第8章 窓と鳥
第8章 窓と鳥
炎。村。人々の悲鳴。あまりにも凄惨な光景だった。誰かがゼファーの名を呼んだが、それが誰なのかはわからなかった。どこからか巨大な炎が押し寄せ、彼の悪夢を焼き尽くした。
天井はもう見慣れたものになっていた。心臓はまだ早鐘を打っていたが、しばらくすると落ち着いてきた。ゼファーはもう少しそのまま横になり、体の中の何かが静まるのを待った。部屋は昨日より少し違って見えた。前より、がらんとした感じが薄れている。壁際に寄せた小さな机、昨日ジュリアスが運んできた本棚、毎晩蹴飛ばして端に寄ってしまう毛布。
窓の外を見ると、空気は涼しく澄んでいた。吹き込む風には、家の下でイリスが育てているひまわりの香りが混じっている。もう朝のうちに寝過ごしてしまったのだと、ゼファーは気づいた。日は、思っていたよりも高く昇っていた。
それから、視線が窓枠で止まった。小さなひびは相変わらずそこにあり、枠の隅を斜めに走っている。これまで何度も目にしては忘れていたのと同じように。だが今回は覚えていた。今日こそ、おじさんに直してもらわなければ。
階下に降りると、ジュリアスがテーブルに着き、片手にティーカップを持ったまま、どこか虚ろな目で何かを見つめていた。
「おじさん。」
「どうした?」彼はゼファーを見た。
「部屋の窓が壊れてるんだ。直してくれない?」
ジュリアスは一瞬止まり、ゼファーを見た。
「ああ、言われて思い出した。直そうと思って忘れてた。」
「うわ……」
彼は本を閉じ、立ち上がった。
「行くぞ。」
「どこに?」
「直しに。」
あまりに短い返事で、ゼファーは何も聞き返せないまま、ただ後についていくしかなかった。
ゼファーは彼について物置へ向かった。金槌や釘、余った木材か何か、窓を直すための道具が出てくるものと思っていた。
だが、ジュリアスが引っ張り出してきたのは、隅に立てかけられていた、薄く埃をかぶった、まだ新しそうな窓だった。ゼファーの部屋にあるのと同じ種類のものだ。
「これ?」
「ああ。」
「俺の部屋の窓、ひびが入ってるだけだって。」
「知ってる。」
ゼファーは窓を見て、それからおじさんの背中を見た。
「じゃあ、ひびの入ってるほうを直せばいいじゃん。」
ジュリアスは窓を下に置き、手で埃を払いながら、ざっと眺め回した。
「こっちに替えるほうが早い。」
「魔法、使えるじゃん。」
「そうだな。」
「魔法使ったほうがもっと早いんじゃないの?」
「そうだな。」
ゼファーはしばらく黙った。よくわからなかった。
ジュリアスは彼を見て、いつもよりゆっくりと言った。
「直せるからといって、直す必要があるとは限らない。」
二人は古い窓を担いでゼファーの部屋に運んだ。蝶番を外す。古い枠を取り外す。ガラスについた埃を拭き取る。
ジュリアスの取り付け作業を手伝っていたとき、ゼファーは何かがおかしいことに気づいた。窓が逆向きに取り付けられている。外を向くはずのガラス面が、内側を向いていた。
ゼファーはしばらく立ち尽くして見ていた。
「おじさん。」
「どうした?」
「これ、逆に付けてない? こっちの面が外を向くはずだけど。」
ジュリアスは見直し、一瞬黙った。
「……ああ。」
「気づいてなかったの?」
「お前が気づくかどうか、試してた。」
「嘘つけ。」
「ああ。」
ジュリアスは吹き出した。
新しい窓を取り付け終えると、ゼファーは壁際に立てかけられた古い窓に目をやった。
「古いほうだって、まだ使えるじゃん。完全に壊れたわけじゃないし。少し氷の魔法を使うだけで直るのに。」
「そうだな。」
「なのになんで替えたの?」
ジュリアスは古い窓をしばらく見つめた。
「完全に壊れなければ替えちゃいけない、ってわけじゃない。まだ使えるなら、そのまま取っておいてもいい。もっといいものに替えられるなら、替えればいい。未練を持つ必要はない。」
ゼファーは答えなかった。古い窓を見て、それから取り替えたばかりの新しい窓を見た。
ジュリアスはゼファーを見て言った。
「まあ、どのみちこの窓も古かったんだ。新しいのに替えるのは、俺にとって理にかなった選択だっただけだ。」
ゼファーは部屋を見回した。大きくは変わっていない。机はそのまま。ベッドもそのまま。壁際の本棚もそのまま。
だが、もうひびは残っていなかった。
「ありがとう、おじさん。」
「窓一枚のことだろ。」ジュリアスは手を払い、背を向けかけた。
「でも、おじさんは一緒にやってくれた。」
ジュリアスはほんの一瞬、動きを止めた。
それから、ただ笑って、それ以上何も言わずに部屋を出ていった。
「飯食いに降りてこい、坊主。まだ何も食ってないだろ。」
「うん。」
朝食はいつも通りスープだった。二人が台所に降りたときにはイリスがすでに用意していたが、器はひとつだけで、ジュリアスとイリスはもう先に食べ終えているようだった。
朝食はいつもと同じように過ぎていった。スプーンが器に当たる音。ジュリアスが、今度みんなで首都に遊びに行かないかと何か言っていたが、ゼファーは聞いているようで、実はあまり聞いていなかった。
食べ終えると、ゼファーは少し外に出てくると言って、家を出た。
日は、思っていたよりも高く昇っていた。
柵に沿って歩いた。行き先を決めていたわけではなく、ただ足の向くままに任せていた。
そのとき、ある考えが頭をよぎった。あまりに速く、それが自分自身のものではないと気づく間もないほどだった。
『左』
ゼファーは半瞬、足を止めた。
左を見る。柵沿いに低い草が並んでいるだけで、何もなかった。
そのとき、草むらの中でかすかな物音がした。
灰褐色の羽をした小さな鳥が、必死に羽ばたこうとしていた。だが、数センチ体を持ち上げるのがやっとで、そのたびに地面へ落ちてしまう。
ゼファーはその場に立ち尽くした。
なぜ急にこちらへ注意が向いたのか、自分でもわからなかった。だが鳥は、まさに彼が目を向けたその場所にいた。まるで、そこにいることを最初から知っていたかのように。
しばらく見つめていたが、いつものようにその考えを頭の隅に追いやった。これ以上考えたところで、何かが変わるわけでもない。
かがみ込み、両手でそっと鳥を包み込むと、家へと持ち帰った。
イリスは彼の手から鳥を受け取ると、多くを尋ねることなく、自分の手のひらにそっと乗せた。しばらくの間、それをじっと見つめていた。
「魔法でこの鳥を治せるんでしょ?」ゼファーが尋ねた。
「できるわ。」
「じゃあ、なんでそうしないの? 包帯なんか巻いてさ。魔法をかければ、すぐ元通り飛べるようになるのに。」
イリスはすぐには答えなかった。鳥を見つめたまま、指先でそっと羽に触れる。
「治療すれば」と彼女は言った。「前と同じように飛べるようになる。」
少しの間があった。
「なら、どうしてそうしないの。」
「骨も、筋肉も、羽の構造だって、望めば治せる」イリスは続けた。声は、ゼファーにというより、鳥に語りかけているかのように穏やかだった。「できないからしないわけじゃない。」
「じゃあ、なんで?」
「治せば、知らないうちにこの子を何か別のものに変えてしまうかもしれない——それが、はっきりとはわからないから。」
ジュリアスが通りがかり、たまたま足を止めて、イリスの手の中の鳥を見た。
「どうした、それ。」
「飛べないんだ。」ゼファーが答えた。
「なら歩かせりゃいい。」
イリスは微笑んで、首を振った。
ジュリアスはもう少しの間、鳥を見つめた。
「完璧じゃなくても、生きる価値があるものもある。」
イリスは手の中の鳥に目を落とし、二人のどちらに向けたわけでもなく、静かに言った。
「わかった。このままでいく。そう長くはかからないから。」
しばらくして、ゼファーはまた家の中へ戻った。
朝に見た、自分の部屋の新しい窓を思い出す。それから、さっき手の中にいた鳥のことも。
ただそこに立ち尽くし、視線と思考がその二つの間を行き来する。なぜ同時にその両方を思い出したのか、自分でもわからなかった。
窓の外では、何羽かの鳥が近くの木の枝にとまり、まるで何事もなかったかのように鳴いていた。
それをしばらく眺めた。
この家の人たちのことが、ゼファーにはよくわからなかった。誰もが不思議で、明らかに魔法を使えば、もっと早くどうにでもできるはずなのに、あえてそうしない。
彼の部屋の窓は、まだ開いたままだった。




