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第57話:ネット黎明期のC国未来巨頭の極秘買収と議決権掌握

第6章:【覇王・二輪覚醒編】平成裏面史の浄化と16歳のバイク通学


第57話:【大陸への罠】ネット黎明期のC国未来巨頭の極秘買収と議決権掌握(1999年4月・15歳・定時制1年)


桜の絨毯がアスファルトを薄桃色に染める四月。

中学を卒業した俺は、十五歳になり、宮崎の定時制高校へと正規進学を果たしていた。

昼間は完全に自由な時間を確保し、夜間だけ校舎に通うというこの選択は、裏のフィクサーとして活動するための最高のアリバイであり、新しいインフラでもあった。

「雄大、お天気がいいから縁側でお茶にしましょう。桜餅があるのよ」

一階から母親の恵子の弾んだ声が聞こえ、俺は新しく新調した自室の机から立ち上がった。

階段を静かに降りて縁側へ向かうと、春の柔らかな日差しが庭の芝生を青々と照らし出している。

「新生活はどう? 昼間がこれだけ空いていると、なんだか不思議な感じね」

恵子が淹れてくれた温かい緑茶をすすりながら、上品な甘さの桜餅を口に運んだ。

「うん、自分のペースで本を読んだり勉強したりできるから、すごく過ごしやすいよ」

「そう、あなたが楽しそうなら何よりだわ。お父さんも、雄大の選択は正しかったって安心していたのよ」

無口な父親の健一がリビングの奥で愛飲しているブラックコーヒーの深いコクと香りが、春の風に乗ってうっすらと漂ってくる。

前世のあの貧困から完全に解放され、両親がこうして穏やかに新しい季節を迎えている日常の光景こそが、俺の戦う理由そのものだった。

のどかな昼下がりを満喫して自室に戻り、俺はパソコンのキーボードへと指先を滑らせていた。

一九九九年四月。

この月、アジアの地、とりわけC国において、後に世界を震撼させることになる巨大な電子商取引の芽が、ひっそりと産声を上げている。

創業したばかりのア◯ババ社。

未来のデータベースが指し示すその企業の価値とタイムラインを、俺は神のスマホを通じて冷徹に追跡していた。

ズボンのポケットから使い慣れた灰色のPHSを取り出し、東京の黒崎さんへ連絡を入れる。

「黒崎さん、お疲れ様です。定時制の入学手続きも無事に終わって、昼間の時間が自由に動かせるようになったよ」

受話器の向こうから、いつものように深い信頼を寄せた黒崎さんの声が響く。

『雄大さん、ご進学おめでとうございます。昼間の自由度が上がるのは、こちらとしても非常に動きやすくて助かりますよ。それで、例のC国の新興企業の件ですが』

「ああ、創業直後のア◯ババ社に対して、シンガポールの匿名ダミー法人を経由して、まずは十億円の最初期の出資を実行してほしいんだ。確実に最大の議決権を確保できるスキームでね」

『了解です。まだ実績も何もない、机一つから始まったような会社ですが、雄大さんがそこまで狙い撃ちする意図は、これまでの結果を見れば火を見るより明らかです。彼らが気づかぬうちに、水面下で資本の首根っこを完全に掌握しておきます』

「頼むよ、黒崎さん。それから、残りの百五十億円の資金だけど、日米のハイテク銘柄やドットコム株へ全額ロング投資で配分を進めてほしい」

『日米のハイテク株へ全額ですね。分かりました。現在の狂乱バブルの上昇気流を考えれば、恐ろしいほどの加速が見込めそうですね。すぐに動かします』

「ありがとう、黒崎さん。これからの市場の動きを楽しみにしているよ。それじゃあ, また」

ピッとボタンを押して通話を切り、PHSをそっと机へと置いた。

誰もが新しい環境に胸を躍らせ、全日制の華やかな高校生活の始まりを初々しく迎えているこの春の昼下がり。

俺が動かした資本は、アジアの大陸に眠る未来の巨頭を完全にその統治下に収め、次なる巨大な市場の天井に向けて、静かに、そして牙を研ぎ澄ませながら侵略の網を広げていた。

(アマテラス・グローバルの総資産:160億円 / うち10億円を創業直後のア◯ババ等へ配分。残りの150億円を国内外の日米ハイテク株・ドットコム株へ全額ロング投資)

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