帝都:ヴォーゼニスでした!
ね、年末で大忙し・・・。
それでも、多くのブックマークと閲覧数に助けられ、私は執筆を続けます!!
次話投稿は一週間以内です!
明るく照らし出された道を、ガラガラと馬車は行く。
しかし、カルウェイや王都に向かった時の様な不快感はなく、馬車は穏やかに帝都へと進んでいる。というのも、窓から身を乗り出し、馬車が通る道を見ればその理由がわかる。
道が綺麗に舗装されているのだ。
さすがに前世の様に、全ての道が舗装されている訳ではないようだけど、帝都へと続く主要な道は全て綺麗に舗装されており、馬車が通っても跳ねたり飛んだりする事が少ない。
こんなに道を綺麗に舗装できるのも全て、帝都の特色である『鉱石』のお陰だ。帝都は鉱石の採掘だけでなく、その鉱石を加工する技術も他の国よりも秀でていて、こういった舗装だったり石細工等がかなり進んでいるらしい。
しかし、帝都は意外にも国としては小さいらしく、道を舗装している理由の一つに、人の往来を活発にさせ国の人の密度を上げるという目的もあるそうだ。
つまり簡単に言えば、住みやすくすれば人も多く来る。そして、商売も活性化させ、国を成り立たせている・・・というのが表向きなのだそうだ。
初めに聞いたときはその『表向き』って意味がわからなかったが、当初の目的は戦争の為であり友好の証としてであったそうだ。
・・・まぁ、言ってしまえば、道を舗装する事で、不審な事をしたり裏切る様な事をすればいつでも正面から乗り込むぞっていう意思表示であるらしい。また、自分達にもそれが降り掛かるぞってなわけなのだ。だからこそ、牽制であり友好の証であるらしい。
この事からもわかるように帝都はかなり強かな国である。
故に、小さな国でありながら滅ぼされず、連戦連勝という結果に至っているのだ。
しかし、国に入ってしまえばかなり住みやすい街であり、差別などは・・・ある事にはあるらしいが、そこまで酷い物でもないらしい。・・・面倒な諍いが起きぬよう、お互い不干渉を貫いているらしく、つるんでいる人間もいるがごく少数だそうだ。
さて、そんな帝都への道中だが、至って平穏である。
これといって変わり映えもなく、強いて言うならば傍にいる配下が変わったくらいだ。
横で静かな寝息を立てて眠っているシロタエに、窓の外を興味深そうにジッと見つめるコトヒラ、肩でじっと息を潜めているハンゾーがいる。
シロタエは里の仕事大半の統括を行っていて、かなり多忙であった為にかなり疲れていたようだ。そんな疲れた体を休めるかの様に、今は俺にもたれ掛かって口からヨダレを・・・流石にそこまではないが、静かに眠っている。
コトヒラは里で診療所のようなものを開き、怪我や病気の看護をしていたそうだが・・・どうやら、人間とは少し距離を開けているらしく、今回の遠征に参加している。
ハンゾーは『ニンゲンノブジュツ?ヲシリタイ。アンサツシャトシテ』・・・だそうだ。正直かなり物騒ではあるが、ハンゾー率いる忍蜘蛛集団は里の守衛を努めており、里に脅威が近づく前に排除しているそうだ。
あぁ、それと一つだけ重要なことがあった。
今回・・・なんと、サテラとミリエラがいないのだ。
サテラに関してはどうにかして同行しなくてはと思っていたらしいのだが、どうやらあの一件でレェベン家に呼び出された・・・というか、お兄さんに呼び出されたそうで、流石に逆らうことはできなかったそうだ。
そんなサテラは渋々、今回の遠征に参加することはできなかった・・・のだが、里を出立する前に五時間ほど教義を受けたのはいい思い出だ。
ミリエラに関しては、どうやら契約している精霊の調子が悪いらしい。
ディーレさんから聞いた話によれば、あまりレベルの高くない精霊が魔力の薄い場所で連続で魔法を行使すると起こりうる現象らしい。
つまり、ミリエラは精霊の療養の為来れないのだそうだ。
つまり・・・魔族だけでの旅になっている。
トラブルの温床であると魔族が集団で人族の街へ行くなんて本当はありえないが、そこはシロタエがすべてカバーしてくれるそうだ。
聞けば、里での暮らしでは人間と率先して会話をし、人間の知識や道徳を学んでいた。そのことから、シロタエは里で一番信頼が置かれ、リーダーとしてハルウ達と同等に扱われているらしい。
ハーピー達とシロタエが最低限の下地を作ってくれて、仲良くなるのも時間の問題だろう。
・・・そういや、ハーピーといえば、俺の姿を見た二匹が気絶してたけど大丈夫かな?
「見えてきましたよ」
アンネさんから借りた馬車の御者をしていた人がそう告げる。
里から出て二日ほど、漸く帝都が見えてきたらしい。
シロタエを起こさないようにそっと動かし、御者からゆっくりと身を乗り出して帝都の全容を伺おうとする。
暗い場所から出たせいで陽の光に目をやられかけたが、それも束の間・・・前方には大きな要塞の様な国が見えてきたのだ。
帝都を取り囲む壁は陽の光を反射させ鈍色に輝き、上から見下ろすことができたのならその壁が王都の様に円形でないことがわかる。
「ん? なんか王都と違う?」
「お気づきになりましたか。帝都は壁の形が他の国とは異なるのですよ」
よく見てみれば、壁がギザギザとした配置になっているのが分かる・・・そういえば、こういった城壁をどこかで見たことがある気がする。
確か
「・・・あ、これって『五稜郭』か?」
恐らく帝都を覆う外壁はその形状からして、『星形要塞』と呼ばれる物だと思う。
前世でもその城壁が使われたところが有り、『五稜郭』というものだ。
字の通り星型をした外壁であり外から見た見栄えは悪いが、これが中世の頃の戦争では物凄い効力を発揮したのだ。
この城壁の利点は、火気を通しにくい点にある。従来の円形の城壁は『火砲』によって容易に崩され、突破されていたのだが、この城壁になると簡単に崩せなくなるのだ。
何故なら、決まった位置からの砲撃でしか壁を壊すことが敵わないからだ。
簡単に言えば、壁を火砲で壊すのなら、その壁に向かって垂直に砲弾を打ち込まなければならない。しかし、星型要塞ではギザギザとしてるせいで、垂直に砲弾を打ち込めないのだ。
で、垂直に砲弾を打ち込もうと移動すれば・・・そこは城塞から丸見えであり集中砲火を浴びる的になるのだ。
この異世界でもその手法が使われているのか・・・。
「あの壁に使われている素材は『ルウィス鉱石』と呼ばれている物で魔力を通しにくいのですよ。ですから、どの方向から大規模魔術を打ち込んでもダメージが通らず、通る場所に移動しようものなら練度の高い帝国兵に強襲されるのです・・・いやはや、さすがは帝国ですな」
『人間は醜いわ。どうして意思疎通ができるのに同種族で戦うのかしら?』
「欲塗れだからなぁ・・・」
ディーレさんが理解できないわと呆れ、そんなことを話している間にまもなく帝都に到着した。
やってきた衛兵にアタライ様から貰った入国優先許可証を見せると、簡単な荷物検査をさせられただけで入国を許可された。
その時にチラっと見た兵士のステータスは
HP:421
MP:231
STR:351
VIT:431
AGL:231
MGI:31
このくらいだ。
パッと見ただけではそれほどまでに強いとは思えないステータスなのだが、王都でみた騎士のステータスをどれも少しだけ上回っている。しかし、それは帝都の兵士が強いと言われる理由ではない。
単純に言えば、剣技が王都の兵士より勝り、場数を踏んだことによる練度の差や、武器の質等が挙げられる。
そして王都では騎士爵の筆頭・・・つまり、アタライ様のような騎士がそれぞれ兵を率いている。
しかし、帝都では『帝国七爪』と呼ばれる者を筆頭に軍が構成され、皇帝の命の下に一つの意志となって軍が行動するのだ。
多種多様な兵法、どの様な場所でも通用する兵士・・・それが帝都の強みだそうだ。
「着きましたよ」
横で眠っているシロタエを起こし、ゆっくりと馬車から降りる。
「おぉ・・・」
馬車から降りた先に広がっていたのは、煉瓦やタイルで彩られた街並みを悠然と歩く冒険者達の姿。道の脇を見てみれば様々な商店が自慢の逸品を持ち出し、冒険者達に如何に自分の店の商品が他の店と違って優良かを演説している。
通りを行き交う人混みは大半が冒険者っぽい服装で、あちこちに鎧を着込み、武器を腰に差した者達の姿が見受けられる。
露店の商品は殆どが武器や防具、アクセサリといった物で、帝都で取れる鉱石をふんだんに使った良質な装備品が数多く並んでいる。
陽光を反射してキラキラと輝く装備品の数々は目移りしてしまいそうで、冒険者達はそんな中から自分にあった一品を選ぶのだから皆必死の形相で装備品とにらめっこしている。
・・・あ、今ある店で同じ商品を手に取った冒険者の二人組がいる。二人組はジロリとお互いに視線を交差させ一触即発の空気を漂わせる・・・かと思えば一方の男が商品から手を離し、ほかの商品の品定めを始めてしまった。
なんだかイメージと違う。
「王都なら喧嘩がおきそうなのに・・・帝都の冒険者達はこんななのか?」
「あぁ、それでしたら多分あれが原因ですね」
御者の人が自分の疑問にササッと回答してくれる。
あれと呼ばれたモノを探そうと、キョロキョロとお上りさんの様に周りを見渡してみれば、簡単に見つけることができた。
そこには帝都の紋章を鎧の胸元に刻み込み、周囲を油断なく見て回っている兵士の姿があった。成る程・・・これが帝都の治安維持方法なのか。
たとえ諍いや揉め事が起きても、直ぐ様兵士が駆け付けられる様に、常に帝都中を兵士が巡回しているらしい。
そして、冒険者の間ではいつしか暗黙の了解ができたそうだ。
商品などで揉め事が起きた場合・・・今回の場合で行けば、ランクの高い者に優先権があるらしく。恐らく、さっきの二人組は一方のランクが高かったのだろう。
これが同ランクなら、他に方法があるらしいが結構面倒くさい決まりごとらしく、殆どの場合どちらかが折れることで落ち着くらしい。
馬車の停留所でキョロキョロとしていると、自分の姿に気づいた冒険者達は一度顔を伺ってから興味を失ったのだろうフイッと視線を逸らす。
しかし、その次に馬車から出てきた者に、冒険者たちは逸らした視線をもう一度馬車に戻して釘付けとなる。
馬車からふわりと舞い降りた美姫の姿に、冒険者たちの息が一瞬止まる。
露店で装備品の品定めをしていた冒険者達も、自分の馬車から降りた一人に釘付けとなってしまい・・・露店の店番の者さえもその姿に息を飲む。
そして、それに続いて降りてきた者にも、主に女性の冒険者から感嘆の溜息が漏れ出ている。
まぁ、わからなくもないんだけど。
「ここが人の縄張りなのですね。主人お気を付けを」
「人の匂いが染み付いていて落ち着かないなぁ。あ、でも主人がいるから大丈夫かな?」
シロタエとコトヒラの二人である。
シロタエは言わずもがな美人である。人目を引くには十分すぎる程美しく、憂いを帯びた瞳に男性冒険者達は皆ゴクリと生唾を飲み込む。
視線に気付いたのか、ゆっくりと辺りを見回したシロタエが、ニコッと微笑みを見せると、冒険者全員の鼻の下が伸びた。
コトヒラは幼いながらも整った顔付きをしていて、爽やかなイケメンである・・・滅びればいいのに。王子様ぜんとした顔つきと、ニコニコと微笑んでいる姿は女性冒険者達の視線を一身に浴びている。
これまた、視線に気付いたコトヒラもニコリと微笑んで見せると、どこからか黄色い歓声が聞こえた気がする・・・俺の時はなかったのに!!!
その微笑みを見せる二人といえば
「不躾な視線ですね」
「なんだろう? 敵意はないけど気持ちのいいものじゃないね」
表面では微笑を讃える美男・美女ではあるが心は真っ黒だ。
そんな美男・美女の登場に人目を引いてしまっているのに居心地が悪く、御者の人にお礼を言って、アンネさんにも伝えてくださいと告げると、足早にそこから離れた。
二人にはミリエラも愛用していた目深のローブを着て貰い、どうにかして人目を避けるようにした・・・じゃないとおちおち観光もできないからね。
さて・・・今することといえば、冒険者ギルドを探す事と、宿屋を探す事の二つだ。
帝都の冒険者ギルドは街の南西にあるそうで、帝都の街並みを見ながらブラブラと歩いて行く。
『前いた場所とは随分違うわね』
「そうだね。街並みもなんだかゴツゴツした感じだし、何より冒険者が多いね。『バーバリアスの祝祭』?で冒険者も多いんだろうね」
『今回は誰にも見られてないようね』
「・・・もうやめて」
また攫われたりしたら今度こそ落ち込むよ。
ため息を吐きながら、肩で半ば装飾品と化しているハンゾーを撫でる。気持ちよさそうに身を捩らせているのがなんとなくわかるが、後ろからジトーっと視線を感じるからやるせない。
後で二人もなでてあげよう。
と、そこで今まで鼻を付いていた鉄の匂いに紛れて、なにやら香ばしい匂いが漂ってくる。
フラフラと道をそれて匂いにつられて・・・行こうとしていたのだが、シロタエにガシッと腕を掴まれてニッコリと微笑みを向けられる。
・・・忘れていた。サテラがいない代わりにお目付け役がシロタエに変わったんだった。油断も隙もないらしい。
「お腹が空いているようでしたら、その・・・私が作ったお弁当があるので・・・」
「え? あれ持ってきてたの?」
「は、はい・・・」
そう言って里での出来事を思い出す。
なにやら、最近里で人間に料理を教えてもらっているそうで、里の女性全員で励んでいるそうだ。一番飲み込みが早いのがヨウキらしく、次いでシロタエ、ルリだそうだ。
俺が里に戻ってゆっくりしていると、ユキを筆頭に全員が料理を持ってきてくれた。そんなに食べきれない・・・と思ったのだが、進化してからというもの腹に限界というものを感じない。
食欲もそこまでないのだが、入れれるだけ入れれるというのは・・・自分の身体なのに気味が悪い。
・・・しかし、しっかりと味覚はあるわけでして、なんというかそれぞれ個性のある味わいでした。
ヨウキやシロタエは良かった。だけど、ルリは塩っけが強く、ユキは薄い、他多数の女性魔族達の試食を行ったが、皆一様に個性がある・・・うん。
ある者によっては、完全なゲテモノが出たのだから発狂しかけた。
で、そんなシロタエがお弁当を作ってきてくれたという。
これは楽しみだ。今より道をして食べるのは得策とは言えない。
「うーん、じゃあ寄り道せずにギルドに行ったほうがいいね」
そう告げて、冒険者ギルドへと急ぐ。
何故かそれからシロタエが俯いてあまり話さなくなったが、初めての人間の街で緊張しているんだろう。
そうして歩いていると、冒険者ギルドへと到着する。
王都とほぼかわりないが、中に入るとその冒険者の数に圧倒される。
ギルドの中では冒険者たちが犇めき合っており、掲示板に掲載されている依頼の数はもはや空いている場所がなく、紙が何重にも重なって打ち付けられている始末だ。
受付もかなりの列が出来上がっていて、受付を担当しているギルド職員の人達は汗水垂らしながら必死に人を捌いて行っている。
まぁ、自分達はユリィタさんが書いてくれた推薦状のおかげで列に関係なく受付できるんだけどね。
因みにクエストは受けない。なら何故ここに来たのかといえば、どうやら俺のギルドカードの更新手続きを行いたいらしく、立ち寄って欲しいとユリィタさんに言われたからだ。
「すいません。ギルドカードの更新を行いたいのですが・・・あ、これ、推薦状です」
「・・・はい。確認致しました。少々お待ち下さいませ」
そう言って職員の人は後ろへと下がっていく・・・そういえば俺のギルドランクはいくらだっけ?忘れてしまった。
依頼の貼り出された掲示板をボーっと見ていると、職員の人が戻ってくる。
「それでは、更新手続きを済ませましたので、最終確認の方をお願い致します」
「はいはい・・・おぉ!?」
そこに書かれていたのはギルドランク『A』の文字、特に何もしていないのに何故・・・と思ったが、思い当たる節がある。
『たぶんミリエラちゃんね』
「氾濫の時にミリエラが頑張ったせいか・・・」
金色を名乗ったミリエラの功績が自分のところに舞い込んでしまったらしい。
カナン冒険者ギルド、王都冒険者ギルド公認で『A』ランクへと至ってしまったらしい。
「素直に喜べないなぁ・・・」
受付で苦笑を漏らしていると・・・。
「このクエストを受けたいのだが・・・」
「はい。それではギルドカードの提示をお願い致します・・・あぁ、申し訳ございません。このクエストは冒険者様のランクがまだ規定に達していない為、お受けすることができません」
「そうなのか? すまない。冒険者になってから日が浅いもので、よければいいものを見繕って欲しいのだが」
自分の隣に、ローブを纏った冒険者が依頼書を受付に見せる。しかし、どうやらランクが足りずに受けることができなかったようだ。
顔は整っていて、青みがかかった髪をしている。腰には長剣をさしており、一見すれば普通の冒険者なのだが・・・。
なんだか妙に気になるな?
『どうしたの?』
「んー? いや、何となくだけど、気になってさ」
『・・・そんなに強そうにも見えないのだけれど』
「そっか・・・ディーレさんがそう言うなら間違いないか」
後ろ髪を引かれながらも、受付の人にどこかに安い宿はないかを聞いて、冒険者ギルドを後にした。
さて・・・宿に行ったら、シロタエお手製の弁当でも食べるとするか。
感想返信の方、遅れております・・・もう少々お待ちくださいませ!!
さぁ・・・帝都ではどんなストーリーが待っているのでしょうか?
宜しければ、本文下にある評価の方是非ともお願い致します!
遠慮なくこの物語を評価して下さい!!
何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。
(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)
感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になりますので気軽にどうぞ!!




