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天凪祓  作者: ZoRvATH


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32 『VSマスゴミⅠ-Ⅰ ~プライバシーX人権~』

第2部 第4章 第32話 『VSマスゴミⅠ-Ⅰ ~プライバシーX人権~』


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


まず真っ先に突っかかってきたのは『プライバシー』についてだった。


「全国的な監視カメラ設置やボディカメラの常時録画は、善良な市民の生活まで過度に記録することになり、プライバシー権を著しく侵害するおそれがあります。」


「私が行いたいのは国民の私生活の監視ではなく、あくまで悪事全般の監察です。」


「しかし『悪事かどうか』を判断するのは結局、権力側でしょう。国民から見れば、『自分たちの全行動が記録されている』という事実そのものが圧力になりかねません。」


「だからこそ、三竦みで互いに監察する構図なんですよ。そもそも今の時点で、民間の防犯カメラ・スマホ・SNSで、一般市民の生活はすでにかなり記録されていますよね。違いは、『よく分からない民間+海外サーバー』にデータが散らばっているか、『法律で縛られた公的システム』の下で、期間・目的・アクセス権を明確にした上で管理するかです。私が言っているのは『野放し監視』ではなく、『権力側も含めて、後で検証できる証拠を残せ』という話であって、プライバシーを盾に『権力側だけ証拠ゼロの世界』を続けろ、というのはおかしくありませんか。」


「とはいえ、公的システムで一元的に管理されるとなれば、『国家がその気になれば、いくらでも市民を追跡できる』という不信感は避けられません。監視する側のミスや悪用が起きたとき、誰がどう責任を取るのかも重大な問題です。」


「だからこそ、監視している人間も監視するので、不正を働くことは非常に難しいのです。万が一、些細なこと――例えば病院の受付などで職務上家族構成を把握しておきながら、独身の異性を私的にナンパするといった小さな事例であったとしても、重罪にしますし、その行為自体もまた監視されているのです。そして“監視”と言っても常時誰かが画面を見張っているわけではなく、事象が発生した場合に遡って調査するのが主であり、あなたがどんな歩き方をしているかなんて誰も見てはいません。」


「しかし、『いつでも遡って見られる』という前提そのものが、市民社会の自由な行動・表現を萎縮させるのではないですか。国家にそこまでの権限を与えることに、私は強い懸念を抱かざるを得ません。」


「何度も申し上げている通り、国家だけがそれを管理しているわけではないんですよ。『三竦み』、わかりますか?『監察・裁定・調停』の全てに監察機関が存在し、互いに見張っているんです。つまり、『公共の場で指導者の悪口が叫べなくなる』のではなく、国家側が『記憶にございません。』を使えなくなる、ということです。」



続いては『人権』だ。


「同害同苦法や過度な公開・監視は、個人の尊厳や法の下の平等といった基本的人権の理念と相容れず、人権立国を掲げる日本の姿勢とも矛盾します。」


「人権というなら、『加害者のプライバシー』ばかりではなく、『被害者の人権・冤罪を防ぐ権利・公平な裁判を受ける権利』もセットで議論すべきですよね。今の日本は、証拠が曖昧なまま泣き寝入りする被害者も多く、証拠が残らない形でのパワハラ・セクハラ・口利きも横行してきた。それどころか私自身は『スマホで録音されているかもしれないから。』とスマホのデータまで初期化されたんですよ?あなた方はそういうのとは無縁の世界からものを言っているから、そんな悠長で楽観的なことを言っていられるんです。」


「もちろん被害者の立場にも配慮しなければならないことは理解しています。しかしだからといって、国家が全面的な監視と同害的な処罰に踏み込めば、『人権を守るために別の人権を傷つける』という本末転倒に陥りかねません。」


「そもそも人権とは無限ではなく有限です。100個の権利をそれぞれに分配しているようなものです。つまり被害者を守るために加害者の人権が傷つくのは当然なんですよ。悪事を働いたのは加害者の判断なのに、何故被害者が割を食わなきゃいけないんですか?長きにわたるその『加害者に有利な不透明さ』という歪んだ認知の結果が今の惨状です。私は『透明性=人権侵害』ではなく、『透明性=弱い側が自分を守る最低限の条件』だと考えています。」


「しかし、『透明性』の名の下にさらなる監視と制裁を強めれば、社会全体に報復的な空気が広がり、冷静な法運用が損なわれる懸念もあります。法は感情ではなく理性に基づくべきです。それに国家が『痛みを体験させる』方向に舵を切ることには、国として越えてはならない一線があると私は考えます。」


「所謂報復社会ですが、それは正に監視と管理が疎かな現状で起きていることです。同害同苦法に関しても、殺されたら殺し返せなんて言っていないんですよ。ただ軽い言葉で注意し、形式的に軽い罰金を払っても、悪事の本質を理解できないような人間に対して、主に軽犯罪においてやられる側の『痛みを知れ。』という考えです。先ほども言いましたが、あなた方は本当の痛みを知らないから、そんな民意など微塵もない机上の空論ばかりで、まるで方程式を解くかのように物事を判断し続けていられるんです。だから国民からは受け入れられていないんですよ。」


「・・・。」


「私は歴史上の革命のようなことをしたいわけではないので、あなた方を政界から追放はしても政治犯として逮捕することはまずありません。失脚後はあなた方も一般人になります。その時になって初めて私の公開・監視社会の安全面での恩恵を涙を流してありがたがることでしょう。」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


次回!第2部 第4章 第33話

『VSマスゴミⅠ-Ⅱ ~経済X経済成長~』 DON'T MISS IT!!!

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