帝都:里の異変と帝都とは?でした!
新章:帝都
幕開けです!!
そして、いつもの里でワチャワチャです!!
次話投稿は一週間以内です!!
爽涼な風が吹き、暖かな陽光が降り注ぐ森の中は、葉っぱの影に隠れた虫達の音色に包まれ、精霊達が踊り唄う喧騒に包まれている。
木の枝がしなる音が耳に届くと、森の中から一斉に鳥達が羽ばたいて行く。
人の気配は一切なく、在るのは大自然に蔓延る豊穣の恵みのみ。
しかし、そんな森ではあるが、一点を除いて、ある場所に人や魔物、エルフといった様々な種族が住み着いた、なんとも奇怪な場所が存在する。
大自然の豊かな恵みを一身に受け、伸びやかに育ったエルフ。大自然と言う過酷な掟の中、弱肉強食を貫いていた魔物達。弱者としてこの世に生を受け、弱者であるからこそ頭を使い、国を造り物を作り出した人間。
そんな一見すれば繋がりあいが全く無さそうな種族が一堂に会し、和気あいあいと暮らしている様を誰が想像できよう・・・。
その場所では、あり得ない光景が常に広がっているのだ。
透き通った川辺で、長い耳を生やしたエルフと鋭い牙に角を生やした魔物が、釣りに興じている。
普段は二足歩行であるが、背中に人の子供を乗せているが故に、四足で歩く事を強いられた犬の様な魔物。
壮年の人間とエルフが寿命について語り合い、同じ机を介し茶を楽しんでいる。
見る者が見れば、発狂してしまう事間違いないその場所は、平和に溢れていた。
だが・・・巨大な木の中に出来た一室では、一人の人間?がにっこりと微笑みながら、他の魔物達とは一色も二色も変わった魔物を正座させている。
微笑んでいる者の隣には、正座・・・ではないが、きっちりとお座りの姿勢を保った大きな狼が三匹存在している。
部屋の中には正座させられている者数名と、お座り三匹、微笑んでいる者一名だけである。
内、心の底から黒いものが滲み出しているのが一人だ・・・無論微笑んでいる者である。
「さて、説明してくれるかな?」
「しゅ、主人が喜んでくれるかと・・・」
「・・・で?」
「に、人間に主人の偉大さを・・・あダダダ!!」
微笑んでいる者は、言葉が尻すぼみし始めた者に、容赦なく顔面を鷲掴みにしてアイアンクローをかける。
アイアンクローをかけられ始めて数秒、額から角を生やした男Aが地に伏した。
「さて、他には」
「主人のご帰還が味気ないのもダメだと思い・・・」
「・・・ほぅ?。で、抜剣して剣舞踊り出したと?」
「はい・・・あああああああぁぁぁぁあぁぁぁあ!!!」
長く犬の様な耳を生やした男Aが、先と同じように倒れ伏す。
残った者達は顔を青くしながら一連の事象を黙って見つめる事しか出来ない。
横たわった仲間の亡骸?をまじまじと見つめながら、口元を引きつらせ次は自分かとビクビクと震える。
「はぁ・・・一体全体何があったんだ?」
本当に何があったのかがわからない。
自分の足元に転がっているショウゲツとコクヨウを見やりながら溜め息をつく。
だが、俺は目の前の光景をもう一度よく注視する。
全員ではないが、ヨウキにシロタエ、ソウカイにショウゲツの姿が変わっていて、ここに帰ってきた時はいったい誰なのかがわからなかった。
下に転がっているショウゲツの姿は、浅黒い肌に黄色の線が走り・・・額から生えた角はどこか鋭さを増している様な気がする。
髪には黄色のメッシュがあり、その部分だけ少しだけ光を放ち、身体も若干大きくなっており、フゲン程ではないにしろ筋肉質になっている。
そして、何より変わったのが内包する魔力だろう・・・常に何かがショウゲツの中で蠢いているような気がしてならないのだ。
ソウカイは・・・見た目からしてみればどこも変わっていなく思えるが、身体の質であったり気配、目の鋭さが明らかに違う・・・あ、老眼で鋭くなっているわけではない。
獲物も小太刀と変わりはないが、それから発されている妖気の様な物を嫌でも感じ取ることができる。
余裕を感じさせる笑みを浮かべており、まさに「いぶし銀」という言葉が似合う漢へと変わっている・・・まぁ、尻から生えているであろう愛らしい尻尾がしんなりしている事を除けばだけど。
ヨウキは・・・とんでもない包容力だ。
身長は恐らく二メートルを超えているだろう。身体には紫色の線が幾重にも走り、髪の色は黒に紫のメッシュ、額にあった二本の角は、今は一本となり長く太く尖っている・・・まぁ、それはさておいて。
このキョヌウである!!スイカ?メロン?・・・いや、両が内包されているかの如く素晴らしい。ムッチムチであり、あれに抱かれてしまえばもう抜け出せないだろう。
・・・しかし、自分の何かがそれはまずいと、本気で警報を鳴らしている。よく見てみれば、スベスベムチムチの肌の奥に、しっかりとした筋肉があるのがわかる・・・それも最悪な事にフゲンよりもあるように思えるのだから恐ろしい。
シロタエは・・・一言で言い表すのであれば、姫という言葉が最も近いだろう。
潤んだ瞳、桜色の唇・・・黒い髪は腰まで伸びており紅いメッシュが走っている。燃えるような紅い瞳から強い意志の炎が見てとれる。それがなんとも大人びており、妖艶な気配を漂わせている・・・。
身体の起伏は控えめで和服が似合いそうな姿・・・目の淵に薄らと朱が差していて、なんというか美人になったものだ。
しかし、恐らく内包する魔力が大きすぎるのか、自分でも制御できていないようで・・・口の端から時折陽炎めいた炎が出ている。
「・・・はぁ、一体全体何があったんだ?」
「そ、それは私からゆっくり説明を・・・」
「頼めるかな・・・」
シロタエがゆっくりと立ち上がり、事の顛末を話し始める。
・・・・・・・・・。
成る程、東西南部の森を制圧したから、北部の森も制圧しようとしたらしい。しかし、思った以上に北部の森の制圧に手こずったらしい。
北部の森は東西南部の魔物とは数段違いの強さであり、里の魔物全員で掛かっても未だに制圧できていないそうだ。
で、その道中に一帯の主が現れ、それの討伐を行い、三日三晩戦い続けて漸く倒し、次の日には進化していた・・・と。
「で、里に見覚えのない連中が居ると思ったら」
「北部制圧中に、配下とした者達です・・・ご迷惑でしたか?」
「はぁ・・・まぁ良かれと思ってやってくれているんだろうし、いいんだけど・・・」
窓の外を見てみれば、腕の部分から翼を、脚は鷲の様で鋭い爪を生やしていて、上半身は人間・・・所為「ハーピー」がいるのである。
数は十匹程度ではあるが、全員が女性だ。しかし、全員が若くて美人というわけではなく、若くて美人なのは二人で、四人はおばさん、四人は子供だ。
まだ慣れていないのか、人間やエルフ、他の魔物からは距離を取っている。そしてどこかビクビクとしているのは・・・うん、なんとなく想像がつく。
「後にご主人様から、挨拶があるとは伝えております」
「やっぱりね」
たぶん、ショウゲツやコクヨウ達にあることないことを教えられているのだろう。あの怯え様からしてどう考えてもこの里に対してのものじゃないし、俺に対して怯えているとしか思えない。
あぁ・・・それに、武装した人間の集団が来たことも影響しているのかもしれない。魔物からして他の群れや部族は勿論のこと、他種族なんかは完全に敵であるのだ。
アタライ様の騎士達には現在里の外で待機して貰っている。
というのも、あんな事があったのだ、騎士達が動揺してしまって里の中に入れれる雰囲気でもなくなってしまったのだ。
中には自分たちは騙されてこれから殺されてしまうのではないかと、顔を青ざめさせる騎士も出る始末だ。
仕方なく、里にいる人達に事情やら何やらを説明してもらい、なんとか誤解は解けたがとりあえず説教してくるからと待って貰っているのだ。
武術や戦技を学びたいという事で此処に来て貰ったわけだが・・・まぁ、後でソウカイとルリに任せよう。
ションボリとしている配下達も十分に反省したようなのでこのくらいにしておくか、と全員に許しを出す。すると、顔色が一気に喜色を帯び始める。
コクヨウとショウゲツを担ぎ上げて部屋を出ると、全員がそれについてくる・・・。
さて、次にやる事は一つ、次の旅の行き先とメンバーを決める事だ。
騎士達を里に通し、案内役をエルフの人達に任せる。初めは武装した人間に警戒していたが、騎士達に害がないとわかると、ぎこちないながらもしっかりと接していた。
騎士達は初めて見るエルフにやはり驚いていたが、美人な人妻エルフを見た瞬間には何人かの騎士がデレッとしていた・・・まぁ、その後にやってきたアレデュルクを見てげんなりしていたが。
まぁ、それはさておき、里の中心部にある巨木に設えられた一室・・・所為『会議室』へとやってきている。
真ん中に木で出てきた大きなテーブルが有り、席には何人かが座っている。
アタライ様、エルフ族長、サテラ、シロタエ、そしてカナンから時折来ては何やら色々と調査している「ユリィタ」さんが参加している。
まぁ議題は『旅の行き先とメンバー決め』である。
とは言っても、旅の行き先に関してはほぼ決まっていて、『帝都』に向かおうと思っているのだ。なんでもカナンで開かれていた「ミールの祝祭」の様なものが開かれていて、戦雄と呼ばれていた『バーバリアス』を湛えた「バーバリアスの祝祭」が開かれるそうだ。
そして帝都のことを教えてもらおうと、偶々調査に訪れていたユリィタさんと、騎士代表のアタライ様に来てもらっているのだ。
メンバーに関しては・・・どうやらシロタエが決めているらしい。前の様な争奪戦にならないよう、事前に準備していたのだとか。まぁ、言い換えれば事前に争ったってことなのだろうけど。
「お久しぶりです、ユガ様。なんでも帝都の事について聞きたいとか?」
「あ、はい。知らないもので色々と聞きたいこともありますし・・・」
「分かりました。『帝都:ヴォーゼニス』は戦争で名を馳せた国です。主な交易品は鉱石であり、良質な鉄や非常に珍しい鉱石が採れる巨大な鉱山地帯を所有しています。帝都の兵士は非常に練度が高く、兵の力量はトップクラスです。今現在は主だった戦争は行っておりませんが、隣国との睨み合いや小競り合いは依然続いています。ここまででは物騒な街だと思われるかもしれませんが、非常に統一された国であり、皇帝を筆頭に置いた『帝国七爪』によってしっかりと治安が管理され、その豊かな鉱石の採掘から武器や防具、アクセサリ等では非常に良質なものが揃っています」
帝都はかなり物騒な国かと思っていたがそうでもないらしい。治安に関しては、祝祭の日を除けば寧ろ他の国よりも良いらしく、武器や防具、アクセサリなどの商業が発達しているらしい。
「帝都は、他の国と比べて街並みも変わっている。伝統品も多く、娯楽で向かうのならばかなり良い場所だ」
伝統品も多いのか・・・それは是非もないな。
「メンバーは私の方で決めさせて頂きました。『私、シロタエ』『ハンゾー』『コトヒラ』でどうでしょうか? 私とコトヒラが参加する理由はこの里にいる人以外の人間を見てみたく思ったのが一つです。ハンゾーは・・・配下の蜘蛛達の中で人間に対してまだ不信感を抱く者が多くいるらしく、ハンゾーが見聞きした人間を蜘蛛達に教えることで、人間を知れる良い機会になるかと思われます。ハンゾーに関しては変化の魔法が使えませんが、小さくなることができるようなので、肩にでものせておけば大丈夫でしょう」
里の運営をソウカイに任せ、シロタエが直々についてくるそうだ。
なんでも里の管理を行ってはいるのだが、どうも人間やエルフとの価値観が合わせられず、自分達との共存にも隔たりがあると感じたらしい。
そしてハーピーがこの里に来てから、それが顕著に現れることが多くなったそうだ。それで、様々な種族を知らなくてはならないと考え、手始めに人間をもっとよく知りたいという考えに至ったという訳だ。
会議室に来る前に俺がいない間に配下達が何をしていたのか、人間やエルフから少しだけ聞いたのだが・・・かなり頑張っていたらしい。
人間との文化や考え方が合わないせいで、最初はあまり関わり合いを持たないようにしてたらしいが、シロタエやソウカイがどうにかしてそれを打開しようと動いたらしい。
どうしようもないコンビのコクヨウとショウゲツも、シロタエとソウカイの指揮の下に頑張って働いてくれたそうだ。
「どうかなさいましたか? な、なにかご不満でもありましたか?」
ジッとシロタエを見ていたら、不安そうな顔であせあせとし始めてしまった。
大人びた顔をしていて、妖艶な雰囲気を漂わせる美女が自分の挙動で、不安そうな顔になる・・・見た目は大人でも子供っぽいなぁ。
「あ、だ、誰かメンバーに不安でも? ハンゾーですか?コトヒラですか?それとも・・・私がついていくのがご不快なようでしたら直ぐに・・・・・・・・・あ」
シロタエの頭をナデナデしてやる。
たぶん俺のいない間、里で一番必死になっていたのはシロタエだ。
俺はちょっとのことでヒィヒィ言ったり溜め息をついているというのに、シロタエは一言も疲れたと言わないばかりか、態度にも出さない。
本当に頑張ってくれているのだろう。
こんな事で労いにはならないかも知れないが、少しくらいは・・・。
「ふ」
「ふ?」
「ふぇぇぇぇぇ」
・・・・・・・・・泣かしちゃったあああぁぁぁ!!??
どうすればいいんだ!? だ、誰か俺を助けてくるぇ!! HELP ME!!
バッと横を振り向いてアタライ様へと視線を投げかけると、明後日の方向を向いて目を伏せている。逆方向にいるサテラへと視線を投げ掛けると、寝たふりをし始めてしまう。
エルフの族長様とユリィタさんはお互いに顔を見合わせて、「若いなぁ」「若いですねぇ」となんとまぁ呑気な会話を交わしている。
そ、そうだ!! もっと撫でてあげれば泣き止むはず!!
と、撫でるのを多くしてみれば
「ふえええええええええ!!」
余計に泣いてしまった。もうどうすればいいのかも、誰か・・・助けてくれ。
・・・我々はハーピー、この森の奥深くでヒッソリと暮らし、魚や木の実を取って暮らしていた。
いつもと変わらぬ日々を川の辺で過ごし、五十程の群れで住んでいた・・・。
しかし、あるときから森の中が急に騒がしくなり、他の魔物達が縄張り争いを始めるようになった。
その異変をいち早く察知して、縄張りを追われないように他の魔物たちを退け・・・或いは食らっていたのだが、ある時それは訪れた・・・。
大量のリザード達が我々の寝込みを襲ったのだ・・・戦いに疲れていた我々は油断していて、リザードに後れを取ってしまった。
なんとか退け、倒したものの・・・数は三十にまで減ってしまっていた。
そして群れの長をしていた者もそこで死んでしまい・・・若く、健康であり群れで一番強い私が群れの長となった。
何度も戦い、住処を追われぬようずっと戦っていた我々だったが・・・一匹、また一匹と仲間が力尽き、倒れて行った。
そして気づいたときには真面に戦える者は私と、仲間の六匹だけであった・・・。
このままでは全滅してしまう・・・我々は縄張りを放棄して南下することを決意した。
はじめは縄張りを捨てることに仲間から反対されたが・・・このままでは近い内に全滅してしまう。それよりかは幾分かましだ・・・と、逃げるに至ったのだ。
だけど甘かった。
「あ、、、あ、、、リーダー・・・」
「あああああぁぁぁあぁぁああぁあぁぁ」
「があああああぁぁぁぁぁあああぁあ」
「あ・・・ぎゃ・・・」
降りしきる雨の中仲間がやられた。
縄張りを放棄し、逃げている最中に私たちよりも上位の魔物・・・ボアタウルスに襲われ、四人がやられ、食べられていった。
「全力で逃げるしかない!!」
「でも、もう無理だよ!!」
後ろを振り返れば、連日の戦闘と逃避、そしてこの雨から疲れきった者しかいなかったのだ。
歳若いものは私と、このハーピーだけ・・・後は「爪折れ」した者と子供しかいない。しかしグズグズしているとボアタウルスにやられてしまう。
「頑張れ!!もう直ぐ安全な場所に付けるは・・・ず」
もう、絶望しかなかった。
周りをボアタウルスに囲まれていたのだ。
「う・・・あ・・・リーダー」
「クソ・・クソオオオォォォ!!」
持てる限りの全力で、ボアタウルスに襲い掛かった。
硬い爪がボアタウルスの目に突き刺さり、一体を倒す・・・後ろから突進して来るボアタウルスに、逆の足の爪を薙ぎ払い真っ二つへと両断する。
震えて怯える子供達を守ろうと、爪折れも果敢に挑むが・・・倒せるわけがない。
「ア゛ッ!?」
やがて自分も、仲間の一人も、ボアタウルスの一撃を喰らってしまう。
ボアタウルスがゆっくりと私に近づき、その大きな口を開く。
死に恐怖した・・・その瞬間。
ボアタウルスの姿がまるで森の霧の様に掻き消えてしまった。
何が起こったのかわからず、目を白黒させていると、目の前に額から角を生やした魔物が立ちふさがった。
あぁ・・・自分を殺す者が変わっただけか、そう思い目を閉じると、その者から言葉が紡がれた。
「私達の下につきなさい。偉大なる主人の膝下に屈するのであれば、貴方達の命を守ることを誓いましょう」
一瞬、何が言われたのかを把握できず、キョトンとしたものだ。
しかし、次に目を開けたとき、私の目の前に赤い瞳で妖艶に微笑み・・・ボアタウルスからねじ切った四肢を掲げた魔物がそこにいたのだ。
「もう一度問うわ。私達の主人の膝下に屈する? 屈しないなら・・・これと同じよ」
「・・・わ、われわ、れを・・・た、たすけ、るのか?」
「・・・質問の答えになってないわ」
「・・・・・・・・・屈し、ます・・・だ、から、たすけ・・・」
「わかった。それじゃ、貴方達もユルバーレの一員ね」
そして私の目には、降りしきる雨の中、轟く雷に姿を照らし出された、大勢の魔物達の姿が見えたのだ。
そして、現状争いとは無縁なこの地にいるのだが・・・人間、エルフ、魔物がウジャウジャと周りを走り回っている。
唯の非常食として扱われるかと思っていたのだが、そんな事もない・・・食べた事もない美味な食事が与えられ、日々を平和に過ごしていた。
それでも警戒だけは怠らず、自分達に近づく者を威嚇してはいたのだが・・・子供にだけは効かず、人やエルフの子供が私達にじゃれてくるのだからどうしようもない。
「リーダー・・・一体あいつらは何なの? あ、後これはなんなのよ~」
「・・・わからないは、でも警戒だけは、しっかりしなさい」
「すげぇ、手から羽が生えてる!!」
「ユキちゃんみたいにモフモフゥー!!」
子供に羽を引っ張られ、もみくちゃにされながらも警戒だけは緩めない。
本当なら爪でなぎ払ってやるところだが・・・あの恐ろしい赤眼の主から、里の者に危害を加えたら即座に殺すと言い付けられている為、どうしようもできない。
・・・そして、我々ハーピーの子供達は、私達の気など知ったこっちゃなく、人とエルフの子供としゃべっている。
「コラッ!! 他種族のものと喋るなど!!」
「えぇー?でも面白いよー?」
「むぅ・・・」
年を経て爪が折れて戦えなくなったハーピー「爪折れ」も、どうしていいものかわからず、オロオロとしてしまう始末。
それもこれも、あの日自分が赤眼の魔物に助けを乞うてしまった故のもの・・・キツくも言えないしどうしようもないのだ。
あの赤眼や、その時にいた大勢の魔物達は・・・この森の大半を支配しており、我々なぞ息を軽く吹いただけで殺せてしまうだろう力を持った魔物達だ。
そして・・・「我々は貴方様にお仕えします」と言った自分に、赤眼やそれぞれの魔物達はこう答えたのだ。
「お前達の主は私達ではない」
と・・・聞けば、この森の主は、赤眼やそれ以外の魔物達を簡単に捻り潰してしまうことが出来る最強の魔物だそうだ。
一度、こちらを観察しにやって来た二匹の魔物にこの森の主について聞いてみたが・・・。
「我等が主人は一撃を持って森を壊滅させ、どんな魔物であっても即座に瞬殺できてしまう力量を持った素晴らしいお方だ」
「我等が主君は最強だ。私やお前たちの言う赤眼など、爪の垢にもなれぬ程にな」
と言う。
それを聞いて眠れぬ日々を過ごしたものだが、この日とうとう主が帰ってきたというのだ。
それも何故か武装した人間どもを連れてだ・・・。
この種族や部族の違いなど、初めからなかったかのよう里を造りあげた『主人』が帰ってきた。
その一方に先程から冷や汗が止まらない。
「リーダー・・・わ、私怖い」
「恐れてはダメだ! 私達は毅然としていればいい・・・」
「でも、殺されるかも・・・」
「そのときは・・・その時だ」
すると、巨木から誰かが出てくる音が上空から聞こえる。
しかし、こちらに来る気配はなく、どうやら別の場所に向かったようだ。
しかし・・・その瞬間隣にいたハーピーが顔を青ざめさせている事に気づいた。
「どうした? なにか見えたの!?」
「わ、私の、み、見間違いですよねー!? あ、あの二人が死んでいたのです・・・」
あの二人・・・とは私達に主人の事を知らせたあれらの事か!?
そ、そんな有り得ない・・・。
足音が消えていった方向に顔を向けると、そこには赤眼がいつも入っていっている、縄張りの中心に位置する巨木の中。
そこに設えられたドアが今まさに締まるところだった。
私にはその死んでいた二人は見えなかった・・・この怯え様では間違いないだろう。
・・・・・・・・・逃げるか?
いや、例え逃げ出したとしても、森の中にいる大蜘蛛達に察知され、殺されるのが関の山・・・完全に詰んでいる。
「・・・かくなる上は、私達の命で子供達だけでも」
「リーダー・・・」
そして覚悟を決め、少し経った頃巨木のドアが開かれる。
そしてそこには・・・。
泣き腫らした赤眼の姿と・・・一人の魔物の姿が見えたのだ。
「あ、あ、あの赤眼が・・・」
「やっぱり私が見たのは本物だったんだ!! 今から処刑なんだ!?」
そして、その瞬間・・・私と『主』目があった。
『主』はゆっくりと手を挙げ、歪んだ微笑みを浮かべたのだ。
私には、こう見えた。
「次はお前達だ」
そう言い放つ、残虐非道な魔物の姿が。
あんまり目立ってないメンバーを連れて行こう。
ハンゾーは・・・お気に入りなので、帝都に連れていきましょう。
宜しければ、本文下にある評価の方是非ともお願い致します!
遠慮なくこの物語を評価して下さい!!
何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。
(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)
感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になりますので気軽にどうぞ!!




