4話 ギルマスと秘書1
ギルドマスター略してギルマス。僕らはギルマスの部屋に通されている。フィーが問題を起こしたから仕方ないとは思うけど、僕も必要なのかは分からないんだけどね。いや、あの騒ぎだったし僕もいないと他の人たちに何されるか分からないって判断したんだろう。
「俺がギルドマスターのサガだ。よろしくな」
「私はギルマスの秘書のアカネです」
「僕は__」
「名乗らなくてもいい。有名人だからな」
「サガ、さっさと用件」
「フィーベル、お前なぁ。はぁ……いいだろ」
ギルマスはフィーに言われた通り用件を話始めた。簡単に纏めるとフィーの里帰りと僕の冒険者登録についてだった。フィーに関しては里帰りをもう何年もしていないことから親が心配してギルドまで連絡を寄越してきたそうだった。
まぁあの時に血まみれになって倒れていたし、療養中は世間では行方不明だったみたいだったから連絡は入れているのかな? 里帰りの件しか出てきていないってことは流石に連絡は入れているんだろうけど、親からしたら心配だよねぇ。僕は前世も今世も家族には恵まれなかったけどね。
僕の登録に関しては1項目以外は問題ないってことだけど、すぐには発行できないとのことだった。辺境伯と公爵家、あと国王の命令で僕には少し面倒な手続きがいるらしい。辺境伯なら分かるけど、何故公爵家と国王もそこに入っているのかが気になるかな。
「問題は聖女様のパーティーを気絶させたことだ。フィーベル、分かっているな?」
「弱いのが悪い」
「だから元メンバーに裏切られたんだよ?」
「殺されたいの? あのゴミ共は犯罪者って分かっていて放置していたギルドマスター?」
「俺を殺せるのか。やってみるといいぞ」
二人が魔力が荒ぶるように放出されるのを僕は肌で感じながら出されていた紅茶を飲む。秘書さんはこめかみを押さえている。髪が腰あたりまで伸びているけどポニーテールにしている。髪と目の色は黒だ。しかもめっちゃ美人さんだ。
ナンパとかされまくっていそうだなぁ。まっ普通に強いから大抵の人ではすぐにやられるだろうね。いい筋肉に付き方しているから近距離系だったんだろうね。それに比べてギルマスは顔はイケメンで金髪、目は青色ね。モテるだろうけど、体がムキムキ過ぎるから怖がられるだろうな。タンクだったりして。
「随分落ち着いていますね」
「これくらいなら日常でしたから」
「噂は嘘だったんですね」
「そうなりますねぇ。まっどうでもいいですけど」
「・・・何かあったら遠慮なく来てください」
疑っている人もいるってだけでも僕は助かったんだけど、何かあれば協力をお願いしよう。それにしても二人は何しているんだろ? 魔力を放出したままでは枯渇してしまうのでは? 心眼スキルは持っていないからなぁ。特に使い道はないしね。
鑑定スキルはあるけどレベルは低__ん? 聖女のパーティーを気絶? 聖女様って確か男爵令嬢だった筈じゃなかったのかな? デロアは男爵令嬢には見えなかったし、また別の所でフィーに気絶させられたってことなのかな。
「アカネさん、聖女様のパーティーってのは?」
「デオルさんは知らないのですね。今回は聖女様は二人いるんですよ」
「一人じゃないのですか?」
「何百年に1度はあるんです。貴族と平民に聖女様が現れるのが」
「ってことはデロアさんが……聖女様?」
「そうなりますね」
何百年に1度って一体何がどうなったら貴族と平民に現れるんだろ。だって勇者と聖女、あと魔王は神様が祝福の時に決めるって言われているのに何故? あの女神様の世界だしそこまで気にする必要はないと思うな。魔族との戦争はもう終結しているって話だし。
今回は勇者に至っては異世界から転移させられている訳だ。学園を退学したくなってきたのは僕だけなのかな? だって物語では基本的には聖女は国の王女が選ばれるのが多いのに……まさかフィクションだったのか。
「デオル大丈夫?」
「どうしたのフィー?」
「ショックを受けた顔していたから」
「大丈夫。フィーは怪我してない?」
「何も問題はないけど、少し隣の部屋で待っていてもらっていい?」
「いいけど……気を付けてね」
フィーに言われた通りに部屋を出て隣の部屋に向かう。僕が考え事していた時に何かあったみたいだな。秘書さんが居れば何も問題はなさそうだけど、一体何があるんだろう。僕に聞かれたくない話だろうから大人しくお隣の部屋には行くけども。
「秘書さん、何故付いてくるんですか」
「アカネで大丈夫ですよ」
「そうですか。アカネさんどうして」
「見張りだそうです」
誰を見張るつもりですかとは言わないですからね。まだ僕を信用していないのかもしれないなぁ。あのギルマスさんは。何時間くらい待てばいいかな?
~フィー視点~
私はデオルとアカネが出て行くのを見送った後、サガに向き直る。私の故郷のことについては何も話したくない。エルフの国、ハティツィール王国は武力国家である。エルフは好戦的で野蛮な種族であることは有名だ。そして長寿だ。
昔からあの国は私は好きではない。私の好きな魔法や魔術、錬金術を軽視している面があるからだ。エルフはその三つに長けているのだが最終的には力である。全く救いようがないと私は思っていたのだが、兄が王位を継いでからは考え方が変わったらしい。叔父さんから聞いた。
民は喜んでいるみたいだが不満を抱えている者も一定数いる。目の前にいるサガもエルフで好戦的な者だ。私のデオルに対して、殺し合いたいと思いながら見つめていた。狂犬などと言われている小娘がいるみたいだが、目の前にいる男こそが狂犬だ。
国にいる強者を半年は動けなくするほどの強さを持ちながら戦いに飢えている。だから私はあの男とデオルを会わせたくなかった。私が守ればいいので何も問題はないのだが、いない時に勝負を持ち掛けられたらどうしようもない。
「部屋を汚したらアカネに怒られるから座れ」
「・・・私は戻らないから」
「分かっているさ。あのぼ_「デオル」_デオルを連れて行ってもいい」
「なら冒険者登録して」
「ソレは無理だ。聞いていたろ?」
「丸くなった。昔は権力者を暴力で従わせていたのに」
「若かりし頃だろ? 今はしないさ。相手の出方によるがな」
今でも殺せるなら殺すくせに何を言うか。他にやらかしまくって王族を狙ってコテンパンにあったからしないだけでしょうね。私に敗北してから国を出て修行してくると言って、あのアカネに左腕と両足を斬り落とされていた。
アカネの冒険者時代のランクはSSS、しかもZSランクに限りなく近い。人間でそこまで行けた者は彼女以外いないだろう。ちなみにサガはSランクでアカネに挑んだものだから指一本を触れるどころか、一度も彼女を立っている場所から動かせなかった。
「この世には強い者が大勢いるってことさ」
「例えば私とかエンシェントドラゴンとかね」
「あとアカネだろ?」
「分かっているのなら大人しくして」
「分かっているって。話を戻すが出国届はウチの方で出せるが?」
「デオルのギルドカード」
「・・・」
出国届けではあまりよくない。入国届けもいるし、何より親の許可がいるから無理。ギルドカードならソレらがいらない。私と二人っきりでいける。里帰りデートも出来るし家族との挨拶で外堀も埋めれるから絶対にいる。この国が許さないのはいただけない。ハティツィール国とゲルハーツ国は交友関係はいい。
それに水を差すわけにはいかないから私はこの国を滅ぼさないでいるだけ。私はゲルハーツ国王に謁見を申し込むことは出来るからしよう。ギルドが動かないなら私が動く。私もエルフの端くれな訳だから此処は好戦的に出よう。
それでデオルに褒めてもらおう。うんソレがいい。褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めて褒めてもらって。
いっぱい頭を撫でてもらおう。膝枕をしてもらいながら愛を囁いてもらう。そして私もデオルに愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してるって言おう。それがいい。
「サガ、魔道具で今すぐに伝えて」
「な、何を、誰に?」
「国王に謁見の準備、あと私がすぐに行くことも」
「ま__」
私は部屋のドアとついでにサガを爆破してから出て行きデオルがいる場所に向かい
「少し出てくるから大人しく待っていてね」
と言ってから王城へ飛ぶ。その前に平民の聖女を拾ってからにしておこう。




