セドリック、グロリアの昔話
とある廃れた街。
そこはスラムなどと言えないぐらい何も無く、ただ瓦礫しかなかった。
スラムの場合なら近くに発展都市があるはずだがそこには何も無い。
もっと詳しく言えば街どころかその島には何も無い。
数年前、ある国の王はは犯罪者や国に対しての危険人物を国の牢獄に捕らえて置くことを酷く恐れた。
彼らがいつ脱獄するか、自分が寝ているうちに脱獄者が国を滅ぼしているかもしれない。
そう考えると王は夜も眠れなくなった。
数日後、王の命令で国に捕らえられていた男の犯罪者、危険人物は全て処刑された。
しかし、女性や子供の対処に王は悩んだ。
男同様処刑する事も考えたがどうも一歩踏み切れずにいた。
そんな中、1人の大臣が王に進言した。
「最近滅ぼした敵国に女、子供を放り込めばいかがでしょうか。どうせあそこは島ごと焼き払い何もありません。流刑と考えれば王も少しは気が休まるでしょう」
王はその意見を即座採用してすぐに行動に移した。
国中の牢獄に捕らえられていた女、子供はすぐに焼き払われ何も無い島へ送られた。
しかし、王はそれだけでは飽き足らず自分の気に入らない人間はその家族含め、島へ送った。
そして国に存在していたスラム街の人間も全て送ってしまった。
数年が経ったが、今でもその島には人がいる。
しかし、自給自足もできるわけなく当時に比べて人は半分もいなかった。
そんな中、残った人達は一つにまとまり生き延びていた。
海の魚や、生き残っていた小動物を食べて生き延びた。
元は大泥棒と唄われていた女盗賊や、大量虐殺をした父親の息子、王の機嫌を損ねた元軍人などが助け合って今日も生きていた。
そんな中、1人の少女だけが集団から離れて暮らしていた。
少女は元からあった洞窟に1人で暮らして、何人かは話しかけてきが彼女は一言も返さずただ1人洞窟の奥で足を抱えて座り込んでいた。
少女は真っ暗な夜に行動して、他に生き延びている集団の場所に忍び込み食料を奪い、それを食べて生き延びていた。
少女は誰とも関わらず隠れて行きていた。
普通の人間なら数日間人との交流をしなくなると、だんだんと気がおかしくなっていくが少女は平然と洞窟の中で暮らしていた。
しかし、そんな少女も洞窟暮らしを続けたせいか、病にかかってしまった。
その病は最近島で流行り始めた伝染病だった。
彼女もその病に犯されてしまい、二、三日経つと動けないほど衰弱しきってしまった。
食べ物と水は少し余ってはいたが、日が経つにつれて段々朽ちていった。
少女は朦朧とする意識の中でも誰かに頼ろうという考えは頭のどこにも無く、このまま自分は死んでいくんだろうなと諦め始めていった。
しかし、少女の考えていた事は意外な訪問者によって覆された。
少女は自分でも気づかぬうちに寝入っていた。
静かに目が覚めると、外は激しい雨が降っていた。
少女はそんな雨を見ながら、自分は寒さも感じていないことに気がついた。
少女は再び目を閉じようとしたその時、何年かぶりに彼女は人の声を聞いた。
「わ、わ、すごい雨だね。みんなもこっちにおいで。あ、これは食べちゃダメだよ、お土産なんだから」
彼女の前には両肩に小さな鳥を数羽乗せ、頭にオウムを一羽乗せた少年が大きな葉っぱでできた包みを持って立っていた。
「やぁ、こうして話すのは初めてかな?最近僕らのとこに来ないから心配してたんだよ、元気?」
少年は笑顔で話しかけた。
少年は茶色い髪に黒い瞳をして笑っていた。
少女は暫く少年を見つめて、これは幻なのかと本気で思った。
すると頭に乗ったオウムが
「笑オウヨ」
と言った。
「あぁ、僕がいつもこの子達に言ってる言葉なんだ。君もそんな眠そうな顔してないで笑おうよ。ご飯も持ってきたから一緒に食べよう」
そう言って少年は少女に近づいた。
少女は何年かぶりに人と話すために口を開いた。
「ぉぅして?」
「ん?ゴメンもう一回言って?」
少女は長い間話さなかったので、あまり大きな声が出なかった。
少年は少女の真ん前まで来て、しゃがみこんだ。
少女は弱った体をようやく起こして再び話した。
「どうして?」
「え?どうしてって言われると・・・ただのお節介かな?」
少女はキョトンとした顔をして見た。
「とりあえず食べようよ!たくさん持ってきたよ」
少年は葉っぱの包みを開けて色々な果物を少女に見せた。
少女は一番小さな果物を取って口に入れた。
少年は笑いながら、少女の頭を撫でて言った。
「あ、自己紹介がまだだったね。僕はセドリック、君の名前は」
少女は口に入れた果物を飲み込み答えた。
「グロリア」




