14/29
密室のモヤモヤと、脳内リベンジ
「あなたは悪い意味で、言い出したらきかないわね」
昼下がりの給湯室で、先輩から笑顔混じりにそう言われた。
言われた瞬間は、「あはは、そうですかね」なんて適当に返してしまったけれど。
家に帰ってきてから、じわじわと怒りが湧いてきた。
「これって、どう考えても悪口よね……?」
わざわざ『悪い意味で』と前置きするなんて、あまりにも失礼じゃないか。私の芯が強いところを、ただ頑固だとけなしたいだけだ。
思い出すたびに胸の奥が熱くなり、私のライフはあっという間にゼロになった。
「明日、絶対に苦情を言ってやるんだから」
ベッドの上で、私は脳内反論大会を開催した。
『先輩、さっきの言葉は傷つきました』
『どういう意図で仰ったんですか?』
次々と浮かぶ強い言葉を、イメージの中で先輩に叩きつける。
けれど、ひと通り暴れたあとで、ふと気がついた。
明日本当に苦情を言ったら、それこそ『言い出したらきかない奴』の証明になってしまう。
相手の土俵に乗るなんて馬鹿馬鹿しい。
私はスマホを伏せ、深くため息をついた。




