2年生 冬①
季節は移り替わり、
気づけば冬。
あの日からずっと、私たちは近づき続けてる
日野「新井さん、おはよ~」
宮本「新井さん銀太おはよ~」
日野「ミノルおはよう」
「日野くん、宮本くん、おはよう」
日野「今日も放課後、一緒に帰ろ?」
「う、うん…」
宮本「お前ら、夏から露骨にイチャイチャと…」
日野「嫉妬してしまう気持ちは分かるが、お前も早く彼女作れよ」
宮本「へいへい…」
お互いに勇気を出した夏の日、
あれ以来、私たちの間にあった壁が柔らかくなっていく
チャイムの音が鳴る
日野「じゃ、今日も頑張るか~」
「うん、頑張ろうね」
今日もいつもと変わらない日が幕を開けた。
~~昼休み~~
日野「くぁー! やっと飯が食えるゥ」
宮本「そういやお二人さん、この後のご予定は?」
日野「仲良く授業受ける予定だけど…」
宮本「そかそか、銀太、飯食い終わったら少し顔貸してくれ」
日野「お、おう、どうしたんだ?」
宮本「たまには男の話って奴を少しだけな」
「男の話…?」
宮本「新井さんは気にしなくていいから、ほら、食べよ!」
この状況で気にならない訳がないけど、
言いづらい事なら聞かない方がいいよね。
日野「よし! ミノル、話って?」
宮本「教室じゃちょっと、こっち来て」
日野「お、おう」
・・・
日野「トイレまで来る必要あったか?」
宮本「新井さんに見られたらヤベーんだよ」
日野「見られたらヤベーってなんだよ」
宮本「ほら、お前らに少し早いクリスマスプレゼントだ」
宮本の手には少なくない数の避妊具が握られていた
日野「・・・え?」
宮本
「お前ら付き合って何カ月目だよ、流石に準備しとけ」
「別に急かしてるとか、そういう訳じゃないけどな」
「お互いの為に、何が起きてもいい様に備える」
宮本「男の義務ってヤツだ」
宮本は、二人の事を想っているからこそ、
触れづらい部分も迷わず触れる。
日野
「おーう…サンキュー…」
「気ぃ遣わせちゃってごめんな、普通に助かるし、気を付ける」
「俺さ、今日、家に誰も居ないんだよな…」
日野「ど、どうする?」
宮本「俺に言う事じゃなくない?」
日野「…確かに」
~~放課後 玄関口~~
日野「新井さん、今日ってずっと暇だったりする?」
「うん、今日は帰って勉強しようかなって思ってたくらい」
日野「そっか」
玄関口をいつもの三人で通り抜ける
なんだか、日野くんが元気じゃないような感じがする。
そう思って、声をかけようと思った時だった。
宮本
「うっし、そろそろ用事思い出しそうだわ」
「ちょっと早いけど俺はここで! それと、新井さん!」
「日野から話あるっぽい!」
宮本「そんじゃまたな~」
「え? あ、またね~?」
「日野くん、話って?」
日野「あー、ええ…あいつマジか…」
日野「今日、俺ん家誰もいなくてさ、よかったら、うち来る?」
「あぇ…えーと…お邪魔しようかな」
日野「う、うん、お邪魔してください」
二人っきりに慣れたはずなのに
まだ高鳴るんだ
~~日野の家~~
日野「ただいま~」
「お邪魔しま~す…」
日野
「誰も居ないから気楽に気楽に!」
「俺の部屋は、階段上がって突き当たりの部屋」
「飲み物用意するから、適当に座ってて!」
日野「後、引き出しとかは絶対開けないで」
「わ、分かった」
階段を上がる足音と鼓動がシンクロする。
男の子の部屋、好きな人の部屋。
知らない廊下。
自分の部屋とは違う匂い。
ドアの先、まるで異次元への扉みたいだなって思った。
部屋には勉強机、ベッド、テーブル、テレビ
パソコンにはヘッドホンが繋がってる。
音楽とか聴くんだろうな。
日野「おまたせ、とりあえず紅茶とジュース持ってきた」
「あ、ありがとう」
日野「あ、暖房付けるね」
日野「テーブルの上、片付けたら勉強しよっか」
「うん」
教科書とプリント、ノートとペン
用意してるフリしてるけど、意識は上の空
テーブルだけが保ってるこの距離が
無くなっちゃったら、どうなるんだろう




