7話 脅し? 1
フィーが帰ってくるまで僕は別室で待機させられていた。別にあのまま帰らせてくれても良かったと思うんだけどなぁ。まぁ冒険者登録も出来ていないから帰るわけにはいかないんだけどね。どこかでバイト的なことでもしようと思ったが、貴族お断りって文字が書いてあるから無理。
僕は半分貴族ではないですって言っても信用はされないからね。貴族追放証明ってのがあるらしいからソレを提出しないといけないらしい。まぁ身分を偽ることは出来るが、もしバレでもしたら店側も自分も捕まるからリスクが大きい。
警備兵士がたまに見回りで訪ねてくるって畑のことを教えてくれた人が言っていた。昔、駆け落ちした貴族同士が厄介事を起こしてしまったらしくそれ以降はしっかりと法律が作られたとのこと。あとは貴族返納証明やはく奪証明ってのもあるらしい。
「いっぱいあるんですねぇ」
「えぇありますよ。追放証明だけ知っているのは珍しいですね」
「教えてくれた人がいたんです」
「そうなのですね。人なのですね」
暇していた僕を見かねてアカネさんが話相手になってくれていた。ついでに色々と教えてもらっている。僕は教わっていないことが多すぎたので聞いて覚えている最中だ。あとはお金についても教わった。間違いがある可能性を疑ってだ。
銅貨千枚で銀貨1枚、銀貨一万枚で金貨1枚、金貨百万枚で白金貨1枚ってことらしい。案外アイツら甘いのでは? 金貨500枚を貯めてあるのを知らないだろうな。銀行はあるが口座を自分で作成するには成人していないとダメだ。
それが面倒ではあるが親であれば作れるので冒険者になる者が成人していなければ親に作ってもらってことが可能らしいけども無理だな。一時は”異空間”にしまっておかないといけないな。待てよ、冒険者になるのであれば装備も必要になるな。
「あの……アカネさん、鍛冶屋ってありますか?」
「武器や防具を買いたいんですね。ちょっと待ってください」
「冒険者になるなら必要ですもんね」
「いえ、ハティツィール学園はダンジョンに入ることもありますよ?」
「へ?」
「デオルくんは強制参加ですね」
マジで言っているのか。僕は強制参加になるのは面倒だ。それだけは避けないといけない。どうにかして回避できるのはないかを探しておかないと僕が死んでしまう。アデルには恨まれている可能性があるんだから闇討ちってこともあり得る。
まっ別にしてくれていいんだけどね。返り討ちにして家の門に吊るしておくから。アイツらへの嫌がらせにもなるからね。そんなことしたら婚約破棄される可能性もあるからしないでおくけど。そんなことはどうでもいいけど、アレか平民も関係ないって感じかな。
「君は貴族なんですから」
「学ぶ所が平民のでも参加しないといけないんですかね?」
「はい? 君が望んだのですか?」
「多分嫌がらせでしょうね」
「辺境伯も落ちたモノですね」
まぁ堕落するのは結構あるのでは? 僕も堕落貴族って言われている訳だし、別に何も珍しいって訳ではないからね。一人の納得しているとアカネさんが「寮へ帰った方がいいですね」と言ってきた。いや、僕はまだ登録が完了してないんだけどな。
「フィーベル様には私から説明しておきます」
「分かりました」
これはノーとは言えない雰囲気だな。大人しく帰ろう。じゃないと僕も面倒事に巻き込まれる気配がする。僕は最後に両替できる場所だけ聞いて寮へ向かった。恐ろしいことにならないといいんだけどね。
~フィー視点~
私が王城から戻ってくるとデオルの姿がどこにもなかった。アカネがいたから問いただしたら衝撃な言葉が出てきた。ハティツィール学園が創立されてから1度もなかったことをデオルにしたのだ。追放前でも貴族の方に通わせるのが常識だ。
本人が望んだわけでもないのであればそれは絶対ダメなことだ。国王はこのことを知っているだろう。あの人間はしっかりと噂が真実なのかを調べて動くタイプだ。サガみたいになんとなくではなくてしっかりと根拠で決める。
「叔父さんに話を通してくる」
「その方がいいかと、冒険者の方は?」
「許可をもらった。婚約の件は却下だったけど」
「そうでしょうね」
解せないことは多いが叔父さんに直談判しに行かないと気が済まない。とりあえずデオルが貴族の方に行けるようにしてもらわないと。デオルの努力を見てもらいたいし、知ってほしいから早くしないと手を打たれる。
あの人間にはおそらく計画があるから辺境伯のことを放置しているのだろう。何が目的で、どんな計画なのかは分からないがデオルを巻き込むことを前提として動いている筈。民は国王のことを賢王と呼ぶ。この国は実際に豊かになったから本当のことだ。
「ハァハァ叔父さん……知っていた?」
「何をかな。デオル・アグールのことか?」
「そう」
「君が執着しているからどんな人物かと思ったが___」
叔父さんが何も言わなくなったのは珍しい。それほどにデオルは期待されていたのか。そして叔父さんの目にはただの人間でしか映っていなかったのかと思えるほど、表情は虚無だった。何を見たのかは私には分からない。
「・・・絶対に彼を落とした方がいい」
「どうしてそうなった?」
「アレの子孫は残すべきだ。じゃないといつ逆鱗に触れるか分からない」
叔父さんは恐怖していた。国々で恐れられていた叔父さんが逆に恐れているのは一体……何を見たの? その魔眼は何を見たのかを教えてほしいけど、それを聞けない理由もある。まずはデオルを貴族の学園に入れることだ。
平民の所では絶対になじめないってことは分かっているのに何故、承認したのかを問いただした。そしたら意外な言葉が出てきた。「俺ではない」と叔父さんは言った。ってことはもしかしてお父様が手を出して来たってことなの?
「すまないな。兄には世話になったから」
「どうにか出来ない?」
「出来るが少し時間をくれるのであればな」
「分かった。待つ間に里帰りをするから」
「やっとか。心配をされていたんだぞ」
「デオルも同伴」
叔父さんはイスからひっくり返った。今日は珍しい叔父さんの姿が観れたから少しだけ気分がいいかな。いつも笑顔で何事もそつなくこなす叔父さんではないみたいだ。それくらいデオルのことが怖いってことになるな。
デオルに言ったらどんな顔するか? 少しだけ気になるから叔父さんと親しくなったら今の状況を伝えてもいいな。驚くかそれとも興味がないって表情を見せるのか。デオルなら両方見せる可能性があるな。それだと面白いかもしれない。
「噂は嘘ってのは俺は分かっていたが」
「故郷に連れて行くのは違うって?」
「そうだ。バカな甥が何をするか分からないぞ?」
「大丈夫だ。私もいるしデオルは強い」
「見たから分かっている」
「私よりも何倍も努力しているからな」
デオルは誰よりも努力しているから強いんだ。ただあの努力の仕方には私は反対だが、私よりも強いから何も言えない。コレで私よりも弱かったらよかったんだがあの努力方法で結果を残しているなら止める気が起きない。
だから何も心配はいらないと私は思っている。メス共が群がって来ないかが心配になるだけ。まぁ本人はそうゆうのに鈍いみたいだし、躱せるとは思う。あの平民の聖女が今は危険分子だと思っておこう。あのヒトメスだけが私のデオルに粉を掛けようとしている。
「はぁ……姪子にようやく春が来たと思ったら」
「春は今。デオルと会ったのは夏」
「お前は、もういい。予定とか立てなさい。デアくんと相談してね」
叔父さんは認めている者に対してはあだ名をつけて呼ぶのだが、センスはない。まぁ私のデオルが認めあれただけでもよしとするか。直談判の意味はあまりなかったな。まっ脅さなくて済んだし、終わりよければ全て良し。
~???視点~
私はデオル・アグールの後を付けている。いや……つけていたと言った方が正しい。拘束されてしまっているので身動きが取れない。それになんだこの空間は?
「お姉さん、殺気が出ていないってことは偵察だけなのかな?」
「・・・」
「まっ喋らないよねぇ。偵察だけなら放っておくけど?」
「偵察です」
「即答だね。偵察としてどうなのさ」
顔近っ! 顔良っ! 怖すぎる。いきなり何もない空間に飛ばされたと思ったら急に標的が現れるのだから。それに私はまだ死にたくない!! だって白馬の王子様が現れていないから!! けどいいかもこんな子に拘束されて脅されるのも。へへへ
「・・・やり方間違えたのかな?」




