19話 絶望の時間2
~リース視点~
こんなのはありえないどうして私がテレポートしたモンスター共が斬り刻まれているわけなのよ。あのデオルがコレをしたなんて言われても信用なんて出来る訳ないでしょう。もしあの男が生きているとしてもこの状況を一人でどうにか出来るわけないでしょ。
この広場を私の魔法で吹き飛ばしてしまえばいいだけだから何も難しくなんてないわ。私はZSランクと言われているエルフの魔力を吸収しているんだからもし、デオルが生きていてどこかに隠れているとしてもこの魔法はどうしようもないでしょうね。
「〈”プラネットデス”〉」
「〈”火魔法_ファイアウォール”〉」
「邪魔してんじゃないわよ。死にぞこないがぁあぁ」
「ぐっガッうぁっ」
「そういえばこのエルフってアレねぇ」
「い゛っ」
この広場を破壊してやろうと思ったのに死にぞこないエルフに邪魔された。致命傷で魔力が不足しているのに、私の最強魔法を相殺するのは驚いたし、頭に血が昇ったからエルフの痛めつけていると、ふと第一王子のイオル・ゲルハーツのことを思いだした。
エルフ狂いって噂だし、この女を手土産にすればこちら側に完全に入ってくれるかもしれないわね。まぁ死体でもの喜ぼそうだとは思うけどなぁ。生かしておかないと▲▲▲様に怒られるわね。私は回復魔法って苦手なのよね。
もう少し傷口を殴ったり蹴ったりして楽しみたかったけど、そんなことしちゃうと死んじゃうから出来ないわね。どうしてあげましょうかね? 人形になれば何も問題はないわね。
「仕方ないわね。廃人にして〈”スピリットブ__”〉はあぁ?」
「間に合った。フィー遅くなってごめん」
「ぁあ゛」
「喋らなくてもいいよ」
「お前がどうして生きているんだよ」
「黙れ」
左腕と右脚は折れているのにどうやってここまでやって来たんだ? しかもこの威圧感は一体なんなのよ。私とやった時よりももしかして強くなっている訳? 簡単にやれたと思っていたのになんで私がこんな苦労しないといけないのよ。
エルフに向けていた右腕は斬られてしまったしね。こうなったら仕方ないわね。再度、テレポートを使って新しいモンスターを呼ばないと。
「モンスター共、コイツを殺しなさい!!」
「無駄だぞ」
「は?」
「ここにくる際にゲートと一緒に斬ったからな」
「・・・は?」
ゲートを斬った? まだモンスター共を斬ったのは理解できるけど、ゲートを斬るなんて出来るの? 私は知らないわ。そんなことは聞いたこともないだから。時間経過で閉じたり、ゲート内にいる守護者を倒さない限りは無理と教わった。
だからわざわざ苦労してゲートをここまで運んできたのに、それを斬った? 手負いの人間が? いくらアマヅキ様の依り代になるって言っても無理でしょうに。まぁいいわ。仮に出来たとしても此処にいる人間はもうじきに死ぬから。
「私を殺そうとしても無駄よ。此処にいる者達は助_〈”全治癒”〉_ぇ?」
待ってそんなのは反則じゃないの!? オールヒールって大聖女しか使えないって話だったのに、使えるなんて知らなかったわ。此処は撤退しな__右腕が治ってる? まさかこの男が治したというの?敵である私を治すなんて情けのつもりね。
「すまない。治癒魔法は苦手なんだ」
「ハッ、自分の怪我を治さないってアンタ変態なの?」
「治さないじゃなくて治せないんだよ」
「一緒でしょ。私は倒せないわよ」
「やってみようか?」
そんなことをする前に糸でまた動きを封じればいいだけの話よ。女郎蜘蛛の糸は硬いし、魔力を吸収する特性があるからこんな奴の斬撃なんて何も問題はないわ。〈”繭”〉コレでコイツもおしまいね。▲▲▲様の所に連れて行かないとね。
あっけなく終わったし、さっさと戻って報告書と手土産を持って行ってお風呂にでも入ってゆっくりしよう。その前に私個人で使えるのは……いないわね。いい個体はあのエルフだけだし、他のはイマイチって感じね。持ち帰ったら怒られるわよねぇ。
このエルフは第一王子との交渉に使えるらしいから持って行く方がいいかもしれないわね。他の姉兄妹には負けていられないわけだしね。これで私は▲▲▲様の側近になれるだろうし、アマヅキ様にもご褒美をいただけるわ。
「満足したし帰ろ__ぅ?」
私の視界は回転しているの? 攻撃なんて受けていない筈なのに。そんなことを考えている暇ではないわね。私は切り離された胴体をどうにか動かして頭を糸で固定する。首を固定できたことを確認した後、繭を見ると斬られていた。
あの男が眉を斬るついでに首を……斬ったのね。器用と言うことは分かったけども他に出来ないからって訳なのも分かっているわ。魔法が使えないから飛ぶ斬撃でしか私に傷をつけられない。ん? 飛ぶ斬撃って魔力もしくは気力と呼ばれるモノで刃に纏わせて飛ばすのよね?
デオルは一体どっちを纏っていたの? あの繭は私から出た糸で作られているわけだから魔力は吸収されている筈で、纏わせることなんて出来ない。
「油断しすぎだ」
「罠に決まっているでしょ。〈”プ__”〉がぁつ」
「じゃあな。〈”龍炎龕”〉」
デオルは私を空中に殴り上げて、コイツは地上にいた筈なのにジャンプして私よりも上にいる。しかも折れている筈の左腕に龍の形になっている炎を纏わせている。大怪我しているのにふざけているジャンプ力しているわね。
「ウブォ!?」
それを腹に叩き込んできた。熱すぎるわ。腹に当たった瞬間に大爆発をひきこして猛スピードで地上に吸い込まれて行ってしまう私。このままじゃ死ぬかもしれないけど、広場にいる奴らを巻き込んで死んでやるわ。
~フィー視点~
このままじゃあリースとか言う火だるまメス蜘蛛が落ちてきたらさらに爆発する可能性もある。私が結界を張らないと、ここにいる全員が死ぬ。もしかしてデオル……私が結界を張るって信用しているんじゃあ、なけなしの魔力を使って護る。
「んぇ?」
~リース視点~
もう落ちるわ。コレが本当の絶望の時間ね。私はタダじゃ死なない女だと言うことを教えてあげるわ。今日初めて出会った者達にね。
「リースちゃん、戻ってらっしゃい」
▲▲▲様の声が聞こえたと同時に私のテレポートが勝手に発動した。見覚えしかない部屋にテレポートすると私を包んでいた炎は消えていた。ただ私は全身やけどを負っているため、声も出ないし動けないわ。
「ちゃんと戻って来て偉いわねぇ」
「・・・」
「ちょっとこの炎は危ないわねぇ。よく耐えれました」
▲▲▲様の左手の上に私を包んでいた炎がある。そして私の頭を撫でまわる▲▲▲様。動けないのをいいことに撫でまわす。フェロモンと魅了を出しながら、私を褒めてくるのはやめてほしい。流石に耐えるのがきつくなっているから。
「血ぃはいるぅ?」
彼女の血を一滴でも飲めば回復はするけど完全な眷属になってしまう。だからどうにか頑張って首を横に振る。すると「あらぁ残念」と笑いながら言う。側近にはなりたいけども眷属と言う名の奴隷にはなりたくはないわ。
「頑張ったけどねぇ。絶望はいるわよねぇ?」
「ヴapん:dvけ/kじ;oッsvnがっ」
「あらぁあらぁ苦しそうねぇ。正しく絶望の時間の時間ね?」
▲▲▲様は私の口の中に何かを無理やりねじ込んできたと思ったら、身体……いや私の全てに激痛が走り周り穴という穴から体液が出てくる。助けてほしくて声を出そうとするが変なモノしか出てこない。そんな私を見ている彼女は楽しそうにしていた。
「さぁ楽しみなさい」
気を保てなくて私は失神した。




