港の市場にて
「あ~、面白かったね~。まさかファウストは天使だったなんて。逆に悪魔が試されてたんだね。最後はハッピーエンドで良かったよ」
「え~、僕はあのまま悪魔に八つ裂きにされてもいいと思ったけどな~」
「何言ってるのよシラー。ハッピーエンドじゃない話なんて大嫌いよ」
暗くなった港の市場で、先ほど劇場船で見てきた劇の感想を言い合う三人、フーシェ、シラー、ルーアンだ。
「でもホントに悪魔が来たら面白そうよね。もし来たら二人は何を頼む?」
先頭を歩いていたルーアンは振り返って二人に聞いた。
フーシェは少し考えて
「どうしようかな~。僕はどんな頑固者でも笑わせる方法を聞こうかな」
ルーアンは笑いながら
「真面目に言ってるの? フーシェは変わってるわね。シラーは?」
シラーは真剣な表情で考えていた
「う~ん、わかんないや・・・。ルーアンは?」
「え、わたし? 私は、世界を見てみたいかな。それでパパやママに探したいわ。あ、おねえちゃんには内緒ね。別におねえちゃんが嫌いなワケじゃないんだけど・・・」
フーシェは笑いながらルーアンの頭を撫でた。
「ルーアンは優しいね。大丈夫、先生には言わないよ。ねぇ、シラー?」
「うん、もちろん僕も言わないよ」
ルーアンは二人に幸せそうに笑って
「二人共、ありがとう! 、っていつまで人の頭撫でてるのよフーシェ」
フーシェはルーアンの頭を撫でながら
「いつまでもいいでしょう? 嫌だったかな?」
「別に嫌じゃないけど、もう十分よ~」
走って逃げるルーアンに追いかけるフーシェ、そんな二人には目もくれないシラーが家の影になってる部分を指さし
て言った。
「ね~、アレなんだろう?」
シラーの声に気づいて駆け寄る二人。
「なになに?」
興味津津でシラーが指さしたものを見る二人。
最初は黒いぼろ布の塊かと思ったが、三人の足音に反応してゴソゴソと動き出した。
「キャッ、なんなの?」
慌てて二人の背後に隠れるルーアン。
フーシェがどこからかっ持ってきた木の枝で突っついてみると、それはぼろ布の塊ではなく一人の人間が丸まっていた姿だった。
「う、うぅ何をするんだ」
丸まっていた人間は立ち上がろうとしたが、よろめいて倒れてしまった。
「ちょっと、大丈夫ですか?」
二人を押しのけて心配するルーアン。
「あ、あぁ、すまないが一ついいか?」
ルーアンはそばに駆け寄り肩をかそうとしていた。
「行き倒れだ、拾ってくれないか」
空腹で腹の鳴る音と共に言った。




