失敗したな。こういう時に助けを呼べる手段がない。あってももう遅い気がするがな。
「・・・任務を遂行する」
「一思いにやってくれ」
「さらばだ。ドワ__なっ!!」
「おりゃぁあ!!」
「坊主!? 屋根がぁ!!」
~暗殺者視点~
クソッ、こんなにも早くデオル・アグールが来るなんてな。あの時に小声で言っただけの言葉でここまでの行動するとは……予想通りだよ。お前はそうじゃなくちゃいけないんだよ。俺の友達第一号としてな? 俺をあまり失望させてくれるなよ?
「おっさん、無事!?」
「誰がおっさんだ。屋根の修理費請求するからな!!」
「そんなぁ、助けに来たんだから」
「・・・ソイツはお前の友達だとよ」
「友達?」
「俺が友達第一号だ!!」
こんなこと言っても覚えていないだろうな。だってあの時の一人称は”私”なんだからな。しかも女状態だったのだから何も分からない筈だ。お前はクラスで会っても気が付かなかったもんなぁ。寂しいなんてことは言わないぞ?
お前を殺すように主人から依頼を受けているんだからこうしてお前を殺すために双剣を振っているんだよ。・・・一切当たらないがな。俺の速度は相当速いはずなのに何故簡単に避けやがるんだよコイツは。一瞬で死ねる毒を塗っているのにぁ!!
「思い出した。レッちゃんか」
「・・・なんで」
「初めてなんだろ? お互いに同年代はな」
「クソッ!! こうなったら」
「自分の腕を斬ってどうするんだ?」
「こうするんだよ〈”反転”〉」
俺の特殊スキル、反転は自分が受けたものを反転出来るがその代わりに性別が変わる。さっきまでの俺は男だったが今は女になった。もちろん、胸も今はある。あの平民聖女様よりもあるんだよ。アイツのは板だからな。
需要はあるかもしれないが俺の方があるに決まっているしな。おっと関係ないことを考えてしまったな。剣に塗っていた毒も指定した相手が受けたことになる。ただし見つめ合わないと発動できないのが面倒だ。あまり使いたくないんだ。
「この剣には毒を塗っている。だからお前は死ぬ」
「坊主……ポーションないのか?」
「・・・」
「もう遅い。毒が全身を回っているころだ。じゃあな、友達第い__うぐっ!」
「フードの下は仮面だったんだ」
殴られただと、仮面が砕けた……そんなことよりもなんで動けるんだ? ありえないはずだ。俺が調合した毒は絶対に死ぬのに何故生きている? 私はお前に知識として教えてもらったのを更に自分の力に変えてきたというのに。
「あいにく毒の耐性は人よりもあってね」
「ありえない」
「ゴハッ……レッちゃん、綺麗になったねぇ。ただ僕の敵になるなら綺麗な顔のままだとは思わないでね?」
「ッッ~///」
「あっ逃げ__」
解毒薬だけ置いて逃げるしかないだろうが!! 何が綺麗になったねぇだよ!! 私はこの世界に入ってから色んな奴らを殺してきたんだ。男としてな。お前も殺そうとしていたのにあんな……近くで言われたら無理だ。
「次は、その命貰うからなぁ」
〜レオン視点〜
うむ……よく分からないタイミングで来てしまったようだな。今日のところは出直さなくても良いか。俺には痴情のもつれなどは関係ない。




