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竜、翼を広げ天を覆う

# 第三章 — 竜、翼を広げ天を覆う


二人がプレインフィールドの城門を出たのは、まだ朝日が高く昇らない午前七時頃のことだった。細い小道は緑なす丘へと続き、早朝の光を浴びて鮮やかな緑に染まっている。道の両側には、淡い紫の野花がぽつぽつと咲いていた。背後では、一歩進むごとにプレインフィールドの城壁が小さくなっていき、やがて広がる緑の風景の中に薄い輪郭としてしか残らなくなった。そして前方には、見覚えのある森が地平線に姿を現していた。


「で、おじさんの家ってどこにあるんだ?」ゼファーは、狭い土の道をユリウスと並んで歩きながら尋ねた。


「王都の近くだ。ある草原の上にある」


ゼファーは足を止め、後方に遠ざかっていくプレインフィールドを振り返った。


「待てよ。王都?」ゼファーは眉をひそめた。「じゃあ、プレインフィールドに来たときとは逆方向に進んでるってことか?」


「そうだ」ユリウスはうなずき、歩みを進めた。「これからまた森に入るが、縁の部分を通るだけで、深くまでは行かない」


ゼファーは黙り込み、前方に広がる深緑の木々を見つめた。あの森――自分の村が焼け落ちるのを目にした場所であり、ユリウスと初めて出会った場所だ。それが今、別の角度からとはいえ、再び目の前に現れていた。


「まあ、このまま小道沿いに進むこともできるが、その場合は一日ほど余計にかかるな」ユリウスが言った。


「家があるのに、なんで放浪なんかしてるんだ?」ゼファーは話題を変えて尋ねた。


「探求のためだ。新しいもの、まだ知らないもの、まだ見たことのないものを探しに行く」ユリウスは地平線の先を見るような遠い目をして言った。「もう一年近く旅をしている」


「一年? そんなに長い間、放浪してたのか?」


「そうだ」


「じゃあ、その旅の話、聞かせてくれよ」


「家に着いてからだ。休んだ後で、坊主に話してやろう」


「分かったよ」ゼファーはうなずいたが、ふと何かを思いついた。「そういえば、それじゃあ家の中、埃まみれでクモの巣だらけになってるんじゃないか? 一年間も帰ってないんだろ?」


「いや」ユリウスは首を振った。「あの家には、まだ二人住んでいる。俺の友人だ。一人はルキウスという男、もう一人はアイリスという鬼婆だ」


「鬼婆?」


「そうだ。悪魔みたいな女でな、本当に恐ろしい悪魔だ」


「それにしても驚きだな。おじさんの家に三人も住んでるなんて」


二人は歩き続け、小道が森の縁へと差し掛かるにつれて、会話も自然と途切れていった。高くそびえる木々が日差しを遮り、草原の強い陽射しに比べて、空気はより涼しく、湿り気を帯びていった。


森の中を五時間ほど進んだ頃。


「なあ、おじさん、何か食べるものないのか? 腹減ったよ」ゼファーは片手で腹をさすりながら言った。


ユリウスはコートの中を探り、釣り糸の束と小さな釣り針をいくつか取り出した。


「ほら、釣り針と釣り糸ならある。適当な木を見つけて釣竿を作ろう。二人で魚を釣るぞ」


ゼファーは辺りを見回したが、見えるのは木々と乾いた地面だけだった。


「周り見てみろよ。木と土しかないじゃないか。湖も川もない。小川一本だってない。どこで釣るってんだ?」


ユリウスは黙り込み、少し寂しげな表情を浮かべると、釣り針と釣り糸をコートの中に戻した。


しかし天は見ていたらしく、しばらく歩いたところで、森を流れる小さな川を見つけた。水は澄み切っていて、岩の間をさらさらと流れている。二人はすぐに木の枝で急ごしらえの釣竿を作り、川辺の小さな岩場に腰を下ろした。


十分後、ユリウスとゼファーの腹が同時に鳴った。


「ったく、いつまで経っても一匹も釣れないな」ユリウスはぼやいたが、目は水面に釘付けのままだった。


ちょうどそのとき、ゼファーの釣り糸が大きく引かれた。


「魚だ! 頑張れ坊主、こいつは大物かもしれんぞ! 頑張れ!」ユリウスは笑いながら叫び、両手をぱたぱたと振った。


その期待に応えるように、ゼファーは一匹の魚を釣り上げた。


ちっちゃな魚だった。


それから三十分ほどで、合計四匹釣れた。どれも小ぶりだったが、二人分の食事には十分な量だった。


ユリウスは火属性の魔法で小さな焚き火を起こし、木の棒に刺した魚を一匹ずつ焼いていった。


ゼファーは、ユリウスの手の上で輝く魔法陣から炎が立ち上るのを見て、目を丸くした。


「おじさん、マジか? 氷も火も、両方使えるのか?」


「それぞれの魔法の本質を理解すれば、どんな魔法でも使えるようになる」ユリウスは、焼け始めた魚を見つめながら言った。「ただ、世間の人間は、生まれたときから使える魔法は一つだけだと思い込んでいるだけだ」


「信じられないよ。俺が一生かけても無理だと思ってたことを、おじさんは今、軽々とやってのけたんだぞ」


「これだ」ユリウスは、自分の火属性魔法陣の縁を走る紋様を指差した。「世間ではこれを魔法陣のルーン文字と呼んでいる。だが俺はこれを"方程式"と呼んでいる。坊主がこの方程式を理解し、魔法陣の幾何学を理解し、頭の中でそれを描き出し、処理できるようになれば、どんな魔法でも使えるようになる。ただ学べばいい話だ」ユリウスは少し言葉を切った。「だが、こういう話はお前にはかなり分かりにくいだろうな。俺は分かりやすく説明するのが得意じゃない」


ゼファーはユリウスを見つめ、それから最後の魚が焼け上がるのに合わせて消えていく魔法陣を見た。


「マジで信じられない」


食事を終えると、ユリウスは川辺へ歩み寄り、水面に映る自分の姿を見つめた。


(本当に"おっさん"みたいな見た目だな)ユリウスは内心そう思った。


ゼファーは近くの木の根元に腰を下ろしていた。


「ってことは、これから霧属性以外の魔法も自分で学べるってことか?」ゼファーが尋ねた。


「理論上は、できる」ユリウスは立ち上がり、手をはたいた。「だが魔法陣の方程式を理解するには、物質が微小な次元でどう振る舞うか、素粒子がどう相互作用するか、エネルギーが状態間でどう変換されるか、その原理をしっかり把握する必要がある。もっと簡単に言うなら……」ユリウスは一拍置いた。「それぞれの元素を一曲の楽曲だと思え。魔法陣は、その曲を楽譜に書き起こしたものだ。一曲の楽譜の読み方を覚えれば、その音楽の言語を理解している限り、他の曲の楽譜も読めるようになる」


ゼファーは一語一語を理解しようとしながら、ユリウスを見つめた。


「正直、あんまり理解できてない気がする」


「知ってる」ユリウスは驚く様子もなくうなずいた。「まあいい、家に着いたらルキウスが教えてくれる。こういうことは、俺よりあいつの方が向いている」


二人は再び歩き出した。


一時間ほど進んだところで、ユリウスが突然足を止めた。


ゼファーはそれに気づかず、さらに数歩進んだところで、いきなり襟首を強く引かれ、大きな木の陰へと引き込まれた。


木の葉を貫いて差し込む日差しは強烈な角度から照りつけ、前方をぼやけた光の斑点へと変えて、はっきりと見えなくしていた。


「まさか」ユリウスがつぶやいた。ほとんど自分自身に向けたような小さな声だった。「なぜあれがこんなところに……気のせいであってくれ」


「何かあったのか?」ゼファーは反射的に声を落として尋ねた。


ユリウスは答えなかった。


ユリウスは非常にゆっくりと前進し、強い光の差す場所を避けて、よりはっきりと見えるよう移動した。ゼファーはその後にぴたりと続いたが、何が起きているのか分からないまま、心臓だけが速く打っていた。


視界がはっきりしてきたところで、ユリウスはその場に立ち尽くした。


「まさか」彼は、ほとんど息だけのような声で言った。「あの怪物が、またここに現れたのか。それに……小さな人影が、竜の腹に寄りかかって寝ているように見える」


ゼファーは彼の視線を追い、目の前の光景がはっきりと見えた瞬間、同じくその場に立ち尽くした。こんなに巨大なものを見たのは初めてだった。頭部だけでも、かつて自分が住んでいた木造の家より大きい。


森の中に広がる湖は、水面が空をそのまま映し出すほど澄んでいた。その湖の上に、純白の巨大な竜がとぐろを巻くようにして寝そべっていた。体長はおよそ五十メートルにも及び、湖の面積の半分を占めるほどで、雪のように白い鱗が陽光を受けて輝いている。その柔らかな腹に寄りかかるように、身長百六十センチほどの細身の人物が、目を固く閉じて、まるで深く眠っているかのように休んでいた。


「行くぞ」ユリウスはゼファーの手をしっかりと握り、来た道を引き返すように走り出した。「あの怪物が目を覚ます前に、ここを離れないと」


(まさかまたあれと再会する日が来るとは)ユリウスは走りながら思った。(それに、あの人物は一体何者だ?)突然、自分の人生に関わる記憶の断片が次々と頭の中に浮かび上がってきた。(こんな……記憶が混乱している)


---


湖のほとりで、青い髪をした身長百六十センチほどの人物が、白い竜の腹に寄りかかったまま、目を閉じたまま、かすかに意味深な笑みを浮かべていた。


---


二人はかなりの距離を走り、翼の音が追ってきていないことを確かめてから、ようやく足を止めた。どちらも息を切らしていた。


「なんでおじさんはあの竜をあんなに怖がってたんだ?」ゼファーはまだ動揺が収まらないまま尋ねた。


「あれは本物の怪物だ」ユリウスの声は落ち着きを取り戻していたが、まだどこか普段と違う響きが残っていた。「旅の途中、北の方で一度見たことがある。あいつは俺に向かって真っ直ぐ飛んできた。そのとき、本当に長い間感じたことのなかった恐怖を覚えた。これは生死を賭けた戦いになると思った。だが幸運にも、あいつはただ通り過ぎただけだった。まるで俺なんか、立ち止まる価値もないというようにな。あいつが上空を通過したとき、その影が俺の周囲の広い範囲を覆い尽くした。まさか、また再会する日が来るとは思わなかった」


「あの竜が、俺の村を焼いた奴なんじゃないか? 距離的にも同じ森の中だし」


「いや」ユリウスは確信を持って首を振った。「あいつだったら、坊主の村どころか、半径一キロ以内は何も残らない。すべてが完全に消し飛んでいるはずだ。あいつが目を覚まさず、追ってこなかったのは本当に運がよかった」


「もしあいつと戦ったら、おじさんは勝てるのか?」


「それは運次第だな。まあ言うなら、勝率は十のうち四ってところだ。さあ、進もう。あの湖からはできるだけ離れた方がいい」


二人は日が傾き、光が黄金色を帯び始める頃まで歩き続けた。


「何か食べるものを見つけないとな」ユリウスが言った。


ゼファーは辺りを見回した。


「木と葉っぱしかないし、動物なんて一匹もいないぞ」


「今ここに狼の群れでも来てくれたらな……いや、一匹でも十分だ」


二人は歩き続けながら、何か食べられるものがないか辺りを観察した。


「キノコだ」ユリウスが言った。


「おいおい、おじさん、これ食えるのか? 色だけで十分ヤバそうに見えるけど」


「食える。俺を信じろ」


二人は近くの空き地で足を止めた。ユリウスが火を起こすと、暖かなオレンジ色の光が周囲の木々の幹に揺らめいた。木の枝をキノコに刺し、焚き火の近くの地面に立てる。キノコの量は多くなかったが、空腹を満たすには十分だった。


「ねえおじさん、本当にこれ食えるって確信あるのか?」ゼファーが尋ねた。


「食える。俺の経験から言って、絶対に食える」


(天の上にいる村の皆さん、どうかこのキノコを食べた後も生き延びられますように)


二人は同時に口に入れた。


「ちょっと苦味があるけど、まあ我慢して食えるレベルだな」ゼファーが言った。


「だから言ったろ、絶対食えるって」


食事を終えると、ゼファーは木の根元にもたれかかり、夜空を見上げた。


村が焼けた夜以来、こうして本当に足を止めて夜空を見上げるのは初めてだった。これまでの日々はあまりにも速く過ぎていき、ある出来事の後にまた別の出来事が続くばかりで、静かに座って考える余裕など一切なかった。


今、パチパチと爆ぜる焚き火の音と、闇の中で鳴く虫たちの声に包まれて、ようやくその余白が訪れていた。


両親のことを思った。覚えている記憶は年月とともにすでに薄れ、残っているのはわずかな断片だけだった――ある手の感触、ある笑い声。かつてのように完全な形では、もう残っていなかった。


村人たちのことを思った。メールばあさんのこと、ハルデンのこと、かつて自分の世界そのものだったすべての人々のことを。


未来のことも思った。これまで本気で向き合う必要のなかった、抽象的な何か。なぜなら、それまでの自分の未来は単純そのものだった――あの村で育ち、あの暮らしを生きていくこと。


(村がまだあったら、今頃みんな晩ご飯を食べてる時間だな)遠い星々に目を向けたまま、彼はそう思った。(メールばあさんは、きっと食器を片付けてる頃だ。レイメンおじさんは、戸口に座って、今の自分みたいに星空を眺めてるんだろうな)


涙は出なかった。何かが爆発するようなこともなかった。ただ長く、重く沈むような静寂があるだけだった。それは以前のような痛みとは違う、すべてが今や"もしも"の中にしか存在しないという、静かな受け入れだった。


ユリウスは焚き火の向こう側からその様子を見つめていたが、何も言わなかった。その静寂を、そのままにしておいた。


しばらくして、ゼファーはその思考から抜け出そうとするように、こちらを向いた。


「なあおじさん、前に家に着いたら一年間の旅の話をしてくれるって言ってたよな。もう話してくれる?」


ユリウスは顔を上げた。焚き火の光が彼の瞳に映り込んでいた。


「いいぞ」ユリウスは姿勢を正し、記憶を整理するような様子を見せた。「だが全部は話せない。一年は長い。順番すらよく覚えていないことも多いからな」


「別にいいよ、覚えてることだけでいいから」


ユリウスは少し黙り込み、炎を見つめた。


「あるとき、はるか南の方で、完全に地下に存在する都市を見つけた。自然の洞窟なんかじゃない、本物の都市だ。道があり、家があり、用途の分からない建造物まであった。そこには誰一人住んでおらず、あるのは闇と、完璧な静寂だけだった」


「地下都市? 誰が作ったんだ?」


「分からない」ユリウスは首を振った。「数日そこにいただけで、また旅を続けた。すぐに解き明かす必要のない謎もある。ただ、それが存在すると知っているだけでいい」


ゼファーは黙ったまま、その光景を自分の中にじっくりと染み込ませた。


「他には?」


「ある」ユリウスは続けた。声はさっきより柔らかく、まるで童話を語っているようだった。「もっと西の、別の森で、三百年以上生きている人物に会った。耳が長く尖っていて、普通の人間とは全く違っていた。あまり多くは話さなかった。古い大樹の根元に座って、まるで俺が来ることを最初から知っていたような目で、こちらを見ていた」


「三百年? どうやったらそんなに長く生きられるんだ?」


「俺もそれは気になった」ユリウスの声には、読み取りにくい何かが混じっていた。「いつか、お前自身がその答えを見つける日が来るかもしれんな。俺からじゃなく」


「他には?」ゼファーはすでに完全にその話に引き込まれていた。


「ある森だ。もう方向すらよく覚えていないが、木々が言葉を話す森だった」ユリウスは、本当にその光景を思い出しているかのように遠い目をして言った。「風が葉を揺らして言葉のような音を立てるんじゃない。本当に話すんだ。非常にゆっくりとした、非常に古い言語でな。俺にはほんの数語しか理解できなかった」


「木がおじさんと話したのか?」


「ああ。その森の名前を尋ねたんだが、たった一語を返すのに、丸一日の午後がかかった」


ゼファーは笑った。今度は前に宿で見せたような驚きの笑いとは違う、柔らかな笑いだった。


「おじさんって、変なものにばっかり遭遇するんだな」


「この世界は、お前が思っているよりずっと奇妙だ」ユリウスは満天の星を見上げて言った。「それに、これからも俺と一緒に旅を続けるなら、もっと多くの奇妙なものを目にすることになるだろうな」


ゼファーは答えなかった。ただ星々を見上げ、その言葉を胸の中に沈めていった。両親の面影、村の風景、まだぼんやりとした未来とともに……。すると突然、ゼファーとユリウスは二人同時に、めまいと頭痛、そして強い眠気を感じ始めた。


「なあ、おじさんも今、俺と同じ感じか?」ゼファーがめまいの中で言った。


「ある」


「絶対あの木のせいだ……」


そして二人は同時に意識を失った。


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