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悪役令嬢が攻略対象ではないオレに夢中なのだが?!  作者: naomikoryo


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第79話『初のペア戦』

 数日後の演習授業。

 学園の校庭には、広大な模擬戦用のフィールドが展開されていた。

 砂地と石壁、そして魔力を吸収する特殊な結界が張られており、怪我をしても致命傷には至らない。


 カイは笛を咥えながら、生徒たちに説明していた。

「今日は模擬戦や。ペアを組んで互いに実力を確かめ合うんや。力だけやなく、頭も使うことやで。」


 ざわめく生徒たち。

 そして――運命の抽選結果が張り出された瞬間、中庭に再び火花が走った。


「……ルーティア嬢とリリシア嬢、ペアを組むこと!」


 「えええっ!」と叫ぶ声が周囲から上がる。


「よりによって……」

 リリシアは唇を噛みしめる。

「どうしてあなたと組むのよ。」


「それはこちらの台詞ですわ!」

 ルーティアは腰に手を当てて睨み返す。

「旦那様のご指導を受けている私と、怪しい言動ばかりのあなた。絶対に足を引っ張らないで!」


「怪しい言動!? 護衛団のせいよ!」

「護衛もあなたの一部でしょう!」

「またそれ!?」


 二人の声に、周囲はクスクスと笑い始める。


 カイは頭をかきながら二人に歩み寄った。

「まあまあ。これは訓練や。ペアでやる以上、協力せんと意味あらへん。」


「協力……?」

 二人は同時に振り向き、そして同時に叫ぶ。

「私が主導権を握る!」


 校庭が爆笑に包まれ、カイは思わず笛を吹いた。

「ピッ! よし、ほな始め!」


 対戦相手は、剣士と魔導士のペア。

 剣士が前に出て斬り込み、魔導士が後方から火球を放つ。


「来るわよ!」

「分かってますわ!」


 ルーティアは紅の剣を抜き、火花のように切り払う。

 リリシアは風を纏った魔法陣を展開し、火球を散らした。


 動きは正反対。

 だが、不思議なことに噛み合った。


「え……?」

 互いに目を丸くする二人。


「私が斬る!」

「じゃあ私が守る!」


 言葉がかち合うたび、動きが補い合っていく。

 剣士の一撃はルーティアが弾き、魔導士の魔法はリリシアが押し返す。


 観客席からは歓声が湧き上がった。

「すごいぞ! まるで最初からペアみたいだ!」

「いやいや、息合ってないはずなのに……!」


 カイは腕を組んで見ていた。

(あいつら、相性ええんちゃうか……? いや、口では喧嘩ばっかやけど、実際は力が補完し合ってる。こら将来……いやいや、考えんとこ。)


 最後の一撃。

 ルーティアが剣で相手の剣士を弾き飛ばし、リリシアが風の渦で魔導士を倒す。

 二人の勝利だった。


 観客席は拍手喝采。

 だが当の本人たちは、息を切らしながら互いに睨み合っていた。


「……今回は、あなたのおかげじゃないんだから。」

「こちらこそ、足を引っ張られただけですわ。」


 けれど。

 その頬は、ほんのり赤く染まっていた。


 カイは深い息を吐いて笛を片手に言った。

「お前ら……素直に認めんかい。」


 二人は顔を背けるように同時に呟いた。

「……せやな。」

「……せやな。」


 観客席から笑いが弾けた。

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