図書館 館長室にて
ラヴェンナにある唯一の図書館。
その館長室の机から1人の男が扉をじっと睨んでいた。
彼の机の真ん中には丸型フラスコが一つ、簡素なフラスコ台に置かれていた。
「来たぞ、ファウスト」
どこからともなく声が響くと扉が勢い良く開いた。
赤い長髪の女性が肩で息をしはがらファウストに叫んだ。
「ハァハァ、全く。なんで三階建ての図書館なのに館長室が二階にあるのよ!!」
「館長室が最上階にあるなど誰が決めた?」
ファウストは静かに答えた。
グロリアは髪が逆立つくらい殺気だっていた。
「まぁまぁグロリア。たまには運動もいいことだよ」
後ろから赤髪で赤目の男が入ってきた。
「兄さんは黙ってて!全く、私がどれだけ苦労したと思ってるの?」
「知ったことか方向音痴」
「このっ・・・」
グロリアがファウストに掴みかかりそうになったのをセドリックが後ろから抑えた。
「ご挨拶ですね、ファウスト先生。久しぶりに会ったのですからお茶の一杯でも期待していましたが無理なようですね」
「あぁ、お前達に茶どころか、客として座らせるつもりも無いからな。客用のソファーは片付けた」
「いらないわよそんなの!相変わらず変わらない頑固な性格ね」
「まぁまぁグロリア、落ち着いてよ。じゃないと話が進められないよ」
グロリアはまだ言いたいことが山ほどありそうだったが、やむなく黙った。
セドリックが一歩前に出て
「改めて、お久しぶりです先生。いや、師匠と呼ぶべきですかね」
「どちらでも大差はなかろう。さっさと本題を切り出せ」
ファウストは無表情でセドリックを見つめた。
セドリックはそれでも笑いながら
「変だなぁ、先生は僕らの目的を知っているでしょう?一体何通手紙を出したと思ってるんですか?」
「知らんな、CERNから来た手紙なんぞ開けずに火に投げていたものでな」
セドリックは両手を白衣に入れて
「変わりませんね、先生は。アン先生はどこですか?」
「お前の知ったことではないだろう。狙いは私だけのはずだろ」
一瞬の沈黙。
ファウストが奇妙に思うなかグロリアが
「はぁ、呆れたわね。もう歳で頭が鈍ってるのかしら?」
「?」
セドリックはさらに一歩進み出て
「アン先生がCERNから逃げ出した理由はお知りでしょう?」
「あぁ、彼女でも未だにわからない実験の失敗だ」
「CERNで12の研究機関内の1つのトップにいた彼女が単純に失敗したと考えているんですか?随分平和的な考えですね」
「・・・。お前たちが何を知っているかは知らんが関係ない。今やそれは過去の出来事だ」
「原因が僕ら、だとしても関係ありませんか?先生」
「?!お前、一体何を?」
始めてファウストの表情が変わった。
するとセドリックはポケットから右手を出した。
そこには小経口の銃が握られていた。
「関係ないんでしょう?」
そう言ってセドリックは笑いながらファウストの頭を一発で撃ち抜いた。




