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処刑された『闇魔法使い』の姉を救うため、死に戻った『光魔法使い』の妹は運命に抗う ~役立たずと捨てられた義妹ですが、今度は絶対に守り抜きます~  作者: 東明時裕夜
第三章 帝国の右腕と地下図書室の秘密

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第37話 母の遺産と特訓の幕開け

「アミア、そっちに魔石はあった?」


 静まり返った地下訓練所に響くお姉様の声に、私はハッと我に返った。

 いけない、母の遺したノートの真実に、深く考え込んでしまっていた。


 周囲を見渡すと、リフレットさんはまだ木箱に座って足をぶらぶらさせており、私に注目している者は誰もいない。


「いえ、魔石はまだ見つかりません!」


 私はそう答えながら、素早く母のノートを肩にかけた革製の鞄の奥深くへと滑り込ませた。


 (……ごめんなさい、お姉様。一周目で、お姉様が私を守るために『水魔法しか使えない』という嘘をつき通してくれたように。今度は私が、お姉様を守るためにこの嘘を抱え続けます)


 このノートの存在を、お姉様に知られるわけにはいかない。もし「お母様のノートを見つけたの? 私にも見せて」と言われれば、破られたページの痕跡から、聡明なお姉様にも『代償』の存在を感づかれてしまうかもしれないからだ。


 そして……この部屋を管理しているハーヴェー様にも、内緒で持ち出すことをどうか許してほしい。

 これは後で自室でじっくり読み込んで、必ず習得しなければならない。

 母は、私に最強の武器を遺してくれていたのだ。


「……ありがとう、お母様」


 私は小さく呟いた。

 この知識は、私たちの未来を守るための盾であり、剣になるはずだから。


 その時。


「見つけたぞ! 予備の魔石だ!」


 ハーヴェー様の明るい声が、訓練所に響き渡った。


「ふぁぁ……やっと見つかったのね。待ちくたびれたわ」


 リフレットさんが大きな欠伸をして、木箱から飛び降りる。

 ハーヴェー様の手には、自ら発光するような瑞々(みずみず)しい、青色の菱形ひしがたの魔石が握られていた。


「この青い魔石は特殊でね。稀に水魔法のような現象を引き起こすことがあるが、訓練にはちょうどいいだろう」


 ハーヴェー様は優しく微笑みながら、部屋の中央に鎮座するゴーレムたちの方へと歩み出た。


「……さあ、始めましょうか」


 私は顔を上げた。

 母の足跡が残るこの場所で、運命を変えるための特訓が、今、幕を開ける。

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