表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天凪祓  作者: ZoRvATH


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/38

35 『VSマスゴミⅡ-Ⅰ ~思想X安全X経済システム~』

第2部 第4章 第35話 『VSマスゴミⅡ-Ⅰ ~思想X安全X経済システム~』


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


『思想そのものへの質問』


「あなたの強行論は、怒りや憎しみではなく『冷静な計算』の結果だと言えますか? それとも、どうしても拭えない個人的な恨みやトラウマも混ざっていますか?」


「原動力は凄まじい怨念です。しかし案の内容に関しては、冷静かつ多角的かつ非陰謀論的に、事象とその根本的な問題点を分析した結果です。仮にこれが個人的かつ感情的な復讐であるなら、真っ先に怨みのある連中の幽閉でも考えるでしょう。しかしながら先ほども述べた通り、政治犯などとこじつけて既存の既得権益層を投獄するようなことはしません。」


「もし、あなたの案を“マイルドにした妥協案”を提示されたら、どこまでなら譲歩しますか?絶対に譲れない一線はどこですか?」


「『三竦み政権』、『全階層における厳重な監察社会』、『恐怖政治の防止策』。この三つだけは譲れません。これをやらないのであれば、私の案は意味をなしません。しかし、それ以外は全て民意だと考えています。」


「あなたが目指す社会は、『恐れによって秩序を保つ社会』ですか?それとも『信頼と安心によって秩序を保つ社会』ですか?自分ではどう考えていますか?」


「圧倒的に後者です。私にとっては、既存のピラミッド型、トップダウン型の社会形態こそが、すでに前者です。『民衆には制御できない』。だからこそ私は、恐怖政治にさせないための様々な対策も、今後さらに設計していきます。」


「あなたは『人権は有限で配分だ』と言いましたが、あなた自身の人権が切り捨てられる側に回ったとしても、その理屈を受け入れられますか?」


「それをやっているのがまさに既存社会でしょう。その分配を、さも無限であるかのように触れ回って、弱者をより苦しめている。もし既存社会の人権が理想通りしっかり機能していたのなら、私のような怪物は生まれていません。また、質問に戻って、私が考える社会で私の人権が制限されるとしたら、それは私が悪事を働いて断罪される場合ですが、勿論受け入れます。私には、それほどまでに悪事に手を染めない自信がある。」


「今の日本社会と、あなたの案が実現した日本社会。両方を“外側から”眺めたとき、どちらの方が『人間として生きやすい』と本気で思いますか?」


「それは人々の価値観によるでしょう。個の尊重を何よりも最優先とする欧米的な価値観の人間にとっては、私の社会は苦痛でしかないでしょう。しかし、今の日本で私が支持され始めている。という現状が、つまりそういうことではないのでしょうか。少なくとも多くの人間は、今の社会を『自由で幸福な社会』だとは感じていない。だからこそ、ここまで私のような人間の言葉が届いているのだと思います。」



続いて『監視・同害同苦・安全保障まわりの質問』。


「あなた自身は、24時間365日、自分の行動や言動がすべて記録される生活に耐えられますか?それを『当然の対価』だと納得できますか?」


「私は変わり者なので平気です。しかしながら、別にトイレの中や自宅の中まで監視しようなんて言っていません。基本は公共空間、職務空間、権限行使の場面です。ただし私は、自分の妻や娘など大切な人が盗撮や痴漢をされた場合、やはりその証拠がはっきり分かり、犯人までしっかり捕まえて欲しいですね。有耶無耶になりかねない現状の方が耐えられません。そして、監察されていると分かっていながら強行する人間は、今よりもさらに限定的になると思います。」


「同害同苦法で“痛みを知れ”と言いますが、加害者がサイコパス的な人間で、痛みや罪悪感をほとんど感じない場合、その人間にはどういう罰が妥当だと思いますか?」


「それは同害同苦法に限らず、私の案の教育の部分でも引っかかってくる部分であり、正直、現在悩み中ではあります。ただ、サイコパスと言っても、『痛みや罪悪感を感じにくい』のと、『完全に善悪の区別がつかない』というのはまた別の話だと思います。後者ができないのであれば、それはサイコパス以前の問題として、何らかの対処が必要です。『やってみたかった』で無益な犠牲者を出すわけにはいきませんから。また、現実的な統計における例外というものは、何事にも存在するものです。制度は多数に効くように設計し、例外に対しては別枠で管理・治療・隔離を検討するしかありません。」


「あなたの監視・公開システムの中で、一番最初に『例外扱い』されやすいのは誰だと思いますか?そして、その『例外』をどうやって潰しますか?」


「皇室でしょうね。しかし個人的には、監察院の範囲の監察で充分だと考えています。外交や政治判断に直接関わる立場ではありませんし、一般人でも自宅内の監視など一切考えていませんので。重要なのは、『象徴だから完全に例外』にしないことです。公的な儀礼、財務、関係者の不正防止といった部分に限定して、透明性を確保できればよいと思います。」


「核開発や自爆核配置まで踏み込んだとき、『ここまでやったら自分でもやりすぎだ』と思うラインはありますか?それは具体的にどこですか?」


「核に関してであれば、敵国に対して撃ち込む核搭載大陸間弾道ミサイルの保持が1万発を越える。あるいは、戦術核兵器、核ロケット、核魚雷、そういった実戦投入前提の兵器を作り始めたら、さすがにやりすぎだと感じますね。通常戦力に関しては、日本が島国である以上、他国を侵略するには必ず強襲上陸をしなくてはいけません。しかし現代では、たとえ強襲揚陸艦200隻、補給艦1,000隻を保有して、人口が14億人になったとしても、中華人民共和国を攻め落とすことは不可能なので、考える必要はないと思います。地対艦ミサイルなどでは到底足りず、それこそ戦術核でもなければ不可能です。なので、私にとっては戦術核の実戦運用を前提にし始めることが、一つのラインだと思います。」


「あなたは“敵性国家の人権と自国民の人権を等しくは見られない”と言いましたが、それでも越えてはならない最低限のライン。例えば『不必要な残虐行為はしない』といったラインは設定していますか?」


「戦時中であればジュネーブ条約は遵守しますよ。平時の話であれば、仮に識別措置があるからといって、不必要な差別をすることは禁止です。難しいことは承知していますが、それは見せしめではなく、やむを得ない安全措置なので、それを別のことへ利用するのは処罰の対象となります。」



『経済・混合システムへの質問』


「もし混合経済ブロックの運用が失敗し、想定以上に国民の生活が苦しくなった場合、あなたはどのタイミングで『自分の設計ミスだった』と認めて路線変更しますか?」


「3年・5年・10年・15年で段階評価。最大でも20年だと考えています。特に3年時点で生活必需品・住宅・医療・教育・出生率・自殺率・犯罪率のどれかが明確に悪化し続けている場合は、その時点で設計の一部を見直すべきです。私は自分の案を宗教的に信じたいのではありません。社会を良くするための道具として提示しているだけです。」


「あなたの『混合経済ブロック』構想は、福祉国家として一定の成功を収めている北欧型モデルと似た部分もあります。それなら、わざわざ大胆な制度変更をせずに、北欧の高福祉・高税モデルをもっと直接的に参考にする、という選択肢もあるのではないですか?」


「北欧型を『全く参考にしない』とは言いません。が、根本的な目的が違います。北欧モデルのゴールは、雑に言えば『今のリベラル資本主義の枠内で、格差を抑えた豊かな福祉国家をつくること』でしょう。私がやろうとしているのは、『侵略・経済戦争・内部腐敗に対して、日本という共同体が長期的に生き残れる仕組みを根底から組み直すこと』です。ですから、教育・監察・軍事・土地・官僚制・経済ブロックをセットで再設計しているのであって、『金回りの分配だけを北欧風にしたい』わけではありません。北欧型はあくまで、税や福祉の『一分野』では参考にしていますが、最終的に目指している地点も規模も全く別。それが私のスタンスです。強いて言うのであれば、『国家資本主義的な統制力+北欧型福祉+戦後日本型の開発国家+三竦み監察』を混ぜた別物、というのが私の経済構想案の実態だと思います。」


「あなたの制度の下でも、“新しい既得権益層”が生まれる可能性はあります。彼らがあなたを旗印に保身を始めたとき、あなたは自分の支持基盤をどこまで切り捨てる覚悟がありますか?」


「寄生虫になり得るものすべて。そこに例外はありませんし、隠す余地は与えません。しかし、それを監察するのが監察者である国民の役目です。私はそれが偽善や建前ではなく、しっかり機能する機構として仕組みは作ります。ただし、中身として民主主義を続けられるかどうかは、最終的には国民一人一人の意識次第です。」


「『全体主義的な公平さ』を重視する一方で、極端に突出した才能や、常識外の天才はどのように扱いますか?彼らにも同じ枠組みを適用しますか?それとも、特別扱いしますか?」


「勿論、特別扱いです。才ある者は、国が責任をもって保護します。というか、そもそもの認識が間違っています。『典型的な冷戦時代のプロパガンダの如く、みんなが平等。フラットな社会を目指す』なんて一言も言っていません。才能に相応しい評価を理想とするのが私の案です。つまり、『より公平で現実的な個人主義』です。大抵の人間は、よくても平均の5倍程度のことしか成せない。しかし能力に見合わない破格の報酬を受け取っている人が多くいるのは公然の事実。それをより正確な本来の数字に近づけるために、所得上限などを決めるのです。歴史上に名を遺すレベルの唯一無二の才ある者は、手厚く保護し、彼らに協力するべきです。彼らが我々凡人に協調するのではなく、我々が彼らに協力するのです。Winny事件、正当に守られなかった研究者や技術者、知らないうちに海外資本へ買い取られる革新技術、他国に引き抜かれていく技術者。そういったものの二の舞には、絶対にしません。」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


次回!第2部 第4章 第36話

『VSマスゴミⅡ-Ⅱ ~国際戦略Xユキ個人への問い~』 DON'T MISS IT!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ