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2話 デオル・アグール2

 担任が教室へやって来たのでやっと解放されると思ったのだが、それは甘い見通しだった。彼女は担任が来ても僕に大剣を当てようとしてくる。簡単に避けれるって言っても疲れはするからやめてほしいよね。


「決闘する気になったか!!」

「だからしないってば」

「ならコレが続くだけだ」

「仕方ない。乱暴はしなくなかったんだけど」

「もらった!!」


 僕はガーリーの腕を掴み思いっきり天井に投げつけた。おそらくだけど何をされたのかは分かっていないだろう。一瞬だけ“異空間”に入ってすぐに出て来て腕を掴んで投げつけたってだけなんだけど、力込めすぎたかな?


 あの森の連中はコレだけでは行動不能になんてならなかったけど、あの連中がおかしかっただけってのは分かっているから手加減したんだけど……まだ無理だったのかな? どうしたものか。


「テメェ……改竄スキル持ちかぁ」

「流石に改ざんしていたらバレるでしょ」

「クソが___」


 天井から落ちてこないまま、気を失った。僕は彼女のことを助けないでおこう。フィーを助けたのは気まぐれだった訳だったし。人助けをするようなタイプではないんだよ僕は。


 それにしても改竄スキルを持っていることがバレたのは何故だろう。入学前にステータスを映す水晶で調べられているが誰も気づいていなかったのに。まっいいか。どうせ分からないことは分からないんだろうしね。


「邪魔するぞ」

「学園長……ど、どうしたのでしょうか?」

「手違いがあったのだが、これは一体なんだ?」

「それはですね」


 学園長が男だったのもびっくりだけど、まさかエルフとはね。そのエルフに担任は先ほどあったことを説明していた。手違いでここにわざわざ来たって言うことはガーリーのことだろうな。僕はそれ以外は分からないし分かりたくないからいいや。


 僕には関係ないことだろうから入学式が始まるまでボーっとしておこう。いや、”異空間”で住む予定の場所でも探しておくかな。一応、植物や微生物、水、空気が作ったが肝心の動物がいない。あと魚とかもいないから作らないとな。それらも全て僕の魔力で作れるが……勝手に繁殖するから気を付けないといけないんだよな。


「君、名前は?」

「・・・デオル・アグールです」

「君があの…………コレは君がやったので間違いはないかな?」

「はいそうです」

「気を付けたまえ次は弁償してもらう」


 このエルフ強いな。音も立てずにガーリーを回収して僕の席までやって来た。一瞬で移動したような感じだったけども何かスキルを使ったな。あと「あの」ってどの何でしょうかね? どうせ、アグール家の悪評のことなんだろうけどね。


「えっとハプニングがありましたが皆さん、入学式が始まるので席についてください」


 担任がそういうとすぐに席につくクラスメイト達。担任が全員が席に着いたのを確認すると指を鳴らした。教室の床に魔法陣が浮かび上がり光に包まれた。眩しくて目を閉じて数秒で光は収まり、恐る恐る目を開ける。


 体育館だと思われる場所に転移していた。周りを見回すと他のクラスもいたし貴族もいるみたいだった。貴族の所でうるさいのがいると思ってみているとガーリーが椅子に固定され口も防がれている。それでも必死に暴れまくっているので気絶させられていた。


 もちろんアデルもいるが左隣に居る王太子殿下に話かけていた。お前の相手は右隣の婚約者だろうに何をただの王太子ごときに話しかけているんだよ。破棄されたくないのであればしっかりと婚約者にも気を遣えって教わらなかったのか? はぁ〈風魔法_”カマイタチ小”〉


「いだッ」

「アデル様!? 大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だ。何かで少し切ったみたいだな」

「アデルよ、アーベルト嬢に手当してもらえ」

「ミア様、アグール息様、私たちが事情を説明しておきますのでどうぞ」


 二人は席を立ち少しどこかへ消えて行った。おそらく保健室みたいな場所なんだろうが僕が気にすることではな___公爵令嬢がこっちを見てきた? しかもほんの一瞬でごく自然にこちらに目を向けたぞ。まぁ何か接触してくるようなことはないと思うから放置しておくか。


 平民の学園に未来の王妃が来ることは周りが許さないだろうしな。その逆もまた然りってね。入学式が始まるのにあと六分くらいか。前世と同じ時間標識で安心した。ただ金銭だけは未だに覚えられていないからまたフィーに手紙を書いて教えてもらおう。


 フィーも王都に住んでいるって言っていたからどこかで会う約束してもいいかもな。フィーにお願いして、素材の換金はしてもらってるけど足りなくなるだろうから稼ぐ方法を考えておかないとな。冒険者の方が楽そうだしやるかぁ。寮暮らしとはいえ金はかかるからな。


「諸君、ハティツィール学園に入学おめでとう」


 始まったみたいだけど、立つことは一度もないみたいだから少し寝ておこうっと。眠いしね。



~???視点~


 あの方がデオル・アグール様、堕落貴族と呼ばれる方なのですね。先ほどのは彼がしたのでしょうね。ミア・アーベルト様はアデル……様を心からお慕いしている方です。アデル様もミア様を放置してレオン殿下に必死にお話を振っておりましたね。


 レオン殿下もお人が悪いようですし、私が動こうかと思ったのですが彼が先に行動してくれたので助かりました。噂とは信用するに値しませんね。しかし彼が平民側なのはおかしいでしょうから少し調べておきましょう。


 それにしても図太い神経をされていることは確かですね。アデル様に怪我をさせたのがカマイタチだということを見抜けている方々は貴方様を見ているというのに。それにアデル様のお話では引き籠っていてお太りになられている筈だったのでは?


 見るからに細いですし、大体身長が140㎝くらいでしょう。しっかりと栄養を摂れていないってことになりますね。それに幼すぎます。成長するかもしれませんがあまり見込めないでしょうね。出来れば他の家には取られたくないですね。


 私の傘下から婚約者になれそうな人を見繕うのもいいかもしれないですね。あの感じだと婚約者はいないでしょうから、お父様に言っておかないと。何名かは私が審査してから彼の下に送りましょう。優秀な人材はいくら居てもいいですからね。



~フィー視点~


「ふふっ仕方のない奴だ」


 私は愛しい男の子を見ながら叔父さんの演説を聞いている。冒険者として実力があるからと言う理由で教師をやってみるのを受けたのには理由があり、それが彼と近くでいるためだ。その為だけに依頼を叔父さんから受けたのだ。


 この世界では珍しい空色の髪と瞳をしている彼はその見た目も相まって弱そうだし、儚そうに見えるが実際は私すら足元に及ばないかもしれないくらいには強い。あのエンシェントドラゴンの森で6歳になったばかりの時からいたのだ。しかも蹴りを一発入れたことがあるってのが驚きだ。


「楽しみだ」

「フィーベル様、魔力を抑えてくださらないと」

「すまないな。少々興奮してしまった」

「いえ……そんなにいい生徒がいたのでしょうか?」

「あぁいい生徒だ」


 もしかしたら冒険者最強と呼ばれている私が教えを乞う可能性があると思えば当然だろう? あぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ首をカックンとしたぞ!!!! 誰か見ていないか。何か保存できるものはないものか。


 デオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好きデオル好き


 あの時からデオルだけしか眼中にない。好きなんだ。愛している。将来結婚して子供も作って、あの場所で育てるのもいいなぁ。デオルは畑仕事して、私は家事をしながら子供の相手をする。なんていい。デオルが望むなら何人でも子を産んでやれる自信がある。


 いかんデオルとしっかりと話し合っていないのにこんなことを考えてるのがバレてしまうと嫌われはしないな。あぁ楽しみだな。18歳で成人するから学園を卒業と同時に結婚だぞ。心配はいらないデオルのご両親には報告済みだ。だから婚約者がいないのだぞ?


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