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王都:捕獲と別離でした!

本編です!!波乱の幕開け!?

誤字・脱字がございましたら報告お願い致します。

この作品を評価してくださった方有難うございます!

次話投稿は一週間以内です!


 うん。もう懲りたし、十分に注意を払っていたさ。

 調子に乗っていたつもりもないし、日々平穏に暮らしてきた・・・とは言わないが、最近は命の危険なんてものは感じ無いまでに至っている。


 正直に言ってしまえば、レベルも上がっているし、カナンの一件で自分は人族と比べてかなりの力量差があることを知っていたから、少しは油断なんてものをしてしまっていたかもしれない。


 ベヒーモスを軽く捻る事も出来たし、黒翼なんて組織を簡単に潰してしまえる程に自分は強いはずだ。


 そんな強いはずの俺は今、ひんやりとした床の上に寝っ転がされ、目隠しをされた挙句、鎖で雁字搦めにされて、更にその上から淡い光を放つ布で簀巻きにされている。


 布からは良い香りがして、高級品なのかな、なんて謎の冷静さを・・・いや、現実逃避してます。


 そして、そんな状態の俺を見下げてくる二人と・・・恐らくはその二人の向かい側にいるのだろう男が居る。

 目隠しをされてはいるがさすが周囲掌握ハイパーサーチ便利なものだ・・・こんな状況で何を考えているんだ俺は?


 何故、俺は、どうして、こうなった!!!!!






 時は遡る事、数時間前。


 俺達はこの王都シルヴェルキアに着いて、普通に宿を取ったわけである。


 少々汚い・・・風情のある宿を借りて、例の如くサテラは狼三匹を捕まえて人族についての指導を行っていた


 で、だ。

 正直俺は勉強することなどないし、ミリエラもサテラが傍にいなければ、まだ人族の街に繰り出すことはできない。

 しかし、サテラは狼三人を前に指導中であるから、ミリエラは自分の部屋に戻って編み物をしてくるとのことだ・・・さすがミリエラ、女子力の塊だな。


 因みに、当然の如く男と女で部屋は別れていて、最初モミジは何とかして俺たちの部屋に潜り込もうと企んでいたが、サテラとミリエラから無言の笑みを向けられて、断念していた・・・後で撫でてやろう。


 そうなると、俺は暇である。

 この世界にゲームなんてあるはずもなく、暇を潰すための嗜好品なんて貴族くらいしか持ってないだろう。

 と、溜息をついた時だった。


『ねぇ、私王都に興味があるの。一緒に行きましょう』

「うーん、大丈夫かなぁ?」

『貴方なら問題ないと思うけれど?』


 ディーレは王都に少々興味が沸いたらしく、色々見て回りたいらしい。

 カナンの街ではドタバタしていたし、ろくに観光も出来ていなかったからちょうどいいかも知れない。


 それに、ディーレと二人っきりになったこともなかったし、デート感覚で楽しめそうだ。


「デートみたいでいいね」

『・・・そうね』


 あれ?心なしか、声がちっちゃい気がするけど、どうしたんだろう?

 やっぱりカナンで無理させたかな?


『はぁ・・・貴方って凄いわ』


 ってなわけで、宿をこっそりと抜け出して現在王都の真っ只中である。


 さすが王都・・・カナンとは比べ物にならないくらいに賑やかだ。


 やはり王都と他の街との差は、この賑やかさだろう。

 露店の数も所狭しと並んでいて、数多の吟遊詩人達がそこかしこで美声を披露している。

 お祭りの屋台が並んでるみたいでなんだか懐かしい。


 多くの店はライバル達と競い合うように大声を張り上げ、これがいい、あれがいい、他の店とはここが違う、なんてことを道行く人に投げ掛けている。


 武器屋では、カナンではなかった質の高い剣が並び、カナンでは看板に掛けられている様な剣が店内に無造作に置かれ、看板には光り輝く剣が飾られている。

 よく見てみると白金貨2枚と書かれていて、クラっときた・・・200万円て・・・。


 でも騙されてはいけない・・・。

 俺の周囲掌握ハイパーサーチには色々な情報が出るのだ。

 よく調べれば、材料はカナンの街にあるものと変わらないものがあり、見た目だけを飾ってよく見せようとしている商品が並んでいる所が多々あるのだ。

 さすが商売人・・・せこい。


 そうしていると、目の前に行列ができていることに気づく。

 そして腹の虫を呼び起こす、良い匂いが流れていて知らず知らずの内に列へ参入してしまっていた。


『食いしん坊ね』

「ごめんなさい」


 列の先にあったのは小さな店だ。

 その店の中では、中年のおばさんが鉄板の上で何かを焼いている。そこから良い匂いが漂っているらしく十中八九食べ物だろう。


 この異世界には娯楽というものがない。遊びと言えば、子供がやるような英雄ごっこだとかしかなく、後は酒と賭博である。

 しかし、俺はこの異世界で新たな娯楽を見つけたのだ。

 それは「食い道楽」である。


 俺達が旅をしている目的は、この世界をできうる限り知ることで、人族に対してフレンドリーな魔物・魔族になることなのだ。


 その上で、色々な都市を回っていくことになる。

 食を知るということは文化を知ることもでき、食を通して、人との付き合いもできる。


 ・・・というのを建前に、飲み食いを楽しんでいる。

 味は前世とあまり変わらないものが多いのだが、何せ見た目が全く違う。

 中でもカナンで食べた物で、ある肉料理を食べたのだが・・・魚の味がした。肉なのに魚の味がしたのだ。


 そんな変わったものがこの異世界にはうじゃうじゃとあるのだ。


 で、このお店では何が売られているのか・・・。


『モルシ焼きって書いてるわね』

「モルシ焼き?」


 列が進んでいき、漸く自分の番がやってきた。店の前にたっている看板にはモルシ焼きと書かれているらしい。


 鉄板の上を覗けるようになったので、どんな食材が乗っているのかを見てみる。


 鉄板の上では白くて長い物が犇めき合っていて、その中には少しだけ肉が伺える。


 やがて白くて長い食べ物がきつね色に焼き上がると、おばちゃんは上から塩を振りかける。

 そうして出来上がったのか、皿の上に盛り始める・・・が、量が少ない?


 鉄板の上に犇めいている白くて長いものが、皿の上に10本程しか乗っていない。


 それを不思議そうに見ていると


「あんた王都は初めてかい?」

「え、あ、はい」

「さっきからこれを不思議そうにみてたもんね」


 ばれてたか。

 おれは都会を珍しそうに見渡す珍しそうに見渡すおのぼりさんになっていたようだ。


「これは王都の名物のモルシっていってね。よーくみているといいさ」


 そう言われたので見ていると、おばさんが小さな鉄板を取り出した。

 トングの様な物で掴んでいるそれを、皿の上にあるモルシに当てる。


 すると、ポンッという音が立て続けになり、おばちゃんが鉄板をはずすと、そこにはまるでポップコーンのようなものが皿いっぱいに広がっていた。


 おぉ、これが王都の名物か・・・。

 見た目はポップコーンに近いが、どこか違う。

 まぁ、食べてみればわかるだろう。


 店から少し離れた場所で、食べてみる事にした。


 じっくり観察した後スプーンを持って、一口食べてみると・・・シャキッという音がなる。


「んえ!?」

『どうしたの?』

「思ってた食感と違ってびっくりした」


 ポップコーンのようなフニフニとした食感ではなく・・・なんというか、水で締めたレタスの様な食感だ。

 味は、ほのかに甘い。どこかで食べたことのある様な味だ。


「あ、『かぼちゃ』か?」

『かぼちゃ?』


 そう。

 かぼちゃの味がする。流石に前世にあった甘くて美味しいかぼちゃ程ではないが、その味は確かにかぼちゃだ。甘みの少ないかぼちゃだな。


「これは美味い!」

『私にも一口ちょうだいね?』


 この異世界に甘味はほぼない。あるにはあるのだが、例によって貴族様が買うような値段である。


 しかし、これは甘い。

 この異世界に来て初めて、感動した。


 そして、これと一緒に肉を食べてみると・・・これまた美味い。

 肉とモルシの甘みが絶妙にマッチしている。


 前世ではこれくらい当然であったはずなのだが、なんだか感動してしまった。


 俺がバクバク食べていると、それを見た通り掛かりの人達が、喉をゴクリと鳴らすのがわかる。


 それを食べ終え、一時の幸福感に身を委ねていると、心地が良い音色が近くから流れてくる。

 どうやら吟遊詩人が唄い始めたようだ。


 静かな音色から始まった唄は、囚われの身となった王女を魔王から救いだす英雄のお話。

 ありがちではあるのだが、唄い手によって曲調やメロディー、視点が変わるのが面白い。


「こういうのもいいわね。人間は本当に面白いことを思い付くものね」

「人間は私欲やら娯楽が大好きだからなぁ」

「・・・たまに貴方がスライムだったことを忘れるわ」


 そんなこんなで妖精状態のディーレを肩に乗せ、二人で静かなメロディーで聴いていた。


 しかし、何やら妙な汗が一筋、額から垂れたのだ。

 今まで身体を支配していた優越感が一気に消え去り、冷たいものが一瞬走った。


 ディーレも何かしら感じるものがあったようで、二人して顔を見合わせる。


「後ろ?」

『そうね。後ろね』


 ディーレが直ぐ様俺の中に潜り込む。

 周囲掌握(ハイパーサーチ)起動して、王都の街中の情報を得る。

 数えるのもバカらしくなるほどの情報の中、目当てのものに意識を集中させる。


「魔法使い、レベルは42、女」

『あら、前にこっちを見ていた人間ね』

「明らかに雰囲気が違うよね?」

『えぇ』


 どうしようかと迷ったその時、頭の中に久々に聞く音が響く。


 “捕まりますか? YES/NO”


 ふぁ?

 捕まりますかってどう言う事?

 え、なんで捕まらなきゃならんのよ!?


 ここで『運命の選択』って、確実に「生」か「死」の両方でしょう!

 捕まったら殺されて、捕まんなかったら生き残りって・・・んな無茶な。


「逃げよう」

『どうしたの?』

「いや、まぁちょっとね」


 そう言って走り出す。

 周囲掌握に映る女は、尋常じゃない動きでこの王都の人混みの中を突き進んでくる。

 早い。多分動きに無駄がないのだろう。

 モミジやキクが得意とする動きに似ている。

 仲間の間を、距離や障害物をまるで感じさせない動きでこちらに接近してくるのだ。

 女はその動きをもって俺を翻弄してくる。


『間違いなく手練れね。後ろを見ているけれど、まるで人混みが乱れていない』

「結構不味いんじゃないの!?」


 だが、どうしてか後ろ髪を引かれる気がしてしかたがない。

 でも、あんな選択肢ならデスコースまっしぐらだろ!!


『あそこに脇道があるわ!』

「取り敢えずあそこに逃げ込むか」


 何故か妙案の様な気がして、脇道へと入り込む。

 王都にしてはこれまた妙に薄暗い道の様な気がするが、そんなことに構っていられない。


 やがてかなりの距離を走った頃、漸く回りの状況に目を向ける。

 流れていく景色の中には、煤で黒く染められた様な家・・・と呼んでいいのかあわからないような家屋が広がり、異世界に迷い混んだのではないかと錯覚させる・・・あ、迷い混んでるわ。


 そうして足を止めると、自分が一体何処へ迷い混んだのかがさっぱりわからないほどに、回りの景色は一変していたのだ。


 華やかで人がわんさかと溢れ返り、人々の笑い声や商売に躍起になる者がいた光景はそこにはない。

 通りに溢れていたはずの売り物もなく、露天で売られる食べ物の臭いもしない。


 あるのは()えた臭いが充満する暗い路地に、建物の・・・廃屋の影がおどろおどろしく映る。


 そして、人が現れる。

 ニヤニヤとした薄気味悪い笑みを浮かべた老夫がゆっくりとこちらに歩みを進める。


 だが、その老夫は突然顔色を変え、これまたゆっくりと後退りを始め、反転して慌てて逃げていった。


 一体なんだと、息を切らしている俺の身体を、廃屋とは違う影が覆ったことに気づいた瞬間、突然意識を奪われた。






 これがことの顛末である。


 終わった。

 俺の異世界ライフは唐突に終わりを迎えるのだ。

 ここで俺はHP0になって死んでしまうに違いない。


 去らば異世界・・・。


 等と考えていたのだが、一向にこの状況から進展しないのは何故だ。

 一体どうなってるの?


『あら、起きたの?』


 あ、おはよう。

 じゃなくて、一体何が起きてるのか説明してくれ!!


『そうね・・・貴方を襲ったのはそこの動く全身鎧さんね。多分、魔法が付与されたハンマーで殴られたみたいね』


 周囲掌握でなんとかわかるけど・・・。

 この図体がでっかいのが動く全身鎧?なのか。


 で、なんで俺はこんなことになってんの?


『よくわからないわ、ただ・・・』


 ただ?


『何か話し合っているわね』



 -------------------------------------------------・・・



 ふむぅ。

 これは一体どうしたものなのだろうか?


 目の前に簀巻きにされたすごくイヤーな感じがする何かが横たわっている。


 乏しい表情を浮かべて、こちらをジッと見つめている女と、全身を鎧に包んだ女がいる。


 二人はれっきとした私の子飼いであることに間違いはない。

 それも力量で言えば、子飼いの中で最も強い二人なのだ。


 このスラムで二人の存在を知らないものはおらず、命令一つでスラムが動くとさえ言われている程にここでは影響力が高い。


「ふむぅ。誰が連れて来いといったかねぇ」

「欲しかったから監視しろって言ったのでしょう」

「ふむ。そういうわけじゃなかったんだけどねぇ?」

「あの・・・ごめんなさい。私はてっきりあなたからの指示かと思って」


 ふむぅ。

 これは私のせいなのだろうか。

 彼女らをしっかりとコントロールできなかった私が悪いのだろうか・・・。


 私は確かに、接触は図れるか?と問うたが、連れて来いなどとは言ってないと思うだがね?

 あぁ、この子は最初から戦う気でいたのかねぇ?


 観察しろといったのはあくまで敵が得体の知れない魔族であったからなのと、組織をほぼ無傷で倒した要注意人物を監視しておこうと思ったわけなのだよ。


 それなのにこんなに手荒に扱って、もしもこの魔族が機嫌を損ね、スラムを破壊しつくしてしまったら・・・いや、この状態を見るにありえないのだろうか。

 いや、楽観視はできない。どうにかしてご機嫌を取らなければならない。


 ならどうすればいいか・・・この子達をまずは叱責する所から始めるとしようか。


「ふむぅ。あまり勝手なことをされては困るねぇ。魔族には自分の力をバーストする者もいるのだしねぇ。もしこのスラムに被害が」

「見えた」


 その言葉に、口を噤む。

 彼女の口から溢れた「見えた」の一言。


 これには黙らざるを得ない。


「またなの?」

「うん。見えた」


 彼女のその言葉に叱責の言葉も失せてしまった。


 彼女の一言でどうしてこうなってしまうのか。


 彼女の言う「見えた」は言うなれば勘の様なモノなのだ。

 しかし、その勘は当たるのだ・・・絶対ではないが当たるのだ。

 信憑性はないし外れることもあるが、何かが起こるのだ。それも、こちらの悪いことから良い事までもがだ。


 彼女の「見えた」のお陰で危機から回避したこともあったし、利益を得たこともあった。

 だからこそ無碍にはできない何かがあるのだ。


 さて・・・彼女の「見えた」は恐らくこの魔族に関してなのだろう。

 ・・・心象は最悪、街を魔の手から救った英雄がスラムの住民である私に気を許してくれると思えない。


「ふむぅ。詰んでる」

「イイモノが見えたような気がしました」

「ふむ。たまに外れるんじゃないかねぇ?」

「・・・」


 やってしまったものは仕方ないとして、さて、どうやって信頼を取り戻そうか・・・。

捕まっちゃった主人公・・・果たしてどうなるのでしょうか?

そして離ればなれになったサテラ達とは一体どうなるのでしょうか?


因みに幕間で早速ハンゾーファンができました。ハンゾーちょくちょく出していきたいなぁ・・・。

私もハンゾーお気に入りです。


何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。

(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)


感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になりますので気軽にどうぞ!!


※活動報告がどうやったら見れるのかわからなかったと読者様から聞き及びました。

方法は一番上にある?「作者:砂漠谷」の名前を押していただくと、私は左上に出てきました。


わからないことがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので質問送ってください!!

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