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王都:モミジ珍道中でした!

モミジちゃんで進めるのが難しかったので、サテラ視点で締め括っています!!

次話投稿は一週間以内です!

 ジッと扉の前で座り続ける。

 主がいつ帰ってくるのかわからないから、こうして大人しく待っている。

 大人しくしていると、主はいつもご褒美に頭を撫でてくれる。


 でも、主が帰ってくる気配はない。


 シュンとしていると、いつもは元気なしっぽがペタンと床に張り付いてしまっている。

 皆の頼れるお姉さんの私が、こんな調子じゃダメっていうのは分かっているんだけど・・・。

 扉をジッと見つめてため息を吐く。


 こうなったのも全部主のせいなの!!

 私達に秘密でこっそりと部屋を抜け出して、人間の住まう場所へ行ったきり、戻ってこない。


 森にいた時からずっと人間の世界に憧れていたご主人は、きっと遊びにいっているとは思う。・・・私達も連れて行って欲しかった。

 主の事だから、人間程度に遅れを取ることは絶対に無いし、ダンジョンの魔物程度に負けることもないから心配はしてない。

 けど、寂しい。


 狭い部屋の中で毛繕いしたり、寝てみたりとしていたが、さすがに飽きてきてしまった。

 それに人間が身近にいて落ち着かないし、自由に動き回れないから窮屈だし・・・落ち着かない。


 主が一緒にいればどこでも楽しい。

 いっつも頭を撫でてくれるし、お腹をモフモフしてくれるし、主が寝ている時に、上に覆い被さるのが一番気持ちいい。

 でも、その主がいない今、私達は狭い部屋の中で待っていることしか出来ない。


「なぁ、俺らだけで主を探さねぇか?」

「むぅ・・・」

「ダメ! サテラさんに言われたでしょ!!」


 ナーヴィとハルウはずっとこのやり取りを行っている。

 正直皆で主を探しに行きたい。

 だけど、主からはサテラの命令を聞くように言われていて・・・そのサテラの命令は、「ここで待ってて」だった。


 そう言われてしまえば、私はどうすることもできないし、今まで通り大人しく、ここで待っているしかない・・・。


 許可されているのは、宿で食べ物をもらってくるだけ。


 サテラとミリエラはダンジョンに行っていて、今ここにいるのは私とハルウとナーヴィ。

 なんだか落ち込んだ様子のサテラは、急にダンジョンに行くと言い出して、ミリエラはそれが心配でついていった。

 私も心配だったけど、「お姉ちゃんだから賢くお留守番してくれるよね?」って言われれば仕方ない。


 それで、帰りが遅くなった時の為にと、数枚の銅貨を貰っていて、これを宿の人に渡すだけで食べ物が貰えるらしい。

 私はお姉ちゃんだからできるに決まっている。


 でも、やっぱり人間って良く分からない。狩りに行って食べ物を手にいれればいいのに、こんな良く分からないモノを渡すだけで、食べ物を貰えるなんて。


 そんなことを考えながら、部屋の窓から外を見てみれば、既に陽の光は頭の上まで昇っている。

 私達に食事の時間等は決められていない。けれど、主はいつも「朝、昼、晩に食べるのがいい」と言っていた。


 太陽が少し登った頃、太陽が頭上に来た頃、太陽が沈んで辺りが真っ暗になってからだそうだ。

 規則正しい食生活を送ることで、健全な身体を保つことができる。って皆に言い聞かせていた。


「それじゃあ、ご飯取ってくるよ!」

「あぁ、任せる」


 部屋を出て、銅貨のチェックをして階段を下りる。

 すると、丁度人間もご飯の時間なのか、かなりの数がやって来ている。

 ここは一階が食堂になっていて、この時間は昼食を求める人で賑わい、夜は酒場として冒険者達で賑わいを見せる。


 注文を取っては厨房へと走り、食事を取ってきては注文をと、従業員は(せわ)しなく走り回っている。


 私は人の群れをヒラリヒラリと(かわ)しながら、カウンターへと進む。

 そこには宿の受付をしている人が立っていて、サテラに聞いた限りだとこの人に銅貨を渡せばいいはず。


「ご飯ください!!」


 そう言って、サテラから貰った銅貨をじゃらじゃらとカウンターの上へ置く。

 しかし、カウンターに立った人間は、困った顔をして私に告げる。


「あぁ、ごめんよ嬢ちゃん。今は客が多くてなぁ・・・ちょいとばかし時間が掛かっちまうな」

「ふーん。どれくらいかかっちゃうの?」

「うーん陽がもう少し落ちるくらいだな」


 かなり時間が掛かってしまうみたい。

 そういえば、食べている人は多いけれど、食べ物を運んでいる人が少ない。来る前にちらっと見えたけれど、後ろでも何人かの人間がバタバタと動き回っている。

 首を傾げていると、カウンターの人が大きく溜め息を吐いて、頬杖をつく。


「今日はたまたま従業員が少なくてなぁ。こっちも手が足りなくて困ってんだよ」

「・・・」


 困っているという言葉に、耳がピクッと反応する。

 主が私達をここにつれてくる前、言っていたことを思い出した。「誰かが困っていいるのを見つけたら、助けてやってくれ。お姉ちゃんだからできるよね?」と。


 どうしよう。今までシロタエちゃんやルリちゃん達を助けてあげたことはあるけど、人間と接したことはあまりない。

 主に連れられて、一度カナン?と呼ばれる人の縄張りに行ったことはあるけど、殆ど接したことはない。


 あまり関わり合いたくはないけれど・・・でも、お姉ちゃんとしてやってあげなくちゃいけないんだよね。


「なら・・・」

「ん?」


 私は人間に口を開いた。



 -------------------------------------------------・・・



 薄暗いダンジョンの中、階段を上がる靴音が周りの岩壁に反響し、カツンカツンと耳に心地の良い音を届けてくれる。

 永遠に続くと思われるその階段から、暖かな陽の光が差し込み私達を迎えてくれる。


 何も考えずに剣を振り回し続けたお陰か、幾分か気分が晴れている。

 ちょっとしたハプニングはあったものの、充分に体も動かせたし、なまった分は取り返せただろう。


 鍛錬は欠かさずやってきたつもりだったけれど、やっぱり実戦と鍛錬では得るものが違ってくる。

 若干剣の振り方にも劣りが見えていたし、それも今回で修正できた。


 最近はユガやハルウ君のおかげで、真剣に戦闘をすることが少なくなっていたから、ちょうど良かった。

 ・・・家の問題はどうにもできなくなってしまったが、今は仕方ない。


 後ろからトテトテと付いてくるミリエラは、魔力をかなり消耗しているのか顔色が悪い。

 陽は既に傾きかけていて、陽が昇った頃にダンジョンに潜った私達は、かなりの時間ダンジョンにいたようだ。


 ダンジョンにいると、時間が経つのが本当に早い。

 一戦一戦がかなりの時間を要するのだけど、魔物との戦闘で気を張っている為なのか、一瞬で過ぎてしまう。

 低階層でかなりの時間魔物を倒していて、人が多くなってきたから帰ることにしたのだけど、予想以上に時間が経ってしまっていた。


「ふぅ・・・ごめんね、ミリエラ。付き合わせちゃって」

「うぅん、いいよ。怖かったけど、サテラがしっかりと守ってくれたし・・・あ、勿論精霊さんもありがとう」


 ミリエラの肩の上で、うつらうつらとしている精霊の頭を撫でながら、ミリエラは笑いながらそう告げる。


 私のせいで巻き込んでしまったミリエラは、ケガを負うこともなく無事にダンジョンから出ることができた。

 近づく魔物は私が何とかしたし、私が逃したとしても精霊が、ミリエラに寄せ付けない。


 モンスターハウスに巻き込まれた冒険者を助けた時に、ミリエラが先陣を切って部屋の中に飛び込んだのに一瞬ヒヤッとしたが、改めて魔法の原点「精霊魔法」の強さを実感することができた。

 行使している当の本人は、そんな実感がない・・・もとい、目を瞑っているせいで見る事がない為、知ることができない。


 モンスターハウスから立ち去った後、安全な場所でミリエラにお説教して、再びダンジョンで探索していた。


 ダンジョンであった事を話しながら、王都へと戻ってくる。

 城門を潜り、日が傾きかけてはいるとは言えまだまだ熱気が冷めやらない王都の街並みを歩き、私達が取っている宿へと戻っていた




 そう。戻っていたのだ。


「サテラ・・・えっと、私達がとってた宿ってここだったよね?」

「えぇ・・・。一体何が起こっているの?」


 宿の前には人だかりができ、私達は宿の中に一歩も入ることができないでいた。

 宿の前にできたこの大勢の人だかりは、宿の中へと視線を向けており、前の方にいる人の視線からは何か楽しんでいる感じがする。


 何事かと目を丸くしていると、宿の中からカウンターに立っていた人がこちらを見つけて走り寄ってくる。


 走り寄るその人の顔は、嬉々とした表情を浮かべていて、かなり機嫌のいい様子だった。

 しかし、私の心には一抹の不安が訪れていた。


 ・・・何故、私の姿を見つけてそんなに嬉々とした表情を浮かべているのか、そしてどうして私の方に走り寄ってくるのか。


 そして、その不安は現実のものとなってしまった。


「あんた上の部屋使ってるサテラさんだろ? いやぁ、昼時からあんたの所の仲間には世話になってるよ」

「・・・はぁ」

「お陰で休まる暇はねぇが、店は物凄く繁盛してるぜ。あんたには特別に裏口から入らせてやるよ」


 予想通りというか、期待を裏切らないというか・・・やはり、この人の数はハルウ達が関係しているのだろう。


 カウンターに立っていた人・・・宿の主人に連れられ、裏口から宿へと入る。

 裏口から厨房へと続く木の床が上げるキシキシという軋みを上げる。そして、その先の食堂となっている場所へと歩みを進める。


 食堂はこの時間帯はまだ酒場になっておらず、人の声などもあまり聞こえては来ない筈なのだけど、何故だか人の歓声が聞こえてくる。


 食堂へと出る。

 するとそこには・・・


 即席で作られたであろう囲いの中で、ハルウ・ナーヴィ・モミジの三名が立っている。

 そして、その囲いの中で人間の大男が樽を担ぎ上げ、その中の物を一気に飲み干している。


 しかし、モミジはその樽よりも大きな樽に入っている何かを一気に煽り、ケロっとした表情で全て飲み切った。

 そして大男はまたそれよりも大きな樽を担ぎ上げようとしたが、樽が担がれることはなく、大男はフラフラと後ろによろめきバタンと倒れ伏す。


 口から泡を吹き出して気絶する男に従業員が駆け寄り、大男の懐から通貨の詰まった袋を抜き出すと、ハルウとナーヴィの間に置かれた木の机の上にドンと置く。


「すげえぇぇぇ!! ここいらで一番の酒豪を倒したぞ!!!」

「嬢ちゃんもっとだ! 金なら出すぞ、もっとやれぇぇぇ!!」

「次は俺だ! 俺と勝負しろぉ!!」


 そして観客からは一層強い歓声が溢れ出し、周りから銅貨が投げ込まれる。

 それまた従業員が回収し、私がモミジに貸していた通貨が入った袋に入れる・・・よく見てみればその袋は今にもはち切れんばかりに膨れ上がっていて、私がここを出て行った時よりも数倍に膨れ上がっている。


「・・・これは一体どういうこと?」

「いやぁ何、最初にあの嬢ちゃんから店を手伝うって言われてよ。初めの方は他の従業員と同じように配膳やら掃除やらを任せていたんだが・・・。冒険者同士で喧嘩が起きてな、それを諌める為に嬢ちゃんが出張ったら、上からあいつらが降りてきてよ、なんやかんやあってこうなった」


 初めはしっかりとまじめに手伝っていたらしい。

 私が教えた人間の常識をしっかりと覚えていたようで、それもしっかりと守った上で手伝っていた・・・が


 客として来ていた冒険者が、どちらがダンジョンで多く手柄を上げたかで口論となり、それを従業員が止めに入ったがどうにもならず、客足が遠退いた。

 それをモミジが止めようと入ったのがそもそもの原因らしい。


 モミジは昼食を取りに食堂に来たらしいが、お客が多くてもらえなかった。

 だから自分から手伝って早く昼食を貰おうと思ったのだろう・・・そして、そんな中で揉め事が起きた。


 客から聞いた話では、モミジは「あ、貴方達が騒ぐとご飯が貰えなくなる!」といったらしい。

 それに対して冒険者から「お前みたいな奴は、ちょっとしか食えねぇ癖して何言ってやがる」と返したらしい。


 それにモミジの堪忍袋の緒が切れてしまったらしく・・・売り言葉に買い言葉。

 冒険者とケンカになりかけたが、それをモミジはなんとか回避したらしい・・・そして、「あなたよりは食べれるわ。ひ弱な体で私に勝てるわけがないわ!!」といったらしい。


 そして第一回「食べ比べ」が行われたらしい。

 勿論モミジが勝ち、冒険者は悔しげに金を叩きつけて逃げたらしい。


 ここで事態が収束・・・するかと思われたが、その一部始終を見ていた観客、もとい客が盛り上がってしまった。

 そこに間が悪く登場したのが、ナーヴィとハルウ・・・。


 客はモミジとナーヴィ・ハルウの誰が一番大食いかを聞いたらしい。

 そこでモミジは二人よりは食べれないと引き下がったが・・・ナーヴィとハルウは自分だと譲らない。


 ここで客から食べ比べてはどうだと囃したてられ、第二回「食べ比べ」が行われた。

 二人は店の料理を片っ端から胃袋に詰め込んでいき、あれよあれよという間に、店の品物を全て食べ尽くしてしまったらしい。


 しかし、その食べている間に、騒ぎを聞きつけた観客が集まり、一種の催し物となってしまった。

 二人が食べた食事代は、客から投げ込まれたお金で賄える・・・それどころかプラスになって帰ってきてしまった。


 そこに目をつけた主人は、ちょうど在庫が大量にあったらしく、「次は酒の飲み比べではどうだ?」と言ったらしい。

 すると、観客の一人が酒には自信があると、二人に戦いを挑んだ・・・勿論二人は圧勝した。

 その時にはかなりの金が店に舞い込んでおり、これならと店の主人は「飲み比べで三人の内誰か一人に勝てたら、この溜まった金の半分をやる」と言い出したらしい。


 そこから、第三回「お客参加の飲み比べ」が行われる事となった。

 初めはナーヴィとハルウに飲み比べを挑んでいた客達は勝てないと悟るや否や、モミジに飲み比べを挑んだ。


 結果はごらんの有様だ。


 ハルウ達は全員、人間を寄せ付けない酒豪だったのだ。

 モミジはほんのりと顔を赤らめさせながらも、人の挑戦を受け続けている。飲んだ酒は負けたほうが、相手の方の酒代も負担するというものらしい。


 店の主人は喜々として私にそう伝える。


 私は頭痛のする頭を抱えて、恨み言を店の主人に行ってやろうかと考える。

 けれど、元はといえば言い出したのはモミジだし、店の主人には何も言えない。

 それに、三人・・・三匹も他の人に迷惑をかけているわけでもなく、どちらかといえば役に立って賞賛されている方なので説教もできない。


 魔族だということも今の所はバレていない・・・いや、店の主人の顔色を伺えばうっすらと、バレていることがわかる。

 しかし、店の主人は上機嫌で、魔族に偏見がないことが見て取れる・・・よかった。


「・・・ど、どうするの?」


 ミリエラが笑いを堪えながら私の顔を覗き込んでくる。

 笑い事じゃないんだけど・・・。


 チラッと三匹の方を見てみると、三匹も結構まんざらじゃなさそうな顔をしている。


 ふぅ・・・と一度溜め息を吐いて、自体を収集しようと三匹の下へと歩いていく・・・そう、いつもならだ。

 ここで、少し考えてみる。


 周りを見渡せば大勢の観客で賑わい、時間も時間なのでチラホラと酒の入った客も伺える。

 全員がいつもとは違う熱気に包まれ、催し物特有の浮かれた状況に発展している。

 この騒ぎはまだ収集がつきそうにないし、私が出て行った所で白けさせるのも少しはばかられる。


「・・・これは、利用できるかもね」

「え?」


 私は騒ぎの中に紛れる様に、客の中へと歩いて行った。

次回はサテラさん視点、王都の闇に触れていきます。


裏話一:実はモミジちゃん相当酔っ払っています。

裏話ニ:実はサテラさんは酒癖がわる・・・おっとやめておきます。


何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。

(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)


感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になりますので気軽にどうぞ!!


※活動報告がどうやったら見れるのかわからなかったと読者様から聞き及びました。

方法は一番上にある?「作者:砂漠谷」の名前を押していただくと、私は左上に出てきました。


わからないことがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので質問送ってください!!

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