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王都:情報の真偽でした!

物語も終わりに近づいてまいりました・・・。

次話投稿は一週間以内です!

 夜の帳が下り、窓からは寒々とした闇が、部屋へと流れ込もうと試みる。


 そこは広い部屋の一室。

 闇は音もなく部屋へと忍び込むが、魔力を通じて光を放つ魔道具が天井からぶら下がっており、闇は一瞬の後に消滅する。


 部屋からはサラサラと、ペンと紙が擦れる音が反響し、一つの音楽として部屋中を満たしている。

 紙の上を止まる事なく走り続けるペンは、無数の文字を書き記し、白というよりかは少し茶色味掛かった紙の上を、黒一色で塗り潰していく


 それと同時に、部屋に通じるたった一つの扉がコンコンコンとノックされる。

 ペンと紙が奏でる調律のとれた二重奏の中に、空気を読まない不協和音が混じる。


 その不協和音を奏でた不躾な来訪者に、ペンを走らせていた人物は眉を顰め、ペンを走らせる手に力が入る。

 すると、今まで綺麗な旋律を奏でていた楽器は、ギャリっという音を立て、調律は一気に崩れ去った。


 調律が狂った事に軽い苛立ちを覚えたその男は、掛けた眼鏡を外すと、ペンを走らせる手を止め、自分を落ち着けるように大きく溜め息を吐く。

 不協和音が反響していた部屋は 、一気にシンっと静まり返る。

 すると、もう一度扉から、三度ノックされる音が室内に響く。


「・・・入れ」


 ぼそっと呟かれた言葉は、どうにか扉を(また)いだ先にいる人物にも届いた様で、ガチャっという音と共に扉がゆっくりと開かれる。


 室内に入ってきたのは、一見すれば普通の人間であり、どこを見ても一般人のそれと区別できない。

 一般人の顔、一般人の服、一般人の様相である。

 その男は、どこをどうとっても『一般人』であった。


 だが、その男が一度手を振り払えば、それは一瞬にして霧散する事となった。

 霧散した男の中から、一人の人間が姿を現す。


 長い髪を上で纏め、吊り上がった眉と眼、厚い化粧が施され原型が全く分からない顔。肉というものを感じさせない細長い肢体からはしかし、二つの大きく盛り上がった胸があり、それが女であるという事がわかる。


「またか・・・なんのようだ?」


 男は低い声で、目の前に立つ女へと険しい視線を向け、眉を顰める。

 それはまるで、女から紡がれる言葉を予期しているかのようでもあり、女に苛ついているようでもあった。


「あらあら、ご機嫌斜めなのね・・・。もうちょっと愛想良く迎えてくれてもいいのよ?」

「どうでもいい。早く要件を言え」

「あらそう? 貴方に会いに来たかったのよ」

「・・・・・・・・・」


 手に持った羽ペンを置いて、ジロリと女を睨み付ける。

 それに顔を青くした女は慌てふためき、次の言葉を紡ぐ。


「やぁねぇ、マジになっちゃって・・・また、例の奴等が現れたのよ」


 女はそんな男の視線を嗤い、不適な笑みを浮かべる。

 男はそんな女の言葉にいつもの事だと自分に言い聞かせ、またか、と小さく小声で呟いた。


 男はこれで何度目なのかを思い出そうとし、思い出した所で無駄な事と思考を中断する。

 そして、興味が失せた男はペンを手に取り、また机の上にある書類へと手を伸ばした。


 しかし、次に女から紡がれた言葉に、男はその手を止める事となる。


「貴方にとって結構大事な場所が襲撃されたのよ~」


 そう女から告げられた瞬間、男は一瞬動揺してしまった。

 女はそれを目敏(めざと)く反応し、より一層顔に()みを浮かべる。


 男はしまったと、心の中で苦鳴を漏らすが時既に遅く、女には自分の動揺が完全に伝わってしまった。

 男は動揺を浮かべた自分に悪態を吐きながら、女へと視線を向ける。


 眉を顰める男に、女はにやにやと笑いを浮かべ、細長く蛇の様な肢体をクネクネと動かしながら、また言葉を紡ぎ始める。


「うふふ。ごめんなさい、ついついからかいたくなってしまうのよ」

「どこで嗅ぎ付けた・・・」

「これでも諜報には自信があるのよ。貴方の所の子飼いよりもね」


 女は己の唇をペロリと舌で舐め、妖艶な手付きで下腹部に手を這わせる。

 ほんのりと頬を上気させ、恍惚な眼差しで男を舐め回す。


「ふん。こっちの情報を食った癖によく言う」

「それも諜報の一環よ。それに、私が仕入れたのはそれだけじゃないわ」


 男はいよいよ険しい顔つきを隠すこともせず、女の方へギロリと視線を向ける。

 女が持っている情報は、それだけ男にとって重要なことなのだ。


 痩せて細くなった身体をわなわなと震わし、男は額から汗を流し、女へと問い掛ける。


「何が目的だ?」

「あらあら、目的なんてないわぁ。唯、一枚噛ませて欲しいだけよ」

「毒蛇を内で飼えと?」

「そうなるわねぇ」


 女は睨み付ける男の視線を意にも返さず覗き込み、黒く淀み濁りきった視線を男へと突き付ける。


 女の瞳から注がれる底知れぬ闇の深さに、男は身体を蛇が這い登る錯覚に囚われる。

 その蛇は首筋へと登り詰めると、ヌラヌラと光る長い舌で舐め、牙を突き立てんと口を大きく開く。


 男はその錯覚に戦慄し、歯をガチガチと打ち鳴らす。

 息が詰まり、肺に一切の空気が送り込まれず、口からは言葉とも呻きとも取れない声が漏れる。


 蛇の牙が首筋へと突き立つ・・・かと思われたが、一瞬にしてその蛇は霧散する。


 男が虚ろな意識を覚醒させ、女の方へと視線を向けると、女はいつも通りのにやにやとした笑みを浮かべていた。


「お願いね?」

「う・・・む」

「あぁ、そうそう。情報は諜報の子達へ伝えておくわね」


 女は言質を取ったと言わんばかりに、ふふんと鼻を鳴らすと後ろへと振り返り部屋を後にしようとドアノブに手を掛ける。


「待て」

「何? 今更やっぱやめたなんてないわよねぇ?」


 男はじっと女を見つめ、盛大に大きく溜め息を吐くと、頭を手で押さえながら告げる。


「服を着ろ」

「あら」


 女は、後で着るわ、とだけ告げて部屋を後にする。


 シンと静まり返った部屋には男を除いて誰もおらず、静寂と男だけがこの場を支配している。

 男は漸く脅威が去ったと、震える吐息を漏らし、首に掛けていた精神操作無効のネックレスを外す。


 女の名は「大毒蛇」。

 数えきれぬ程人を殺し、その毒牙を持って人の全てを腐らし、破壊していく。

 それが仲間であれなんであれ、己の毒を以て内部から腐り尽くす。


 幻惑の魔法を行使し、相手をいたぶり尽くして殺す残忍なスラムの住人。

 スラムで知らぬ者はいない、『東のスラム』災悪の一人である。



 -------------------------------------------------・・・



 ()えた臭いが充満する街・・・とも呼べない、廃屋の数々が乱立した居住区を進む。

 煤けた建物の中からは幾人もの人の気配が感じられ、物珍しそうにこちらを見つめる視線が後を断たない。

 中には危険な気配を漂わせる視線も突き刺さるが、そういったものはだいたい闇に紛れる彼らが何とかしてくれる。


 舗装されていない道は、砂だけでなく割れたガラスの破片やゴミなどが散乱しているせいか、ジャリジャリと不快な音を立てている。


 目の下に隈を作った老父が、(しわが)れた声で此方(こちら)へと話し掛ける。

 その老父は、手に持った「薬」が如何に素晴らしい物であるかを説明し、血走った瞳でギョロギョロと舐める様に私を見つめる。


 そして、私がその老父から視線を外した瞬間、その老父は何の前触れもなく、音も無く姿を消していた。


 それにについて、深く考えることもせず、またゆっくりと歩みを進めていく。

 少し開けた場所に出る。相変わらず陽が照っていると言うのに、どんよりと薄暗い道、横を見やれば膝を抱えて(うずくま)った子供が連なっている。


 踞っていて顔は見えず、ピクリとも動かないその姿勢から、死んでいるのではないかと思わせるが、子供達からは張り詰めた気配が漂っているのだ。


 子供故の未熟さがそこから感じられた。

 そういった『フリ』が上手い者であるのなら、気配を完全に殺すか偽って機を狙うだろう。


 私が子供の横を通り過ぎ、通りを抜けようとした時、後ろからタッタッタと複数の子供が走る音が微かに耳に届く。

 気配も足音も消せておらず、ハッハッと息を吐く音も聞こえている。

 しかし、子供達は「気配を消そう」としているのだ。


 疚しい事があるから「気配を消そう」とする。

 そしてまた、闇が微かに揺れ動く・・・だけど、私はゆっくりと手を挙げて、闇の放出を防いだ。


 足音が近づき、殺気を帯びた小さな気配が私の背後に何人も感じられる。


 そして一番近い足音は、既に私の間合いだった。


 辺りを照らし出し、人々を明るく照らす陽光を反射させ、雷光の如く銀閃が宙を走る。

 空気を切り裂く音が周囲に響く、煩く響いていた足音はピタッと止み、張り詰めていた気配は一気に霧散する。


 喉元に突き立てられた剣は、しかし寸前で止められていた。

 子供の瞳は大きく見開かれ、呼吸の音が止まる。


 剣を鞘へと戻し、後ろへ振り返る。


「いきなさい」


 子供はやっと状況が飲み込めたのか、ゆっくりと腰を抜かし、ガタガタと身体を震わしている。


 ・・・そう、これがスラムの日常だ。


 隙を見せれば襲い掛かり、隙を晒せば襲われる。

 犯罪を裁く法もなく、諍いを止める兵士や騎士もいない。

 己の強さこそが法であり、権力である。


 王都の闇の吹き溜まりが収束し、一つの街となった場所。


 王城から東へ進んでいくと、だんだんと建物が薄汚れていく。

 道の舗装も途切れ、人々の顔からは徐々に生気が失われていく。空気は淀み、饐えた臭いが鼻をつく。


 そしてある場所を境に、周囲の温度がグッと下がる。

 そう・・・そこがスラムの入り口なのだ。

 ・・・まさかもう一度ここへ来るなんて思ってもみなかった。


 広い道を抜け、今度は細い路地へと足を踏み入れる。

 神経を研ぎ澄まし、自分の周りに人の気配が無いことを入念に探る。それと同時に自分の気配も、闇の中へと溶け込ませる様に消失させていく。


 そこで漸く、小さく安堵の息を漏らす。


 そして、闇からはニュッと三匹の姿が現れる。

 闇の衣を纏ったかの様に黒く、細い路地の奥からは瞳だけがギラギラと輝いている。


 足音もなく私へと歩みを進めるその姿に、私はごくりと息を呑む。

 風を受けて小波(さざなみ)を立てる、繊細な糸の様な暗い青色の毛は、時折光を反射させ輝いている。

 しかし、一度闇に潜れば、その毛並みは光を通さない漆黒へと変化するのだろう。


 そして、しっかりと視認できる位置に、その三匹は姿を現した。

 大きな体躯をした狼・・・遠くから見れば森のウルフと大して代わりはないだろう。しかし、そのがっしりとした体つき、知性を宿した瞳からは、それが唯のウルフで無いことを如実に物語っている。


 しかし、その三匹がブルブルと身体を震わすと。

 みるみる内に身体は小さくなり、その姿は人間のそれへと変わり果てる。


 それぞれ違った様相の人間がそこに立っていた。


「はぁ・・・ご苦労様。ハルウ、モミジ、ナーヴィ」

「人間の気配をそこかしこから感じる。ここはかなり危険な場所だな」

「うん。かなり危ないね・・・私の察知から隠れようとした人間もいた」


 三匹は、漂う気配の残滓に落ち着かないのか、辺りを見回してはソワソワとしている。

 まぁ無理もない。聞いた話では魔物や動物なんかは、人間よりも気配に敏感で、少しでも変わった気配が近くにあると落ち着かないそうだ。


「なぁ、いつになったら降ろしていいんだ?」

「・・・あぁ、えっと、そろそろ降ろしてあげて」


 ナーヴィが肩に担いでいたモノを降ろす。

 それは眼を回し、完全に意識が飛んでいる絶世の美女。


 精霊に愛され、精霊魔法を行使することができる種族であり、寿命は人間の十倍近く、その美しさを長い年月保つことのできる種族。

 自分よりも美しく、女の子らしく、何より胸のでかい女の子・・・悔しい。


 エルフのミリエラである。


 一緒に歩くのは危険と、ハルウ達と行動させていたけれど、ハルウ達の動きについていけず、背中に乗せて貰ったのだろう。

 そして、これまた動きについていけず、背中で気絶している・・・と、こんな所だろう。


 ミリエラの眼が覚めるまで休憩し、ミリエラも眼が覚めたところで話し合いを始める。


 そもそも、私達がここに来たのはある「情報」からだった。


 私は宿の一階で散々暴れ回った三匹に紛れて、情報収集に勤しんでいた。

 酒というものは人の口を緩ませる効果があり、普段は情報に金をせびる冒険者もこの時ばかりはペラペラと喋る。


 しかし、目撃情報は極端に少なく、情報も錯綜していた。

 真偽を見極めるのが難しいが、ダンジョンで見たという者はあまりいなかった。


 そして、その中で一人。

 気になる事を言った人がいたのだ。


「最近東のスラムに、妙な三人組が出没するそうだ。スラなんとかって叫びながら、何処からともなくやって来ては、名持ちを屠っていくんだってよ」


 だそうだ。


 ・・・あれならやりかねない。

 いや、きっとやるだろう。


 という訳で、目撃情報のあったスラムに来ているのだけど、知っての通りここは法が存在しない無秩序な場所だ。

 ハルウ達であっても、気を抜けば命を刈り取られてしまいかねない。


 そんなスラムで情報を収集するのは難しい。

 人に話を聞こうにも、大勢で歩けば警戒されて直ぐに逃げてしまう。少数で歩けば、先程の様に面倒ごとに巻き込まれてしまう。

 情報を得るのもかなり苦労する。


 スラムに来てからかなり経つが、今の所有益な情報は得れていない・・・信憑性の有無もわからず、右往左往している状況だ。

 あっちにいた、こっちにいたとかなり神出鬼没なようである。


「本当にアルジはこんな所にいるのか?」

「妙な三人組って言うのがユガかはわからないけれど・・・なんとなくだけど、それがユガの様な気がするのよ」

「私もかな?」

「えっと・・・お姉さんもです!!」


 ハルウとナーヴィは互いに顔を見合わせ、わからないと首を傾げる。


「なぜそう思う?」


「勘よ」

「勘・・・かな?」

「勘!」


 口を揃えて言われたハルウは、ますますわからないと頭を悩ませる。

 ナーヴィは勘と言うものが何となくわかるのか、それとも考えることをやめたのか、うんうんと頷いている。


 取り敢えずはと、さっきと同じ様にスラムを歩こうかと提案する。現状はそれ以外に方法はなく、手当たり次第に聞いて回るか探して回るしかない。


「うん?・・・近くで人間が集まりだしたな。気配が濃いぞ」


 すると、ハルウが人の気配を察知したようで、私たちから少し離れた周りの廃屋よりも一回り大きな建物をじっと見つめる。

 ナーヴィもよくない気配を察している様で目付きが険しい。


「たぶん三階だね。そこから変な臭いがする」


 ハルウ達は、どうするのかと私に視線を送る。


 勿論行くわけない・・・といつもの私なら即答していたと思う。

 自ら危険に突っ込んで、厄介事を被るなんて考えられない。


 まして、今はミリエラもいて危険が多い。

 ハルウ達がいたとしても、大勢の実力者達に囲まれれば一筋縄ではいかない。いつもならそんな状況はほぼあり得ないかもしれないけれど、今はどんな事態が起こってもおかしくはない場所にいるのだ。細心の注意を払う必要がある。


 と、これだけ考えるのなら、よくない気配を出す多数の人間がいるところに行くわけがない。


 しかし、ここに来る途中に、私達に襲い掛かった者達にはハルウ達が尋問を行っていた。

 その連中の内、一人が興味深い事を口にしていたのだ。


「妙な連中が『争い事』の最中に現れるって噂を聞いたことがある」


 というものだった。

 それを告げた人物は、ここに来て最初に・・・ミリエラに襲い掛かった人物である。

 その時は、「自重」をハルウ達に教えていなかったせいか、その人物はかなり手酷くやられていた。

 だからこそ、情報に信憑性があるのではないかと考えた。


 そして、丁度良い所に囮がいる。

 あの男が言っていた噂が本当なら、妙な連中が現れる可能性は十分にある。

 このチャンスを上手く扱えれば、いまいち進歩がない現状から脱する事はできる。


「はぁ、私もだんだん毒されてきたのかしら・・・」


 苦笑いを浮かべながら、自分に悪態をつく。

 そして、緩み始めた神経を引き締め直し、ハルウ達へと告げる。


「行くわ。だけど、全員一緒に行動する事。何かあったら即座に逃げます。特にミリエラ・・・先走らない事」

「・・・う、うん」


 このスラムに来て、最初に襲われたのはミリエラだ。

 理由は・・・ミリエラの優しさだった。


 腹を抱えて(うずくま)り、ガタガタと震える人を見つけたミリエラは精霊魔法を唱え、私達を置き去りにしてその人の元へと走っていった。

 まぁ、お察しの通りその人というのは、弱った演技をしていただけ。ミリエラの様なお人好しを獲物にしてきたのだろう。


 ミリエラが傷を癒そうと近づくと同時に、凶刃が振るわれた。

 まぁ、それもお察しの通り、風の精霊が男を叩きのめしたのだけれど。


 そんな事があって、その場で厳重注意したのだけれど、一応念には念を押さなければ。

 唯でさえうちには問題児が多いのに、ミリエラまでそれの一員に加わるなんて、たまったものじゃない。


 ハルウとモミジを先頭に、ナーヴィを後方に置いて建物へと入る。

 モミジは前より安全な後方にした方が・・・と思ったのだが、彼ら曰く、最も危険なのは後方であるそうだ。


 森で暮らしている最中、最も警戒すべき場所は後ろ。

 最も気配に鋭く、力量がある者が後方を勤めるのだと豪語していた。

 それならハルウが、と思ったのだけど単純な戦闘であるならばナーヴィの方が強いらしい。ハルウは悔しそうに、そう言っていた。


 建物の中は、やはり廃屋と言っていい状態であり、壁は所々崩れ、ひび割れていて、ゴミやら何やらが散乱している。

 元は屋敷だったのか、かなり広く部屋も幾つも見受けられる。流石に調度品などは置かれていないが、元は立派な建物だった事はわかる。


「・・・」

「・・・・・・」


 すると、どこからか人の声が漏れ聞こえる。

 声を殺していないのは、周りに誰もいないと思っているからなのだろう。


 そこからは完全に気配を押し殺し、地面のゴミや石に注意しながら声の聞こえる方角へと進む。

 深く深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。心に波風が()たぬよう、一度深く目を瞑る。


 ふぅと息を吐き出し、慎重に歩みを進め、声のする場所へと到達した。

 ハルウ達は闇に溶け込み、先にいる人物達へと視線を向ける・・・しかし、どこか様子がおかしい。


「・・・どうしたの?」

「うーん、何だか鼻の辺りがむずむずする」

「・・・俺も感じるな。妙に甘ったるい様な匂いがする」

「俺もだな」


 別にどうってことはないというハルウ達は、曲がり角の先にいる人へと視線を集中させる。

 私はそんなハルウを背に、その怪しい者達の声へと集中する。


「にし・・・も、こんな・・・が、作れ・・・・・・ビル・・・はすげ・・・な」


 はっきりとは聞こえなかったが、何かを作ったのだろう。

 それを誰かに渡そうとしているらしい。それからは金銭の話題へと変わった。


 特にこれと言って、変わった内容はなく着々と話は進んでいっているようだ。

 数は話を進めている男二人、お互いの背後には護衛の者達が5人ずつついている。それもかなりの手練れであるということが、佇まいや気配からわかる。


 そして、交渉が終わったのか、お互い握手を交わしそこから去っていく。


 さすがに一回目で噂の連中に会えるわけない・・・と、そう思ったときだった。


 ガシャン!!!!!


「スラムンジャーここに爆誕!!」


 ド派手な爆発音と、ガラスの砕け散る音と共に、それは姿を顕した。


スラムでの情報収集・・・脅して聞き出さないのがサテラさんらしいですね。そして久しぶりの女の子サテラさんがチラッと垣間見えています。

ミリエラさんの成分が少ない・・・次に補給するかもしれません。


何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。

(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)


感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になりますので気軽にどうぞ!!


※活動報告がどうやったら見れるのかわからなかったと読者様から聞き及びました。

方法は一番上にある?「作者:砂漠谷」の名前を押していただくと、私は左上に出てきました。


わからないことがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので質問送ってください!!

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