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14話 打ち合い2

 あの人、本当に強いなぁ。対人戦闘になれてきたとは言えないけど、この人の動きはもう慣れてきたから虚しいけど終わらせよう。全力を誰かにぶつけれるってこんなに楽しいことを知らなかったから敬意を払ってこの一撃は……コレで絞めよう。


「客人、その構えに持ち方が変だぞ」

「これでおしまいにしますのでいいんですよ。変な僕が考えた構えですから」

「なるほど……なら最強の技で受けよう」


 騎士さんは剣を盾にさして突きの構えをとっている。僕は体勢を低くして、右脚は前に出して、左脚は後ろに伸ばす。持ち手を左右の尺骨? 同士をくっ付けて持ち。右肩を右膝に当たるように体を捻り準備完了だ。この体勢はものすごくしんどい。


 だからこれは最後の切り札として扱う。まぁコレが初めて使うって言っても過言ではないくらいには使う機会がなかった。のでどうなるかは全く分からない。この構えしか思いつかなかったからやる。フィーにダメだしをされ続けている構えだけどねぇ。


「客人……この突きは速いからな」


 騎士は全力で踏み抜いた。確かに初動が速いがソレはこちらも同じで__はないね。遅いが確実に相手に当てれる。僕は一歩目で体は左に倒れかけているし、2歩目が出せない。だけどそれでいい2歩目を出さなくてもいいと僕は判断した。


 相手がこっちへと向かってきてくれるのだからこれ以上は動く必要がない。だから僕は左に捻っていた体を思いっきり右斜め上へと動かす。その時にプチプチと嫌な音が体を巡ったが気にせずに騎士に向かって木剣を振り上がる。


 相手の突きが僕へ来ることはなかった。正しくは届かなかった。僕が相手の剣を折ったから突きは届くことはない。その事実を理解できるまでに時間がかかった。力が抜けて僕はへたり込んだ。


「降参だ。久しぶりに負けたよ」

「はぁ~もう無理」

「どうだ? 学園を卒業したら騎士団に入らないか?」

「遠慮しておきます」

「そうか。それは残念だ」


 いつの間にかギャラリーがものすごくいるし、それはまた変な噂が出てこないかが心配だ。まぁ手加減されていたことだろうし、そこはうまいこと何とかしてくれるかもね。いつも通りではないけどいい鍛錬になったなぁ。


 やっぱり僕は辺境ではなくて、のどかな田舎とかに行きたい。強い人がいる訳だし、僕が入団しなくても問題はないだろう。もしかしてこの騎士が団長だったりしてね? もしそうだとしたら僕はとんでもなく無礼だしねぇ。


「皆の者、このローレンをただの模擬とは言え、打ち負かしたのはデオル・アグールである!!」

「アイツが堕落貴族」

「団長が負けたのが?」

「疑問に思った者は今からサシで俺と打ち合え!! そしたら分かる!!」


 嘘だと言ってくれぇ。なんで団長が一番の努力家なんだよ!! もう少しさ、他の人にその役は与えてくれないとぉ。・・・心強い味方が増えたって思えばいいかもね。僕はこの世のことをまだしっかりと分かっていないから協力してもらわないと。


「デオル、風呂に行くぞ」

「レオン様」

「動けるか? 無理であるなら連れて行くぞ」

「大丈夫です」


 身体がプルプルと震えるけど、不思議と気持ち悪くない。なんならコレが心地よい感じだねぇ。もしかしてフィーが言っていた達成した時の感情なのか? まだまだ先の未来に体験すると思ったけど案外早かったね。




 僕はレオン様と何故か風呂場にいた。デッカイので唖然としていると「気にするな。二人占めだ」とレオン様は笑顔で言ってきた。いや僕は申し訳ないと思っている訳ではなくて普通にデカくて驚いているだけなんだよね。


 この大浴場の1/7でいいからほしいなぁ。あの家には五右衛門風呂しかなかったし、次は作れるようにスキルを獲得しておかなければな。


「チッ先客がいやがっ__デオル・アグールぅ!!」

「はい、僕がそうですが?」

「貴様ぁどうしてここにいる?」

「それは俺のセリフだな。兄上?」

「レオン、貴様がこの男を入れたのか!?」

「あぁ俺の友人だからな」


 コレって僕のせいで兄弟喧嘩になりそうになっているって訳なのかな? というかこの人に僕は何かした覚えないし、記憶が正しいのであれば初対面な筈だよねぇ。間接的に何かしたと言われても困るから早めに解決しておきたいんだけど、無理そうだ。


 誰かぁ~助けてください。僕を何故か挟んで王子二人がバチバチにやり合いそうなのですがぁ。怖いからどっか他の所でお願いします。ここで僕が何か言ったら絶対に不敬罪で処刑だよぉ。フィーに助けを求めるわけにはいかないしなぁ。


「奴隷のエルフ共と一緒か? 相変わらずだな」

「ふん、お前は男色にでもなったのか?」

「ソレは貴様であろう? 兄上?」

「エルフだけだ」

「うむ……貴様にはフィーベル嬢は惹かれぬぞ。ソレだよりではな」

「・・・お前らいくぞ」


 口喧嘩強いなぁ。今更だけどフィーってもしかしてモテる? 何故か嫌だなぁ。なんと言うかモヤモヤするし、絶対に今の人には渡したくないって感情が出てくるのはどうしてだろう? 前世でもこんなのはなかったから困惑だ。


 ・・・アレかぁあの人がクズだと思っているからフィーを渡したくないと思うんだぁ。他で考えればそんなことはない筈。例えばレオン様の側し__〔イラァ〕__なんで? 勝手に考えてどうしてイラついているんだろう?


 側室ってところに怒っているのかぁ。フィーが婚約者も既婚とかでもなくて、いい人と付き合って結婚して家庭を作って幸せに暮__〔イライラ〕__だからなんで!? 僕にとってフィーは……友、達、だよね?


「デオル……今何を考えている」

「えっと……フィーのことですね」

「・・・フィーベル嬢が兄上を好きになったらどうする?」

「いやです」

「うむ、他の者では?」

「・・・それも嫌です」

「貴様……嫉妬しているではないか」


 嫉妬? 誰が? 僕はそんなモノはない筈。だって前世でも誰かに嫉妬や恋したことがないんだよ。だからないは、ずだ。僕は・・・フィーのことを……好いて……いるの? いや、そんな ことはないね。僕は誰も好いていないし、友達がとられて少し嫌なだけだね。


 そうに決まっているよ。だって僕はそういう感情はないし、あるわけがないもん。僕は誰も好きになったりなんてしないね。だからこれは勘違いで間違いない。


「デオル、顔が真っ赤だぞ?」

「ッ~ッ!! 逆上せただけです。先に上がります」

「ソレはおかしいな。湯には浸かってはいないがな」

「ッ///」


 あの王太子は嫌いだ!! フ……団長さんにイジメられたって言ってやる。あと、ドワーフさんにもだ!! それともうこの人経由で王城には絶対に泊らない。何があっても。

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