2年生 夏①
熱いという言葉では、もはや事足りない。
"灼熱"の日差しが、通学中の私たちへ降り注ぐ。
日野「アヅい…」
「そうだね…」
気づけばもう夏だ。
日野くんとは春に出会い、
連絡先を交換したり、
結構な頻度で連絡を取り合ってたり。
日野「ミノル、大丈夫か?」
宮本「大丈夫ではない…暑いィ~…」
日野「新井さん大丈夫?」
「はい…」
日野「もうすぐ学校だから、耐えるんだ…」
「ひい…」
学校に到着して、靴や荷物を用意しているだけで
皮膚という皮膚から雫が噴き出してくる。
シンプルに、生命的に危険な季節の到来である。
広瀬「おはよ~!仲良し三人組じゃん、混ぜてよっ」
「ゆうちゃんおはよ~。今日も暑いねー…」
広瀬「あちーね!帰り道で喰うアイスが美味しい季節だよ~」
「それ、今言うの~…? 食べたい…」
日野「今日の帰り、絶対アイス買うぞ」
宮本「それまで耐え抜いてみせる、銀太、死ぬなよ」
日野「ミノル、お前もな」
宮本「応」
予鈴が鳴り、騒がしくなる教室、
始まる授業、先生の声、紙に擦れる芯の音。
もはや、避暑地として機能している教室、
通学も、寄り道も、苦痛が伴う季節。
だけど、幸せって苦痛が大きいほど、幸せも大きい気がする。
・・・
日野「やっと帰れるゥ!」
「おつかれ~…」
日野「新井さんもお疲れ! 帰りにミノルとアイス買って帰ろ!」
宮本「朝から食いたかったんだよな~、優はどうする?」
広瀬「私部活あるから、今回はパス~」
「ゆうちゃんは本当偉い…倒れないように気を付けてね…」
広瀬「こっちのセリフかも」
「うう…」
日野「よっしゃ、じゃあ帰りますか~」
宮本「アイス♪ アイス♪」
日野くん、宮本くん、私の3人で帰る事が多くなっていた。
日野くんとは家の近くまで方向が一緒。
宮本くんとは途中まで一緒。
先に宮本くんがいなくなって、
二人きりになる時間がある。
宮本「じゃあな~」
日野「またな~」
「またね」
日野「朝から我慢してた分、アイス最高だったんだけど」
「そうだね~」
日野「夏だしさー、なんか、こう、もっと夏っぽい事したくない?」
「夏っぽい事?」
日野「プールとか、海とか、祭りとか?」
「プールと海…」
日野「ん? 泳ぐの得意じゃなかったりする?」
「いや、ちょっと水着とか恥ずかしいかも…」
日野「あ、ああ。あー、じゃあ花火見に行くとか…どう?」
気まずそうな顔してた。
「花火なら…いいよ」
日野「じゃあ、明日か明後日、空いてる日ある?」
「うん、どっちでも大丈夫」
日野「じゃ、じゃあ明日でもいい? 集合場所は…」
日野「どうしよっか、人混み大丈夫?」
「あまり得意じゃないかも…」
日野「そっか、じゃあ集合場所は駅前じゃなくて、ここにしよう」
待ち合わせは、会場から少し離れた場所にした。
「うん、わかった」
日野「屋台は俺が行って色々買ってくるから」
日野「新井さんには少し待っててもらう感じで」
「いいの?」
日野「うん、いいよ」
「ありがと…正直たすかります…」
日野
「うん、まかせなさい」
「また細かい時間とかはメッセージ送る」
「それから、すっげえ楽しみにしてる。ありがと」
「う、うん…」
「わたしも」
日野「おう…」
数十、数百、数千、同じような状況の人達
数多ある同じような存在の一部
だけど、間違いなく、特別だった




