20話 化け物1
ここは……体中が痛い。そういえばみんなは無事だといいんだけどなぁ。探しに行こうにも僕はイスに縛り付けられているし、何重にも札みたいな物もつけられている。アレかぁ偽物のアレンを倒し損ねたせいで裏切者だと思われているのかな?
「目を覚ましたようだな」
「ここは?」
「王城の地下にある拷問室だ。お前には聞かないといけないことがある」
「ただのPlv1の子供にすることですか?」
「演技はよせ、調べはついているぞ。お前はパラメータが高すぎるということがな」
なるほどねぇ。だから恐れて僕を拘束しているって訳か。しかも魔力を封じる為の札も準備しているって来たもんだ。最悪ではないけども少しだけやりすぎだと思うのは僕だけだろうか。そもそも何を聞こうとしているのかは知らないけど、何も答えないぞ。とぼけてやるよ。
「リースと言う邪神の使徒との面識は?」
「誰? アレンの偽物なら分かりますけど」
「・・・今回、襲ってきた敵がそう名乗ったらしい」
「そうですか」
「君と弟のアデル・アグールには容疑が掛かっている」
「へぇ~それはそのリースが妹だからですか?」
「ッ!? やはり知っているのではないか」
存在は知っているけど、名前も声も姿も知らない。どんな生活いるかも母親も僕はアデル以外の弟や妹のことを一切知らない。まぁ森に追放されてからはアデルの生活も分からないからアレだけどねぇ。辺境伯が浮気して子を作っているのはドラゴンから聞いている。
だから存在しか知らないし、僕を兄として頼ってくるのであれば手を差し伸べるけど、敵としてくるのであれば容赦はしない。今回リースを殺そうとしたのはフィーが傷ついているのを見て怒りが沸いたからだ。
散々盗賊やモンスターを殺しておいて虫が良すぎるのは分かっているけど殺されたくなかった。血が繋がっている者を怨むのは前世での一件だけで十分だ。だからフィーを殺されたことでリースを怨みたくなかったからだ。自己満足だねぇ。
「吐け!! お前らの目的はなんだ!!」
「知りません。それにアデルは殺されかけたのですよ?」
「アデル殿は疑われていない。デオル殿だけだ」
「それなら何故?」
「・・・第一王子とその派閥が君に有りもしない容疑をかけているからだ」
あのエルフ狂いって言われている人が僕にねぇ。コレは面倒なことに巻き込まれたってことだねぇ。しかも厄介なことに僕には家から助けは見込めないんだよねぇ。王太子と仲が良いと思い、失脚させる為にでっち上げをした可能性もあるなぁ。
まぁ一番の理由はフィーをほしい王子は僕を処刑してもらおうとしているんだろうねぇ。全く面倒なことしてくれるなぁ。まぁ生物としては正しいから別にいいけど、僕が抵抗しても何も問題はないってことだよね?
「殿下が今、動いてくださっているからすまないが辛抱してくれ」
「演技だったのですか?」
「あぁ……娘を助けてくれた恩人に拷問なんて出来__」
「オイオイ!! ソイツは大罪人だろうがよ?」
「お頭、殺しちゃダメですよ」
「あ゛? 何をほざいてんだよ」
先ほどまで拷問役だった人が頭を吹き飛ばされた。そして拷問室に入って来たのはガラの悪い殺し屋4人だった。王城って言っていたのに警備を怠っていたから入ってきたんだろうねぇ。威力のわりに音が一切出ていなかった。
前世での技術であるサイレント……なんだっけ? まぁ音を消す為の部品を付けた銃らしきモノを持っているなぁ。札のせいで魔力は使えないし、そもそも怪我しているから何も抵抗なんて出来ないからどうしたものかな?
「お頭、奴がターゲットです」
「ほぅ? 顔がいい感じに整ってんじゃねぇか」
「遊ばないでくださいね。他の奴らにも回さないといけなくなるので」
「分かってる。モンスターを改造して従るとはイカレている依頼主さまだ」
なるほどねぇ。さっきから喋っているのは二人は人間で、全く何も反応していないのはモンスターだったモノなのね。はぁ……平和で生きたいんだけどなぁ、どうして前世でもこう普通に生きれないものかねぇ。ただ普通で居たいと思っているだけなのにさ。
おかしい話だよねぇ。前世で親に恵まれなくて、今世でも恵まれないって一体僕が何してきたのかが分からないからさぁ、殺そうか? 一応、彼の仇をとっておきたいしね。家族に遺体くらいは持って行きたい。頭が無くても息子でアリ、夫であり、父であるんだから。
「俺に奉仕するのであれば奴隷にしてやるぞ?」
「お頭!? 何を考えているんで__」
「うるさい部下だな。おい、ソレを喰っていいぞ」
一切の躊躇いもなく部下を殺しやがったな。あまりいい気分じゃないなぁ。ん? 待って彼を喰おうとしていやがるのか? 魔力操作くらいは出来るか? やってみないと分からないけど、この札にあるであろう魔力を操作してやる。
「オイオイ、何をやっている?」
「邪魔だ。退け」
「ん? あ゛、テメェ、何しているんだ?」
『あぁ~』
「俺が許可したのはコレだけだ。それを喰おうとしてんじゃねぇ!!」
『ぁあぁ』
殺した相手に敬意を払えるタイプなのか? まぁ何はともあれ、彼の死体を食べられないのは良かったと思うか。コレで一安心だけど……この状況でどうやって制圧するかだね。札にある筈の魔力は操作できなかった。
まぁ詰みってやつだねぇ。ここで死ぬのかなぁ? まぁ一度は死んだ身な訳だしねぇ、ここで死ぬことに対しての抵抗感はあまりないのにどうして、生きたいって思うのかは分からないなぁ。僕が死んでもみんなの生は続くのに……
「死にたくないなぁ」
「なら奉仕しな? 助けてやるよ」
「いやだね」
「はぁ……なら仕事を始めないとな。頭ん中見るからな? 廃人になられねぇように頑張れ」
「頭の中ってまさか__」
頭の中を見られる感覚がここまで気持ち悪いとは 思わなった。
~???視点~
依頼主さまに言われた通りにガキの頭ん中を覗いたがなんだ? 転生者なのは分かったがそれ以上にコイツの記憶がめちゃくちゃだ。前世で親に……思い出しただけで吐き気がする。しかも今の人生でも親に恵まれないとはな。
「俺が言えたわけじゃねぇけど、哀れなだな。ガキ」
「どこまで見た?」
「あぁん? 親にされてきたことだ。もちろん、お前の恩人のこともな」
「そうか……」
「遺言は?」
普段なら聞かない遺言を聞いてやろうと思いそうゆうが何も返事はない。ガキの中にある”普通”は異常だ。いわば呪いでガキの人生を縛っているだから憐れで仕方ない。恩人の言葉が、人生の道標にならずにそこに縛り付ける呪いになるなんてな。
だが、ガキが持っている感覚を抑えるには効果的だとは思うから判断は間違いではねぇ。ガキが従うことはないとは思うがな。夢や芯に繋がるわけでもねぇモノに人生を決めさせるのは人形じゃねぇか。
「お前の恩人のことは知らないが……判断は正しいと思うぞ」
「・・・何が?」
「離れていくのがだ」
「そうだ。僕は”普通”じゃないから離れていく」
「人それぞれだろ」
「どぉしぃてぇ?」
ヤバい!! 俺は化け物どもに命令してガキを殺すように言った。ここから逃げないとヤバいと本能が告げているから逃げる。逃げるのは恥じゃねぇ。俺の依頼は記憶を観てソレを依頼主に教えることだ。殺すのはついでだ。
頭ん中を観られた奴らは大抵は廃人化するんだがこのガキは違う。大きな力を持っているのであれば暴走するが持っていない。ただ意識して抑えていたモノが溢れ出てきているんだ。前世から抑制してきたもんだ。溢れたらヤバいに決まっているだろうよ。
「ここまで逃げればいけるだろう」
転移石で王都から相当離れている。廃村に来た。ここには俺の部下もいるからもしもの時にはここで籠城してやる。依頼主からもらった化け物共も大勢いる訳だしな。早速、部下に伝えておかないとな。警戒も何も出来ない。
「おい、お前ら。お酒で飲んで潰れ__はぁ?」
「遅カッタナ?」
「どうしてお前がここに?」
「ン? 僕ノ昔ヲ知ッテイル奴ハ消サナイトナ」
「俺は依頼で仕方なくだ。だから許してくれ? な?」
「残念ダヨ。ダッテ必要ハ無イデショウ?」
あぁ_神よ。アナタはなんてモノをこの世に蘇らせたのですか?




