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悪役令嬢が攻略対象ではないオレに夢中なのだが?!  作者: naomikoryo


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第24話『戦陵祭、参加資格剥奪!?』【学園行事編:戦陵祭①】

 秋の風が冷たい校庭に吹き込んできていた。

 学園の掲示板には、金の飾り枠に囲まれた大きな紙が貼り出されている。


 《王立ロゼリア学園 戦陵祭 開催》


 年に一度の大祭――剣技と魔法の両部門で競い合う、いわば学園オリンピック。

 生徒たちは胸を躍らせながら掲示板の前に群がり、あちこちから歓声や悲鳴が飛び交っていた。


◆◇◆


「カイ!カイっ! 見ました? 戦陵祭ですよ!」


 朝の教室で、一番に飛び込んできたのはルーティア。

 豪奢な赤のリボンを揺らし、輝く瞳で胸を張る。


「はい、当然私が魔法部の代表よね?」


「いやちょっと待て。アンタ一人で勝手に枠決めるなや」


「だって当然でしょ? 私以外に誰が――」


「私もやってみたいです!」

「ぼ、僕も出たいです!」

「先生、推薦してください!」


 次々と手が挙がる。かつて魔法の発動にすら苦労していた生徒たちまで、今は自信に満ちていた。

 教室中に希望の声が溢れ、カイはぽりぽりと頭をかいた。


「……ええことや。ワイ、教師冥利に尽きるわ」

(ただ……なんか、嫌な予感するんよなぁ)


◆◇◆


 午後。

 選抜のための魔法演習は校庭で行われることになった。


 ずらりと並ぶ標的。見物に来た他クラスの生徒たち。

 期待と緊張の入り混じった空気の中、カイが前に出る。


「よっしゃ、ほな順番に得意な魔法を撃ってみぃや」


「はいっ! 《火炎球》!」


 ――ドォンッ!


 放たれた火球は、標的を消し飛ばし、背後の石壁にまで黒煙を残した。


「おいおい、初級魔法ちゃうやろこれ!?」

「い、岩が……蒸発してる……」


 ざわつく他クラスの生徒たち。


「次! 《氷槍連弾》!」


 バシュバシュバシュッ!

 鋭い氷の槍が雨のように降り注ぎ、標的は木っ端微塵。


「な、なにあれ……」

「軍用魔法やんか……」


 さらに別の生徒が《雷鎖》を放つ。

 バリバリと音を立て、標的の鉄人形が黒焦げになる。


 見物していた者たちが次々と悲鳴を上げ、校庭の端へ退いていく。


 最後にルーティアが前へ。


「見なさい! 《星爆裂陣》!」


 空に光の紋章が描かれ、そこから降り注いだ閃光が標的群を一瞬で吹き飛ばす。

 轟音、土煙、閃光――校庭の半分が更地になった。


「お、お嬢! やりすぎや!」

「当然でしょ。代表になるにはこれくらい必要なのよ!」


 教室の生徒たちは拍手喝采、他クラスはすでに白旗。


◆◇◆


 その日の夕方。

 カイは学園長室に呼ばれた。


「カイ先生……」

「なんや学園長。顔がシワ寄りすぎて壁紙みたいやで」


「――君のクラス、魔法部門は出場禁止だ」


「……はぁ?」


 学園長は机をバンと叩いた。


「他クラスから抗議が殺到している! “あのレベルと戦えるわけがない”と!」

「えぇ……」

「“クロス組が出るなら我々は棄権する”とまで言われた」


 頭を抱えるカイ。


「せっかく生徒らがんばって練習したのに……」

「わかる。しかし、学園祭典が成立しなくなる。これは決定だ」


◆◇◆


 放課後の教室。

 生徒たちに伝えると、一瞬、重い沈黙が落ちた。


「……そんな……」

「ずるい! 他のクラスが弱いからって!」

「私たち、やっと魔法ができるようになったのに!」


 悔しさが爆発する。


 ルーティアが椅子を蹴って立ち上がった。


「なら剣技の部で勝てばいいじゃない! 私たちの力を示せる!」


「お、お嬢、剣は得意なんか?」

「え? えっと……突きなら……たぶん?」

「たぶんかい!」


 どっと笑いが起き、張り詰めた空気が少しだけ緩んだ。


「よし、ほな剣技の部に集中や。魔法出場禁止でも、剣は止められてへん」

 カイが手を叩き、生徒たちの顔を見渡す。


「でも先生、剣なんて触ったことないです……」

「大丈夫や。剣技っちゅうても、パターンと角度の問題や。三角関数でいける」


「三角関数って、剣に関係あるんですか!?」

「あるある。“突きの最適角度は30度”や。これは歴史が証明しとる」

「どこの歴史ですか!」


 笑い声が再び広がり、生徒たちの顔に光が戻っていく。


 こうして――

 クロス組は剣技部門へ挑むことになった。


 だが、彼らの「異常な強さ」は剣でも存分に発揮されることを、このとき誰も知らなかった。

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