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第6話:筋トレの継続と、幼少期の肉体最適化プログラム

第1章:【覚醒編】平成元の6歳児、神の玩具を起動する


第6話:筋トレの継続と、幼少期の肉体最適化プログラム(1990年春・7歳・小2)


一九九〇年の春、桜の薄桃色が校庭のひび割れたアスファルトを汚す季節が巡ってきた。

鈴木雄大は、小学校二年へと何事もなく進級を執行した。

担任の顔ぶれもクラスメイトの座席配置も変わり、新学期特有の浮ついた騒がしさが教室を支配しているが、雄大の日常の密度に揺らぎはない。

放課後、実家の西日が斜めに差し込む冷たい畳の上で、雄大は両手の掌を正確な角度で接地させていた。

(二年。今の俺のノルマは毎日二十回だ)

骨格の成長線がまだ開いていない七歳の幼少期。

ここで安易に高重量の負荷をかければ、骨端線を損傷して骨の伸長を阻害し、将来の最大出力を自ら引き下げる致命的なエラーとなる。

必要なのは、自重の完全なコントロール。

そして、筋肉の起始と停止を脳内で精緻に意識し、あえて反動を使わずに負荷を乗せ続ける、未来の解剖学に基づく精密なスロートレーニングだ。

雄大は脇の締め角度を四十五度に固定し、体幹のブレをミリ単位で殺したまま、三秒をかけて胸が畳に触れる直前まで上体を沈め、再び三秒をかけて元の位置へと押し上げる。

前世の四十二年で培った強靭な精神力が、七歳の細い骨格にかかる乳酸の痛みを冷徹に無視させた。

(親父もお袋も、このガキの身体の下にどんなインナーマッスルが眠りつつあるか、まだ知る由もない。それでいい。あの二人には、ただ穏やかに、何不自由のない平穏な日々を過ごさせてやる。その平穏を脅かそうとする有象無象が表れたその瞬間、一撃でその骨格を叩き折るための絶対的な武力だ。身内を完璧に護り抜くための盾を、今のうちに徹底的に錬成しろ)

プッシュアップ二十回を微塵のフォームの崩れもなく完遂し、息を乱すことなく流れるようにクランチへと移行する。

単に頭部を上げるのではない。

骨盤を固定し、腹直筋の深層にある腹横筋を限界まで絞り込み、呼吸のコントロールだけで腹圧を極限まで高めていく。

衣服の下に隠されたその小さな肉体は、無駄な脂肪を徹底的に削ぎ落とされた硬質な鋼の苗床へと、静かに、そして確実に最適化されつつあった。

開け放たれた窓の外からは、春の陽気に浮かれた近所のガキどもが泥まみれでボールを追いかける、締まりのない笑い声が風に乗って聞こえてくる。

雄大は額を伝う一滴の汗を手の甲で無造作に拭い、学習机へ向かうと、自由帳の最深部に記されたナンバーズの四桁の数字を静かに睨みつけた。

世界を相手に仕掛ける逆転のタイムラインは、一ミリの狂いもなく進行している。

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