図書館にて
な、何なんですかあなたは?
俺は・・・ラッシュだ。
ベルリネッタ、お前の強い思い、男と関わりたくないという意思が生んだものだ。
で、でもあなたも男でしょ!
それはしょうがないだろう。お前が心の奥底で願ったことだろう。「男なんてとは関わりたくない」と。
男に真っ向から立ち向かえるのは男だというもんだ。
で、でも私の中に男がいるなんてイヤよ!
そこはほら、兄貴か弟とでも思ってくれよ。
これからずっとあなたは私につきまとうの?
まぁ、そうなるな。男と話す時は俺が体を所有する。相手が女ならお前が出ればいい。
あ、あなたがずっと私の体を所有することはないの?
それは無い。というか無理だな。
?
俺は女が苦手だからだ。
「・・・さん。・・・さん起きてよ!ベルリネッタさん!」
「う〜ん、何ようるさいわね〜」
「あれ、珍しいね。男口調じゃないや」
「え・・・?・・・ッ・・・キャーーー!!」
ベルリネッタはフーシェの顔を見るや否や叫び声をあげて布団を頭の上まであげてうずくまった。
「わっ!ビックリした!え、どうしたの?悪い夢でも見た?」
「あ、あ、€%〒☆#〆々?*♪・・・・」
ベルリネッタはフーシェを見て意味のわからないことを口走っていた。
「え〜と、大丈夫?先生呼んでこようか?」
ベルリネッタは手近の枕や花瓶をフーシェに投げた。
「出てって、出てって、あっち行けー!
」
「痛い!痛いよ〜!」
フーシェはベルリネッタの猛攻から逃れるために急いで外に出た。
残ったベルリネッタは息を荒げて部屋の隅で膝を抱えてうずくまっていた。
(ラッシュ!ラッシュ!起きてよ!
う〜ん、なんだよ。朝っぱらからうるせぇ!
やかましいっ!!
えぇ!?ど、どうしたんだベルリネッタ?
どうしたもこうしたも無いわよ。なんであのガキがこの部屋にいるのよ!男にあそこまで近づかれたなんて一生の恥だわ!
あ〜?寝ぼけてんのか?
寝ぼけてんのはあんたの方よ!ほら、早くあのガキの息の根を止めて
ちょっと待て!いいか、順番に話せ。まず何があったんだ?
あんたが寝てる間にあのフーシェってガキが入ってきたのよ!!)
部屋の外で頭を抑えて廊下に倒れてるフーシェ。
「なんだ?こんどは死体の練習か?」
その声に気づいてフーシェは顔をあげた。
前には館長のファウストが呆れた様子でフーシェを見下ろしていた。
「あ、先生!酷いんだよ、ベルリネッタさんてば僕が起こしに行ってあげたのにいきなり悲鳴をあげて色々投げてきたんだ!」
フーシェは立ち上がるや否やファウストに訴えた。
ファウストはため息をついて
「まずは、おはようございますから言ったらどうだ。それにまだ子供が淑女の部屋にいきなり入ったらそれは驚くだろう。ちゃんと謝ってこい」
「あ、先生。シラーは帰ってきた?」
「ワシの話を聞いたあとに言う言葉がそれか?」
ファウストは再びため息をついて歩き始めた。
「シラーならまだ帰ってきていない。心配ならさっさと探してこい」
そう言ってファウストは階段を降りていった。
ここは図書館の二階。
この階は最初は疫病で治療を受ける人たちが泊まるための部屋だったが、今や疫病はファウストのお陰で消えたので部屋は一部屋を除き、全て空き部屋となっている。今では部屋の一つはベルリネッタが入っている。
昨夜、ファウストは緊張しているベルリネッタを部屋まで案内した。
フーシェとシラーも一時期はこの階の部屋で寝泊まりしていたが二人は屋根裏部屋に興味を持ち、それからはそこで寝泊まりしている。
シラーは多分あの人の所に行ったんだろうな。
フーシェが弟のことを考えていると、ベルリネッタの部屋の扉が勢いよく開いた。
顔に布を巻いたベルリネッタが出てきてフーシェを睨みつけた。
そんな中でもフーシェはすぐに笑顔で
「ベルリネッタさんおはよう!」
ベルリネッタは一瞬すぐにフーシェにどなりかかろうとしたが考え直した。
(どうしたのラッシュ?
見ろよベルリネッタ
?
さっきベルリネッタの本気の拒絶でもこいつ はめげずにお前に笑いかけてるんだよ
・・・ホントね、どっかの誰かにそっくりだわ
誰のことだろうな
しらばっくれちゃって
とにかく、お前だってこいつに物を投げたりしたんだ。今回はお咎め無しでどうだ?
そうね、なんか毒気抜かれちゃったし)
ベルリネッタはフーシェの頭を荒っぽく撫でながら
「あぁ、おはよう。飯はどこだ腹が減ったぞ!」
と言った。




