番外編 エチルエーテル市観光ガイド 後編II
◇エチルエーテル観光ガイド vol.34
発行:エーテル城観光管轄課
編集:アルル・パレイドリア
番外編 エチルエーテル市観光ガイド・後編そのII
〜騎士団と魔灯、北の学び舎〜
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コラム◇エーテル城本部の食堂が開放される日
エーテル城本部の食堂は、通常、国立騎士団所属の者や城内勤務者が利用する施設です。
でもなんと……年に数回、市民や観光客に向けて一部開放される日があるんです!
開放日には、騎士団で実際に出されている煮込み料理、黒パン、薬草スープ、龍肉の薄切り焼きなどが提供されます。数に限りがあるため、利用には整理券が必要となる場合が多いです。
城内の雰囲気を味わいながら食事ができる貴重な機会なので、是非訪れてみて欲しいです!!!
我々エーテル城職員一同が歓迎しますよ!
〜編集後記〜
ミザン・ターナー
「実は、この日は前々日から仕込みがいるから徹夜がザラにある。
騎士団の料理を味わってもらうのはすごく嬉しいが、寝不足が続くと脳が働かないんだぞ……。」
アルル・パレイドリア
「まあまあ、ミザン。
この日のために特別手当がでてるんでしょう?」
ミザン・ターナー
「それはそうだけどよぉ……。」
ジョン・エチルエーテル
「厨房の者から聞いたのだが。
前の解放日の時に料理酒を飲みながら働いていたのはどうせお前だろう、ミザン。」
ミザン・ターナー
「おい、誰だよチクったの!」
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コラム◇龍肉を安く食べられる日があるらしい?
龍種の肉料理は高価な印象を持たれがちだが、比較的安価に食べられる日もあるんです。
それは、特撰部隊が龍種討伐任務から帰還し、素材が市場に多く流れる日なんです。
もちろん、すべての討伐された龍種が食用に回されるわけではありません。それでも、食用として認可された肉が多く出た日には、中央市場周辺の食堂や屋台で竜肉料理が通常より安く提供されます。
「龍種の肉を食べると、エーテル回路が強くなる」と古くから信じられてきたことも、背景のひとつです。
そのためエーテル国では龍種の肉を食べることを大きな食文化として大事にしています。
アーノルド
「食用として認可、というのは毒袋や帯電袋などの危険な部位をしっかり取り除いた後に鑑定士が目利きしてやっと許可が降りるってことなんだ。」
エレーシャ
「でもアーノルドは任務中でも勝手に焼いて食べたりするよね?
……なんでお腹壊さないの?」
ヘイル
「バカは風邪引かないのと同じ原理かな。」
アーノルド
「ははは、良い子は真似すんなよ!」
※食用認可を受けていない龍種の肉を個人で調理することは大変危険です。必ず認可店または鑑定済みの食材を扱う店舗でお楽しみください。
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コラム◇私たちのエチルエーテルを守る、守護部隊
エーテル国立騎士団には、複数の部隊区分が存在しています。観光客が市街地で目にする機会が多いのは、主に守護部隊です。
守護部隊は、市街地を巡回し、検問、民間人の保護、災害時の避難誘導などを担っています。西門や南門、中央市場周辺で不審な取引や危険物を見つけた場合は、巡回中の守護部隊へ知らせましょう。
エレーシャ
「ねえ、アーノルド。
あの守護部隊の変な喋り方の奴最近見ないね。」
アーノルド
「ああ、イクナトーンのことか?
アイツ、最近忙しくて手合わせできてないんだよな。
どうやら、新しい師団への配属が決まったらしくてな……。」
エレーシャ
「アーノルドに手合わせを願い出るなんて、命知らずな奴だよねぇ。」
アーノルド
「ああ、イクナトーンは強いから手合わせしてて楽しいんだよ。」
エレーシャ
「いつも言ってるけど、結界の破壊だけは絶対に絶対に絶対にやめてよね。」
※結界の破壊は、理由の如何を問わず重大な規律違反となります。
エレーシャ
「ほらぁ!城の内勤さんにも言われてるじゃん!」
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コラム◇魔術街灯のはじまりは?
現在のエチルエーテル市では、月が顔を出す頃に魔術街灯が光り出します。
この街灯は、エーテルに反応して発光する魔術鉱石を利用し、雷魔術を由来とした基礎魔術を使い、真夜中でも視界を確保する大事な役目を果たしています。
……そして、その始まりは、東門周辺だと言われているんです。
かつて東門周辺は、エーテル城や温泉地へ向かう旅人が多く通る一方で、夜間の視界が悪く、事故も少なくありませんでした。
そこで試験的に魔術街灯が設置され、旅人や住民から高い評価を得たことから、市内全域へと広がっていきました。今となってはこの街灯が無ければ夜の街歩きは難しいですよね。
また、この技術はエチルエーテル市だけに止まらず、他市や他国にも受け継がれているんですよ。
ヘイル
「魔女革命の後のここ数百年で一気に技術が進歩したと言われているみたいだ。
……にしてもこの魔術鉱石、ほんの少し研究に借りてもバレなさそうだね。」
エレーシャ
「ストーップ!この魔術研究陰湿眼鏡馬鹿は!放っておいたらすぐに滅茶苦茶するんだから!バレるに決まってるでしょ!!」
アーノルド
「そうだ、ヘイル。
流石に良くないぞ、間違えて壊したとかならまだしも。」
エレーシャ
「ん?城周辺の街灯が数個修理中になってたけど。
……まさか?」
アーノルド
「……俺が龍種を運ぶ時に当ててぶっ壊しました。」
エレーシャ
「嘘でしょ……。」
※魔術街灯および魔術鉱石は、エチルエーテル市の公共設備です。研究目的であっても、許可なく持ち出すことは固く禁じられています。
また、龍種の運搬時には周囲の設備に十分ご注意ください。
エレーシャ
「ほらぁ!二人ともしっかりここ読んで!?特に最後!」
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コラム◇グルヴェイギスの夜祭
春の終わりから初夏にかけて、エチルエーテル市では魔術師たちにゆかりのある夜祭が開かれます。
現在では春の終わりを祝う華やかな祭りとして親しまれていますが、その起源は、魔法使い様アグネアストラの魂を宙へ還す祈りに由来するとされています。
また、時代によっては冬の厄災を祓うために供物を捧げる祈祷、魔術訓練校の生徒による実習行事として語られてきました。
長く続く祭りだからこそ、その意味もひとつではありません。
現在では【グルヴェイギスの夜祭】として親しまれていますが、古い文献では【終春の法祖送り】という名で記されています。(諸説あり)
この祭りは、魔術師の修練成就の祈りや、エーテル城の夜間開放、露店、後夜祭などを含む大きな催しです。
魔術提灯が一晩中点灯し、エチルエーテル市街全体が年に一度最も賑わう日であり、国外だけでなく、エーテル国の他市からも多くの人々が訪れる名物行事となっています。
夜のエチルエーテル市を楽しみたい方には、ぜひ一度訪れていただきたいお祭りです。
カフカ
「春の終わり……てことはもう少しでお祭りがあるの!?」
フォンス
「そう、お祭りだ!屋台もあるし花火もある。
夜の提灯はめちゃくちゃ綺麗だぞ!」
ベルンハルト
「……最後に行ったのは士官学校入学の前だったな。
だが、騎士団の者は巡回を命じられるぞ。」
フォンス
「は?嘘だろ!?ずっとか?」
カフカ
「えー!!お祭りちょっとは回りたいよ〜!」
ベルンハルト
「……まあ、ほんの少し抜け出して行くのもいいんじゃないか?」
クルト
(ベルンハルトさん、最近絆されてきましたね……。)
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この魔術が、あなたの未来を変える一歩になります。
◇エーテル国立魔術訓練校、春季入学者募集!◇
『その手に宿るエーテルを、誰かを救う力に。』
エチルエーテル市の北にそびえ立つ白亜のエーテル城。
そのすぐ隣に国家直轄の魔術教育機関があります。
本校では、魔術理論、元素別魔術の応用、実技訓練、任務補助演習などを通じて、次代の魔術師を育成しています。
――北の空に伸びる尖塔、訓練場に掲げられた校章旗。
その下で学ぶのは、まだ何者でもない若者たちです。
守りたいものがある、強くなりたい理由がある。
魔術で誰かの力になりたい、そんな貴方の未来を広げる力に私たちはなりたいのです。
――エーテル国立魔術訓練校
春季入学願書、受付中。
※入学試験にて8割以上の成績を修めた方は、入学費免除制度の対象となります。
※詳しくは、エーテル城・魔術訓練校管理課までお問い合わせください。
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
エチルエーテル市には、まだまだ紹介しきれない魅力がたくさんあります。
どこを歩いても、誰かの暮らしと、誰かの魔術が結びついている素敵な街だと私は思います。
この街を訪れた皆様が、美味しいものを食べて、綺麗な灯りを見上げて、少しでも「また来たい」と思ってくだされば、編集者としてこれ以上嬉しいことはありません。
次号では、エーテル国立魔術訓練校と、魔術師たちの学びについて特集予定です。
――それでは皆様、よい旅を。
発行:エーテル城 観光管轄課
編集:アルル・パレイドリア
ここまでお読みいただきありがとうございました!
エチルエーテル市観光ガイドは、今回でいったん一区切りです。
連休特別編ということで、エチルエーテル市についてざっとまとめておきたかったのですが、力が入りすぎて結局3分割して投稿する羽目に…。(長すぎ)
街の食文化、守護部隊、魔術街灯、グルヴェイギスの夜祭、エーテル国立魔術訓練校。
本編では描ききれないエチルエーテル市の一面を、少しでも楽しんでいただけていたら幸いです。
明日は11時に本編を投稿いたします!
観光ガイドとは少し違う、エチルエーテル市の姿も見えてくるかもしれません。
これからも『魔法使い達の黙示録』をよろしくお願いいたします。




