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13話 打ち合い1

「ここは……アレかぁ」


 確か王城に泊ったんだったなぁ。はぁ、僕が辺境伯に狙われている可能性があるって__名前は? 思い出せないぞ? レオン様なら分かるかもしれないけど、なんで僕は覚えていないんだ? まっいいかぁ。僕が覚えていない理由はおそらくは興味がないからだろう。


 何も不思議に思うことではないかな。レオン様達って今は寝ているかぁ。あと1時間くらいで夜明けなんだからソレまではいつも通り鍛錬しておくかぁ。確かここには訓練場があった筈だし、少しくらいなら何も問題はないよねぇ。



「ん? 客人か。なんの用だ?」

「鍛錬をしようかと」

「一緒にどうだ? 打ち合いしたかったんだが相手がな」

「僕でよければ」


 誰もいないと思っていた訓練場に先客がいたから戻ろうと思ったら誘われた。しかも打ち合いをとることにもなったしね。アレかな? 近衛騎士団の熟練騎士だったりして。僕に勝ち目はないだろけど、いい経験にはなるかもしれないなぁ。


「人と打ち合いしたことは?」

「ないです」

「そうか。武器を奪われたか降参と言った方が負けにしよう」

「分かりました。魔力の使用は?」

「なしだ。あと急所もな」

「合図はこの盾が落ちたらでいいですか?」

「分かった」


 僕は木剣と盾を取り、盾だけを上に投げた。即構えをとり相手を見る。木製の盾に剣を構えている相手は隙がないように見える。まぁ僕が素人すぎるってだけかもしれないけど、相当死線をくぐって来ていることには間違いない。


 盾が地面に落ちると同時に目の前に騎士の剣が迫っていた。それをなんとか防ぐが重くて少しよろけてしまう。相手は口角を上げて「ほぉう」と言って盾をこちらにぶつけようとしてくるので僕はソレを利用して後退した。


「タイミングを合わせて盾を蹴って後退か」

「コレもだけですか?」

「いいや、その避け方を想定していなかっただけだ」

「・・・身体能力、強化使ってませんよね?」

「あぁ使っていないさ」


 ってことは素の身体能力だけで目が追い付かないほどの速度を出していたのか。近衛騎士団ってもしかして相当な強さしているのかも。考え事していたらまたすぐにでも突っ込んで来そうな感じだし、今は目の前にいる人のことだけを集中しないと。


 僕から仕掛けたけど隙が無さすぎる。もし急に出来ても攻めに行きにくいなぁ。それを分かっているとは思うけど、どうしたものかぁ。あまりこの人に攻撃するタイミングを作りたくないけど、攻めにも行けないからどうしたものかね。


「戦闘経験は豊富みたいだな」

「そうですね。少しだけは」

「謙虚だな。他の騎士ならばもう打ち込んできているぞ」

「堪え性がないんですか」

「はっはっ、ないんではなくそう教わっているからだ」


 なるほど、それであれば納と__ッ⁉ あの野郎、石を飛ばしてきやがった。慌てて剣で弾いたけども見失ってしまっているな。コレはまずい状況ってことだけは分かるんだよ。幾度なく経験してきた状況だから分かる。


 この時は背後にいるってことをなぁ!! 振り向きざまで切りかかるが簡単に防がれた。コレは降参した方がいいかもしれないくらいには実力差がアリ過ぎるなぁ。僕ではこの人に勝てる気が__するけど、人とやる経験があるからなぁ。


「今、降参しようとしたな?」

「どうして分かったんですか」

「急に力が抜けたのは分かるからな」

「してはダメですか?」

「実力では君の方が上だと思うが……経験しなくていいのか?」

「それでも勝てないでしょう」

「全力でやっていないのにか? 負け犬だな」


 挑発かぁ。僕の経験の無さを分かった上で、降参させないように立ち回る。しかも僕が魔力を使わずにいた状態での全力ではないってことを分かっているんだなぁ。全力を出したことは前世や今世を合わせても一切ない。


 ここで全力を出さずにそれで終わりっていいのかな? 個人的にはいいとは思うけど、普通ならここで全力でぶつかるのではないか? 僕には全力の出し方が分からないし、そんなことをしてどうなるって思うけど、ここでやるべきか。


 今は余計なことを考えずにここでぶっ倒れるくらいに目の前にいる人に僕をぶつければいいっか。それが全力なのかは分からないけど、普通と思われるのであればやる。じゃないと__僕は本物の■■■になれないよねぇ。


 前世では一切出さなかった本気を今世では出すって不思議な気分になるけど、やってみたら気持ちいいかもしれないなぁ。


「来い客人!!」

「行きます」


 地面を強く蹴る。相手の驚く顔が見えるけど気になんてしない。だって反応出来ているんだから。それなら反応できない速度になるまで限界を超えて動くだけだ。全力なんてモノは出さずに出来るって思っていたけど、面白いなぁ。




~レオン視点~


 俺が起床するとメイドたちが訓練場で騎士たちが大盛り上がりをしているとの報告を受けて来てみたはいいものの。何故、デオルとローレン団長が勝負しているのだ? しかもいい勝負しているのも不思議だな。


 うむ……やはりデオルは強いな。あの団長はPlvは低いが間違いなく、近衛騎士団の中で1番強い。騎士にはPlvのレベルは一切関係ないと教えていたそうだが、そうかもしれないな。魔力を使えぬローレンでは勝ち目はないのに団の長を務めている。


 訓練や実践で自分を鍛え上げて今の地位にいるのだから、俺としても好感を持っている。こそデオルが強いと言うことを証明してくれたら一番いい男だと俺が勝手に思っている。まぁ父上がそんなことをさせる気はないだろうがな。


「うむ……賭け事は感心せぬな」

「「「「ゲッ!! レオン殿下」」」」

「貴様ら、今の反応は不敬だぞ」

「「「「えへへ、つい」」」」

「ついではないわ!!」


 全くもって俺に対して敬意を払わない奴らだ。まぁ今は無礼講でもいいのであろう。この余興を楽し__める状況ではないな。ローレンが吹き飛ばされたのにデオルの奴が攻撃の手をやめようとしておらぬのは止めねば。


「客人!! 楽しくなってきたなぁぁぁぁ」

「・・・えぇ」


 ローレンの奴、戦闘狂の面が現れてきおったな。満足するまで待つしかないな。

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