2年生 夏④
花火を見終えた私たちは、
言葉を交わす事を躊躇いながら、
地面を見つめていた。
日野「あ、あのさ…さっきのって」
「花火、綺麗だったね」
日野「ああ、うん、綺麗だった」
「屋台のごはん、美味しかったね」
日野「うん、美味しかった…」
「私、自分がこんな事するなんて思ってなかった」
「ビックリさせちゃって、ごめんなさい」
自分の事が分からなくなってた
頭の中で思考が言葉を形作ろうとするけど、
形成と霧散を繰り返し続けて、無意味だけ生まれ続けてる
顔も、心臓も、全部が熱いまま
答えを出す必要なんて、ないはずだけど
もっと近づきたくて、後先ばっかり考えてるけど
それでも、知りたかった
「あのね、私、日野くんの事 好きだよ 」
「私、あまり友達とかも多くなくて、」
「話しかけてくれた日、本当にうれしかったんだ」
「日野くんも、宮本くんも、優ちゃんも、みんな好き」
「でも、日野くんへの好きは、特別な方」
返事が上手じゃない私に、たくさん話をしてくれた。
目が合いそうな時、顔を隠すけど、
赤くなった耳が少し見えちゃうところ。
嫌いなものじゃなくて、好きなものを教えてくれるところ。
私を大事にしてくれるところ。
他にもあった気がしたけど、今浮かぶのはこれだけ。
色々な気持ちと思い出を上書きするように、
好きと怖いが頭の中で手を繋いでる。
好きだから、答えを知りたい。
だけど、怖い。
日野
「こういう事、男の俺からするんだって勝手に思ってた」
「気持ちも、俺から伝えて、受け取ってもらえるか、断られるか」
「一人で完結まで持って行かなきゃって、勝手に思って」
日野くんは、俯いたまま。
日野
「だから本当にビックリしちゃってさ」
「今も心臓バクバクだし、花火の記憶ちょっと飛んでるし」
日野くんは、少し顔を合わせようとしてくれてる。
日野
「俺も、新井さんの事が好きだ」
「春に声かけたの、めっちゃ緊張してたんだよ」
「でもバレないように、ミノルも手伝ってくれて」
日野くん、顔赤いよ
日野
「俺、今、多分世界で一番幸せだ」
「新井さん、大好きです。付き合ってください」
私も、顔、真っ赤だと思う
「はい、私もだいすきです。」
人気の少ない公園でよかった
周りを気にする事なく
抱きしめ続けられるから




