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幕間:ハンゾー②でした!

前回に続いて、忍者スパイダーハンゾーのお話です。

誤字・脱字がございましたら報告お願い致します。

次話投稿は一週間以内です!

 ギリギリという締め上げる音が空中へと消え失せては生み出され、掴まれた手から逃れようとジタバタともがく化物の二人。


 自分は夢でも見ているのだろうか。

 きっとそうに違いない。でなければ、あの化物の内の二人が、小柄な魔物・・・魔族に頭部を鷲掴みにされて悶えるなんて事は有り得ないからだ。


「ふむふむ。で、あの蜘蛛達を里に置いてるのか・・・うーん、まぁそういうことなら仕方ないか」

「そう・・・です。しゅ・・・くん。頭が・・・頭が・・・」

「もう・・・限界だ・・・」


 二人は頭からミシミシと軋みを上げながらも、俺たち大蜘蛛が何故ここにいるのかを主に報告していた。

 それ以外は許されないと、思ったのだろう。


 手から解放された二人はけれども地面にぐったりと横たわってしまった。

 あの化け物をここまで簡単に・・・。


 噂には聞いていた。

「主」はこの森に住む全ての魔物が襲い掛かったとしても勝てない。九柱であっても、四狼であってもそれは変わらない・・・と。

 冗談だと受け取っていたが、これを見せられれば信じるしかないだろう。


「あぁー、えっと北の森から来たんだよね?」

「ハ、ハイ」

「別に畏まらなくてもいいんだけど・・・」

「ト、トンデモゴザイマセン」


 畏まらない事など出来るわけないではないか。

 今しがた目の前で、化物が赤子の手を捻るように簡単に倒された所を見せられ、どうして畏まらずにいれると思ったのか?


 この森は北に生息する魔物は強い。自分でも何故かは知らないがそうなっていたはずだ・・・だというのに、南・・・東西南部を牛耳っているのはこの見た目人間の魔族である。


 一体どうしてこうなったかは知る由もないが、こうなってしまっては俺にはどうすることもできない。


「事情は大体聞いたよ・・・まぁ、大変だったな」

「・・・」


 本当に目の前の魔族はこの森の主なのか?

 あいつらは、俺の話を聞いた時は殺気を丸出しにして、殺すか利用して生かすかを考えるばかりだったというのに。


 この男と言えば、大変だった・・・と。

 この魔族が一体何を考えているのかわからない。


「えっと・・・一応ここの配下になるってことでいいんだよね?」

「ハイ」

「そっか・・・んじゃ名前つけなきゃいけないのか・・・忍蜘蛛かぁ、うーん」


 それっきり主は何かを考え込むようにして、黙り込んでしまった。


「・・・ユガってほんとすごいんだね」

「・・・カナンに帰り次第、この森の進入禁止令を発布します」

「私もカルウェイに帰ったら父さんに言うわよ」


 今俺達は馬車の後ろを付いていっているが、「主」について来ている人間達はマトモなようだ。

 主についてきた人間がどのような者達なのかと危惧したが、普通の人間であるらしく、九柱や四狼達のような規格外ではなかった。


 ・・・だからこそ、一体何を目的としているのかがわからないのだが。

 魔族である主が、人間をこの魔窟に・・・里に呼び寄せる理由がわからない。


 魔族・・・は別としても、魔物にとっては他の種族、部族、ましてや人間なんて敵なはず・・・まぁ、エルフと交友を持っている時点で異例なのだが。


 そうこうしている内に、里の前へと到着する。


 何時もの里の風景、周りを見渡せば鬼や浪武犬、エルフ達が行き交う里。


 しかし、その里にいた者達全てが、突如としてこちらに視線を向ける。

 運んでいたものをその場に置き、稽古の手を止め、家事をしていたエルフ達も、外に出て遊んでいた子供のエルフ達も、あの九柱達も、四狼達も・・・全てが血相を変えてこちらへと走り出す。


 全てが跪き、エルフ、鬼、浪武犬が綺麗に列をなし、主へと頭を垂れる。

 それらの前に並ぶ九柱の面々、そして更にその前に立つ四狼達・・・主の傍に控えていた「強そうな女二人」はそれぞれ九柱と四狼であったことが初めてわかった。


「お帰りなさいませ、アルジ」

「お帰りなさいませ主人」

「お帰りなさいませ主君」

「「「お帰りなさいませユガ様」」」


 全員が各々の返事を返す。

 それに対して等の「主」は頬をポリポリと掻いている・・・困っている?


「あぁ、うん。ただいま、こんな集まってくれなくてもいいんだけど」

「当然の事なのです」


 そう言って、跪いていた一人が立ち上がり一礼する。

 シロタエ様だ。


「我らが主に礼儀を尽くすのは当然の義務でございます」

「あぁ・・・ソウデスカ」


 誇らしそうに胸を張るシロタエ様だが、主はどこか気落ちしたような顔でカクカクと首を下に振っている。

 どこかこの主には覇気がないのだが・・・それでも、それでもあの時に叩きつけられた殺気からは主の覇気が感じられた。

 今のこの主様からは何も感じられない・・・しかし、それもまた未知の恐怖を煽るのだが。


「んじゃ状況報告」


 シロタエ様は淡々とこの里にて行ったことを主へと告げる。

 俺達がこの里に来た時よりも過去の事を・・・報告していく。


 聞いていれば、この里では「開拓」なるものが行われていたらしい。

 エルフと魔物達の共存を試験的に行い問題などを発見し、お互いに気になるところを改善することを目的としていたらしい。

 そして九柱を使って行っていた雑用は・・・人間との共存に際しての準備であったらしい。


 知らなかったこの里の存在意義を知った後で、ついにやってきてしまった。

 そう。俺達大蜘蛛の襲撃だ。


 俺が指示していなかったとは言え、元はその襲撃に加わっていたのだ・・・言い逃れはできないであろう。

 そしてシロタエ様が襲撃の内容を語り終えた後、その主がくるりとこちらを振り向いた。


「うん。で、後ろの大蜘蛛達は何?」


 主は既に聞いたことをもう一度シロタエ様に聞き返す。


 それにシロタエ様は謝罪の言葉を述べる。

 主は怒ってはいなさそうだったが、一度大きく息を吐く。


「まぁいいよ。許す。今まで問題なく里で頑張って働いてくれてたんでしょ?ならいいよ」

「寛大な心に感謝致します」

「大蜘蛛達は以後、正式にコクヨウとショウゲツ達に管理を一任する」


 シロタエ様は再び一礼し、礼を述べる。


「アルジ・・・アリガトウゴザイマス」


 勿論俺達も礼を述べる。

 部下達も一斉に頭を下げ、忠誠の意を誓う。


 流石にもう逆らおうという意思もない。

 目の前に存在するこの男・・・アルジには逆らえそうにない。


「さて、まぁこの里に戻ってきたわけだが、問題が起こった」


 アルジから語られた内容は簡単に言ってしまうと報復だ。旅先の人族の住処で不当な扱いを受け、更に親しくしていた者が虐げられた・・・だそうだ。


 それに対して、里の九柱・四狼を連れて人族の街へと赴くのだという。

 ・・・過剰戦力の様な気がして仕方がないのだが、実際に人族というものがどれほどの力を持っているのかは知らないし、妥当なのかもしれない。


「まぁ・・・なんつーか、正直許せなくてな。お前らの力を借りたい」


 その場にいた全員の雰囲気が変わる。

 剣が立てる硬質な音、拳を打ち鳴らす鈍い音、剣呑な空気が辺りを埋め尽くし、大気の軋む音が耳に届く。


 九柱は不敵な笑みを浮かべ、四狼はその鋭い眼差しをアルジへと向ける。


 エルフ達は心配そうな顔を向け、それでもアルジに反論を述べることなく、耳を澄ましている。

 そんなエルフ達の表情にアルジも気付いたようで、頬を掻いて言葉を続ける。


「準備を始めてくれ。すまないが余り多くの人員は連れていけない。今回はコクヨウ、ショウゲツ達を連れて行く。ハルウ達はこの里を守ってくれ」


 その言葉に直ぐ様、九柱と四狼達は頭を下げる。

 浪武犬や鬼達はあからさまにガッカリしていたが、エルフ達は少し安心したような顔を見せる。


「それと・・・もう一つ」


 アルジがまた言葉を続ける。

 全員がアルジの言葉に傾聴する中、アルジは告げた。


「ハルウ、コクヨウ、ショウゲツ達は川辺に来てくれ。ちょっと実験したいことがある。んじゃ解散」


 エルフ達は直ぐ様その場を立ち去り、鬼や浪武犬達はアルジの下へと詰めかけている。

 九柱と四狼はいつの間にか姿を消しており・・・恐らくアルジが告げた場所へと向かっているのだろう。


「あとハンゾーにも付いてきてもらう予定だから」

「ギョイニ」

「それと・・・あぁ、まぁ、今回は見学でいっか・・・」

「ケンガク?」


 見学とは何であろう?

 問いかけようとしたが、アルジは既に他の配下達と話をしていて、問いかけられる雰囲気ではない。


 配下達の目には明らかに尊敬の色が宿っており、エルフ達がアルジに向ける視線にも好意的であった。

 ここにいる全ての者の心をアルジは握っている。恐怖で統べる様な事はせず、信頼の元に・・・いや、忠誠の元に成り立っているといえよう。


 そして俺達はアルジの後へとついて行った。






 そして、後悔した。


 目の前に広がる荒唐無稽な光景が広がっていた。

 傍に控えていた部下達は怯え、震え上がり、人族の女二人は口を開けたまま閉じようとしない。


 こんな非現実的な光景を見せられたのなら、そんな滑稽な姿を晒してしまうのも無理はない。

 言葉を無くし、唯その場を見続けることしかできないでいるのだ。


 背後からはいつの間にやら敷物を引いたり、酒を持ったりして、食料を広げたりして、目の前の光景を肴に宴会を開いている。


 そして、その横ではエルフの女と人族の女が・・・それをため息混じりで見つめている。


「この身体って便利だなぁ。ある程度のものなら何にでもなれるんだよなぁ」


 悪魔が告げる。


「硬度とかも変えれるし、大きさも自在に変えれる・・・質量保存の法則なんてこの世界にはないのかな?」


 そう言って、目を瞑りながらも手を止めようとはしない。

 既に幾匹もの屍を地に晒しているというのに、この悪魔は何の感情も浮かんでいないようだ。


「グアッ!!!」

「ソウカイ殿!!」

「お、抑えきれないよ」

「む、むりだよぉ、たすけてぇ・・・あっ!!」


 もはや真面に戦えている者はいないといってもいい。

 眼前に立つ悪魔へと九柱・・・一匹で我々多くもの大軍勢を吹き飛ばす程の力を持った者達を事も無げに吹き散らす。


「うーん。やっぱり、レベルが上がると純粋に強くなるんだなぁ。AGLが上がると相手の速度が遅く見える・・・と」


 そう言うやいなや、突如として悪魔の姿が掻き消える。

 それに一番近くにいて攻撃を加えようとしていたショウゲツが上空へと打ち上げられる。


「攻撃(STR)と防御(VIT)は言うまでもないか・・・でも不思議だなぁ。差がついていると皮膚が刃物を弾くこともあるなんて・・・さすが異世界」


 何やら呟きながらコクヨウの振るう剣を盾で受け止め、受け流し、お返しとばかりに攻撃を加える。

 それを懸命に防御しているが・・・遂に防御を掻い潜って、アルジの一撃がコクヨウの鳩尾を捉え、ショウゲツと同様に宙を舞った。


「シロタエ、行ける!?」

「任せて、力を纏え我が『妖纏』、焼き尽くせ『鬼火』」


 シロタエの頭上に巨大な炎塊が現れ、それがアルジへと放たれる。

 かなりの速さで迫り来るそれに、アルジは避けようともせず、指を一本だけその炎塊へと突きつける。


「風よ吹き荒れろ『ウィルラ』」


 アルジがそう告げると同時、凄まじい突風が炎塊へと襲い掛かり、その威力を削ぎ落としていく。


「やっぱ水よりは威力劣るよなぁ。ディーレさんがいるから当然か」


 威力を落とされたといえ、未だ炎塊はアルジへと向かっている。

 しかし、アルジの頭上には、先程の炎塊を超える大きさを持った水塊が浮かんでいる。


「水の心得」


 その水塊は炎塊を飲み込み、シロタエへと突き進んでいく。それを避けようと横に飛んだが・・・それも無意味だった。

 突如として水塊が破裂し、辺りへと針が弾丸の如く飛び散らした。


「うッ!?」

「シロタエ!!」


 直ぐ様コトヒラが駆け寄り、その剣を持ってシロタエが負った傷を回復させる。

 しかし、それが命取りだった・・・アルジはもう一つ水塊を作り、コトヒラとシロタエへと放っていたのだ。


「しま・・・!!」

「油断するな」


 パァン!!という小気味の良い音を立て、水塊を爆散させた者が頭上から現れた。

 四狼のハルウ・・・様だ。

 ハルウ様は油断なくアルジの眼を覗き込み、一挙手一投足に注意を払っている。


「アルジは我らよりも格段に強い。今までの雑魚と一緒に考えるな。行動に注意しろ」

「コトヒラが倒れたら回復できる子がいなくて私達戦えなくなっちゃうんですよ!」


 四狼のハルウ様とモミジ様が二人を庇うように、前へと立つ。


 この虐殺の場において、四狼だけが唯一アルジとまともにやりあっていると言える。それでも、アルジに一撃たりとも有効打を当てられてはいないのだが・・・。


「水は好きなように変形できるのか・・・発動した後も操作できるけど、威力は落ちるのか・・・うん、わかった」

「今!!」


 ヨウキの手から腕にかけて爆発的な光が漏れ出る。

 あれは・・・俺たちの吹き飛ばしたあの技だ!


「打ち砕け、鬼の拳『天破』!!」


 耳をつんざく破砕音が、森の凡ゆる恵みをかき消していく。地面は陥没し、石の礫があちこちへと飛散する。

 大地を振動させる一撃は、広大な川に波紋を生み出し、泳いでいた魚達を空中へと吹き飛ばす。

 大地は広範囲に渡って罅割れ、罅割れた大地の隙間から悲鳴とも思われる地鳴りが響き渡る。

 暴風が荒れ狂い、巻き上げられた粉塵が、未だ落ちることなく辺りを漂う中、技を放った本人は笑みを顔に浮かべた。


「痛ってぇ。でも、まだまだ」


 信じられない。

 あの一撃を真面に食らったというのに、アルジは腕をクロスさせ、その攻撃を防ぐことに成功している。


 しかし・・・その身は金色に輝き

 金色の尾がアルジの背後でユラユラと陽炎のように揺れ動いている


 開かれた瞳は縦に割れ、金の眼の視線に射殺されるようにして、ヨウキは硬直した。


「うそぉ・・・フエッ!!」


 そのまま、アルジに投げ飛ばされ、大地をゴロゴロと転がっていった。


 穴から姿を現したアルジに、四狼達が飛び掛かる。


「いつまでもアルジに助けてもらってばかりの俺達ではない」

「俺達だって、アルジに勝てるんだ」

「わ、私だって強いんですよ!!」

「全力で行かせてもらうわ」


 四狼の・・・いや、天狼と呼ばれ恐れられている存在がアルジへと牙を剥く。

 人の姿から、獣の姿へと変わり、纏う空気が一瞬・・・ほんの一瞬、膨大に膨れ上がる。


 身体から立ち上る魔力の本流が四体の天狼を包み込む。

 それは見るものからすれば色鮮やかなパレード、それは見る者からすれば愕然とするであろう魔力の渦、それは見る者からすれば圧倒的な高みにある一撃。


 大凡誰にも到達し得ないであろうその魔力の本流を前にして、我らのアルジは堂々たる姿を晒す。

 まるで何も感じていないかの様に、成長する我が子を見守る親のように。


永き苦鳴の咆哮フォーリングハウル

蝕牙の通魂イート・ペイン

天風一陣ウィドル

無痛による慈悲の牙ペイルファング


 モミジ様の魔法は襲い掛かった天狼の身を包み込む。それと同時に、風の嘶きと共に天狼達の姿は消え失せる・・・いや、目にも映らぬ早さまで加速する。


 膨大な魔力がありとあらゆる物を穿ち、暴れ狂う。


 視認できるはずもない。

 目に映るのは事後の光景。


 魔力の残滓が空中を漂う唯の光景。

 天狼の放った技など見えるはずもなかった。

 余りにも歴然とした差がある・・・故に自分は今何が起こったのかがわからなかった。


 唯、一つ・・・一つ分かったことがある。


「ハルウ、ナーヴィ、モミジ、ユキ・・・ありがとな」


 天狼が地に沈み、アルジが勝利を勝ち取ったということである。


「それじゃ、ここまで。全員、付き合ってくれてありがとう。後は充分に休息を取ってくれ」


 誓った。

 俺「ハンゾー」は一生アルジの下僕であろうと。






 さて、それからというもの。

 俺達はせっせとアルジに仕えている。


 あの戦いを見た後に、俺達大蜘蛛はソウカイ殿やらショウゲツ殿、コクヨウ殿に訓練を受けさせてもらっている日々が続いている。

 それの成果あって、はれて「中忍蜘蛛?」というものになれた。配下達も次々と忍蜘蛛になるものが続出している。


 アルジは凄い。

 自分の種族である「忍蜘蛛」の特性を必死に調べていた時にサラッっと言ったのだ。


「あぁ・・・水の上走れたり、やたら壁を早く上れたり、気配消すのがうまくなったり、投擲武器が上手くなったりできないかな?忍術は・・・こう、なんか印って言っても分かんないよな?紋様みたいなの刻めばできるんじゃない?」


 そんな言葉を頂いて、実際試したところ・・・その通りであった。

 気配を上手く消しさることもできた。水の上を短時間歩けた。石を蹴ると上手く標的に当たったりすようになった。


 極めつけはニンジュツ?だろう。

 頭に浮かんだ紋様を前足でたどっていくと・・・小さな炎が飛んでいったのだ。


「おぉ・・・火遁の術」

「カトンノジュツ?」

「あ、いや、気にしないでくれ」


 アルジの言った言葉は全てあっていた。

 流石アルジだ・・・と思うようにしているが、内心もう諦めただけだ。アルジに常識というものが通用するとは思えない。


 因みに・・・「フゲン」とは仲が悪い。

 元々俺のことを毛嫌いしていたせいなのか、アルジの下僕となった今でも時折嫌味を言われ、その度に小競り合いを繰り返している。

 同じアルジに仕えているというのに、何かと張り合ってきては、こっちが負けていると見るに嘲り笑ってくる。

 その度に、小規模な言い争いに発展してはいるが・・・四狼様達の眼が光っているのもあって実力行使までは至っていない。


 アルジに呼ばれ、俺たちは人族の住む街「カナン」という場所へと趣いた。


 俺達が任されたのは、標的のいる場所へとも潜りこむこと。

 街に標的の残党などが残らないよう、標的のメンバーを徹底的に洗い出す事である。

 そして、出来うる限り街の住人に見られないようにしろとの御用達を受けた。人族の住む街に魔物がいる・・・それもギルド?なるものに関わりがあるというのは非常に漏れてはまずいらしかった。


 そこは俺達忍蜘蛛の特性で、どうとでもなった。

 後は、街にいる九柱・四狼達に情報を共有することである。


 それと余談ではあるが、人族である「ユリィタ」と「アンネ」という者とよく会話を交わすようになった。

 ・・・ここでアルジやあの森の非常識さを知って、愕然としたものだ。

 いい話相手ができてよかったのだが・・・妙なものだ。前まで人間や他の者達など唯の食料という認識だったはずなんだが・・・まぁ、いいか。


 カナンの街での仕事はすぐに終わりを迎え、俺達は一足先に帰還することとなった。

 アルジも、事が終わってすぐに帰ってきたのだが・・・人間を連れて帰ってきたのだ。


 アルジは「カイタク?」と言っていたが、この森では誰もが平和に暮らせる場所にしたいというのが目的だと言っていた。

 弱い者が食われ、強い者が生き残る・・・といった観念が全て根底から覆されてしまった。


 ユリィタから聞いた話では、俺達は「魔物」ではなく、どちらかというと「魔族」に分類されるそうだ。

 それも極めて異例らしい「魔物」からの昇華であるそうだ。

 正直あまり自覚がないが、意志を持ち、理性を働かせる魔物は、時として「魔族」や「神獣」とされるそうだ。


 アルジも、九柱も、四狼もその他の者達も軒並み魔族なのだとか・・・。

 魔族の国というものもあるそうだが、人間の住む国より遠く離れた場所にあるらしい・・・まぁ、俺達とは関係ないだろう。


 そんなこんなで、俺達が今している事といえば、里に物を運び込むこと・・・雑用である。

 初めは九柱が何をしているのか困惑したものだが・・・いざやってみると、しっくりきてしまう自分が居る。


 そんな里で、俺ハンゾーは静かに暮らしている。


「さて、皆。そろそろ北の森を制圧しに行こうと思うわ。主人が帰って来る前に、この森全てを主人が制する縄張りとするわよ」


 ・・・・・・・・・そんな里で、俺ハンゾーは波乱万丈な日々を過ごしている。

ハンゾーは苦労人・・・になる予定です。

次回は本編です。


何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。

(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)


感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になりますので気軽にどうぞ!!


※活動報告がどうやったら見れるのかわからなかったと読者様から聞き及びました。

方法は一番上にある?「作者:砂漠谷」の名前を押していただくと、私は左上に出てきました。


わからないこと・疑問に思った事がございましたら、どんな些細なことでも構いませんので質問送ってください!!

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