王都:道中と再び暗雲?でした!
新章『王都冒険編』開幕でございます!!
誤字・脱字がございましたら報告お願い致します。
次話投稿は一週間以内です!
ガラガラと馬車に揺られながら、王都への道をゆっくり進んでゆく。
今俺達一行が向かっているのは王都「シルヴェルキア」である。
シルヴェルキアは、人族が大半を支配する国の中でも一番豊かな国である。
兵力や武力と言ったものでは聖都や帝都に比べて落ちるが、資源の流通から交易、物・情報の豊富さはこの異世界でも随一であるそうだ。
王都を取り巻くようにダンジョンが複数あり、そこから取れる豊富な資源は、王都に少なくない国益を授けている。
多くの冒険者、様々な種族が入り乱れる王都は、繁栄の一途を辿り、王都が産み出す資源は周辺の国家にも利益を齎している。
そのせいか、この国は戦争に巻き込まれず、周辺国家からは「この国が打撃を受ければ、自分の国も損を被る」とまで言われている。
因みにアンネさんから得た貴族情報では、王都の王様は相当なやり手らしく、自国の豊富な資源を周辺国家に甘い蜜として注いでいるそうだ。
この国で得られるのは、何も資源や安全だけではない。
王都は夢を得る土地と言われていて、その夢を掴み取る為多くの冒険者がダンジョンに潜り、多くの商人が商館を構え、軒を連ねる都市だ。
王都で夢を勝ち取った者は少なからずいるという所がこれに更に拍車を掛ける。
ダンジョンから伝説級の剣を持ち帰り、英雄と称される冒険者。王都に店を出し、大成した大金持ちの商人。
そんな夢を求めて人が集まり今の王都が成り立っているわけだ。
史上では、1000年前に起きた大戦で、英雄と呼ばれた人物が建国した国らしい。神に賜ったこの国を統べ、人類を繁栄の道へと導いたとされている。
カナンでもあった「ミールの祝祭」のミールはその英雄の仲間だったそうだ。
そんな王都に向かっている俺達一行は、目の前に流れる大きな川を前に一時休憩を取ることにした。
王都に向かうのは、俺、サテラ、ミリエラ、モミジ、ハルウ、ナーヴィである。
コクヨウとショウゲツ、犬神と大鬼の配下達は、有事の際には前回の様に出動してもらうかも知れないが、今回は大森林にてお留守番中である。
というのも、人族と生活を共有するにあたって、彼ら彼女らにはそれの取り纏めをして欲しかったからだ。
男性陣からはブーブー言われたが、女性陣からは何も言われなかった・・・というか心ここにあらずだった。恐らくカナンで買ってきたお土産が功を奏したのだろう。
そうなると、俺の身辺に空いている者といえば・・・自然と何時も隣にいる天狼達になるわけだ。
ユキも行きたそうにしてたが、全員から「順番」と言われ、泣く泣く引いていた。
しょげ返っていたユキにはこれでもかと言うくらいには撫でてきてあげた。撫で終わったあとはフニャフニャになっていたし文句はないだろう。
それを羨ましげに見ていたハルウ達は努めて無視した・・・ユキには特別にしてあげたからな。
陽の光に晒されてキラキラと光り輝く川を見ていると、川の淵に座り、思い悩んだ顔をしているサテラと、傍で何も言わずにジッと座っているミリエラが目に入る。
二人は言葉を交わすことなく、唯川面を見つめている。
サテラの方は何か言おう言おうと、口を開いているが、言葉が出ないのだろう何度も口を噤んでしまう。
ミリエラはそんなサテラに何かを聞くでもなく、話しかけるでもなく、唯傍に座っている。
ミリエラの肩に座っている精霊は、サテラの方を心配そうに見守っていて、時折羽をパタパタと動かしてはミリエラの方も見やる。
相変わらずハルウ達は俺の傍から離れようとせず、狼の姿のままうつらうつらと夢の世界に飛び立ちかけている。
ユリィタさんから聞いた話によれば、サテラの家は非常に強い権力を負った「騎士爵」と呼ばれる貴族位についているそうだ。
曰く、王や貴族を守る「騎士爵」の中でも最上位に位置するほどに力を持った貴族で、王都の兵士の多くはその貴族・・・『レェベン家』が握っているのだそうだ。
そんな騎士爵の家に生まれたのがサテラってわけだ。
と、サテラが一度大きく息を吸い込み、吐き出す。目を閉じて、数秒、次に開けられた目には何かを決意した様相が浮かんでいた。
「私の家はね。かなりの権力を持っているの・・・権力だけじゃなく武力もね」
サテラが呟き始める。
ミリエラはそんなサテラに目を向けて、真剣な眼差しでサテラを見つめている。
「私は自分の家は立派だと信じていたわ。私の剣技は兄に習ったもので、父も相当な力を持った剣士なの。そんな家族に・・・そんなレェベン家に誇りを持ち、騎士とはなんたるかを胸に刻んだつもりだったわ」
決意を秘めたサテラの目は、しかし、悲愴に彩られていた。
「あの時まではね」
サテラは膝を抱え、その膝に顔を埋め、声を震わせる。
「昔王都で一つの組織を壊滅させた事があったの。その時に私達も駆り出された。予想以上に組織のメンバーの数が多く、多くの人が犠牲になった」
サテラの声が先程よりも震えを帯びる
「私も王都を守るレェベン家として、そこに立ったつもりだった。でも違った・・・」
サテラが嗚咽を漏らす。
「私の家は・・・私が目指した『騎士』なんかじゃなかった。貴族や多くのお金を貢いだ商人を守る『貴族』がいたわ。目の前で倒れゆく人々を無視して、そんな人達だけ身を守る」
そこで言葉を一度きり、大きく息を吸う。
「私は言ったわ。目の前で苦しんでいる人達を助けなきゃって・・・でも父から出た言葉は『何を言っている、我らは王都を守っているのであってこんな場所を守っているのではない』だったわ。目の前で苦しんでいる人達を見捨てる・・・なんでって思ったわ」
ミリエラがサテラに手を伸ばしかけ、止める。
「そしてスラムから逃げ出してきた人が、こっちに走ってきたわ。助けてくれって・・・それを、レェベン家は冷たく突き放した。『民を守るための騎士』なんてそこにはいなかった!!」
そして、とサテラはそこで言葉を区切る。
「後になって、助けを求めてきた人達の死体が、スラムにあったの・・・助けを求め、助けを拒んだ私達を恨むように、憎しみを孕んだ表情をして、彼らは死んでいたわ。・・・・・・・・・それで、私は家を出たの」
サテラは一頻り話し終え、膝の中に顔を埋めたまま、動かなくなった。
サテラの膝の下、地面には一点だけ濡れている。
ミリエラ何も言わずに、そっとサテラを抱き寄せる。
頭を撫でるミリエラに、けれどもサテラは何も言わない。
「・・・ミリエラ、私どうすればよかったんだろう」
サテラは告げる。ミリエラに問う。
ミリエラに、騎士として・・・貴族として誇りもっていたサテラの気持ちがわかるはずもない。その誇りを打ち砕かれたサテラを包み込めるような、癒せるような言葉は見つからない。
唯、頭を撫で続ける。
ミリエラは困ったような顔でこちらを見てく・・・うん?
こ、ここで俺にパスですか!?
ちょっと俺には荷が重いような。
『里で彼女に火をつけたのが貴方だから期待しているんじゃないかしら』
大役・・・仰せつかりました。
とは思ったものの、俺だって前世は一般人なんだよ。貴族様の気持ちなんてわかるはずもないし、平和な世界で生きてきた俺にそんな重い話を包めるほどの言葉の持ち合わせはない。
ここは・・・知識を総動員して臭い言葉を吐くしかない!!
ハルウ達が周りを囲む中、サテラに歩み寄る。
それに続いて、ハルウ達も俺の後ろについてくる。
「・・・貴族は見栄、貴族は権力を引き入れる。どんな綺麗事を言っても、貴族はそんな生き方しかできない」
その言葉に、サテラは俯いてしまう。
ミリエラは驚いたような顔を浮かべ、次いでなんでそんな事を言うのって怒った顔をする。
「でも、俺はそんな生き方よりも、サテラが誇りに思った騎士の方が好きだよ」
その言葉にサテラは顔を上げる。
「これからはそんな誇り一つで、目の前に立つ人々を守っていって欲しい」
サテラはキラキラとした瞳を送ってくる。
やっめてくれ、パクリなんだよ!かんっぜんにパクリなんですよ!!そんなキラキラした瞳で俺のことを見つめないで、心が痛い!!
どっかの流浪人の様にかっこいい言葉を吐いてみたが、正直ものすごく恥ずかしい・・・。
「・・・・・・・・・」
「え、えっと・・・サテラはミリエラを守ったじゃん。それでいいんじゃないかな?お父さんやお兄さんの見栄を張って評価を気にする『貴族』より、綺麗で真っ直ぐで人々を守る『騎士道』を貫こうとするサテラの方がかっこいいよ」
ディーレがグッジョブと親指を立てているのを無視し、ハルウ達がどことなく尊敬した目をしているのもこれまた無視する。
「そっか・・・。私の騎士道を貫く・・・ね」
サテラは目を瞑り、微笑みを讃える
「カナンでは迷惑いっぱい掛けられたから、王都では私がいっぱい迷惑かけるね」
「ど、どんとこい!!」
サテラは青い空を見上げた。
灯りに灯された部屋の中、一見すれば殺風景な部屋の中は、魔法や魔道具での盗聴・監視を防ぐ魔道具によって守られている。
一歩部屋を出れば、扉の横に並ぶ石衛兵達が静かに出迎える。
この部屋に腰を据えてから何年経ったかなど覚えていない、
廊下に出て、窓から外を眺める。
殆どが整備もされていないボロボロの家、小汚い服を纏い空虚な瞳をのぞかせながら歩く人々に、何時もの事かと息を吐く。
自分が住まう家とは隔絶された世界。法から隔絶された無法の世界。
「・・・・・・!?」
「・・・・・・・・・!!!!」
通りを歩いていた何処にでもいそうな少女が、通りすがった者の金品をスリ取る。
それに気づいた者が、少女を追いかける。ここに住む者は全てがそういった事に慣れている・・・少女が捕まり、風を切り裂くように拳が振られ、少女が軽々と吹き飛ばされ、壁に激突する。
やがて、それが少女だと気付いた者が下卑た笑みを浮かべる。
ここでは女子供は搾取の対象であり、または捌け口にもなる場所なのだ。
これもまた何時もの事と窓を眺めていると、廊下からカツカツと靴を履いた者が歩み寄る音がこだまする。
数は三人、内二人は武装しており、剣と鞘が打ち鳴らす微かな金属音を周囲にばらまいている。
この場所では金属音を鳴らすだけで、周囲における搾取の対象から外されるのだから常時武装するのは当然の事だ。
しかし、一人だけそんな音を立てず、二人よりも衣擦れの音が若干多い者がいる。
やがて、三人が自分の下まで歩み寄り、先頭を歩いていた女はそのまま徐に口を開く。頭を下げないなんて・・・やはり教育というのは大事ですね。
「どうしますか?」
「何時もの様にやりなさい」
「畏まりました」
その遣り取りを終えると、女の両脇に立っていた武装した者達が離れていく。
くすんだ緑色の髪、死んだ魚の様な目には眼鏡を掛けており、ダボったいローブに身を包み、ローブの隙間から一瞬見えたがワンドを腰に下げているようだ。
「もう少し良い顔ができないものかねぇ?」
「不可能です。無駄な話はそれぐらいにして、例の件で話がございます」
取り付く島もないようだ。
氷点下を超える真顔で返され、この館の主であるはずなのだが、身震いしてしまう。
ふむ。例の件とはあれのことかな?
「カナンに追放したデイドリッヒですが、処刑が確定しました。『黒翼』も完全に潰されたようです」
「ふむ・・・して、カナンの被害は?」
「・・・・・・ほぼ0です」
ふむ。自分も歳を取ったものだ。幻聴が聞こえたらしい・・・。
この女が自分に嘘をつくわけがないし、真っ先に疑うは自分の耳だ。
正直言ってしまうと、黒翼などどうでもいいのだ。デイドリッヒなど自分の頭を散策し、再び散策して漸くそんな奴が居たなというレベルである。
しかし、組織は組織だ。
それなりの規模があり、それが壊滅したという事は、壊滅させた側にも甚大な被害が出ているはずなのだ。
「ふむ。すまないな、最近耳が遠くて、もう一度聞かせてくれないかねぇ?」
「被害はほぼ0です」
「ふむぅ。どういう事だい?」
組織を壊滅させたというのに・・・被害はほぼ0だって?そんなの有り得ない・・・いや、有り得る事象はあるのだが。
「つい最近カナンにやってきた実力派の冒険者に壊滅させられた模様です。方法は不明・・・ですが魔族がリーダーであり、『金色』という二つ名を得たそうです」
「・・・・・・・・・ふむ」
組織を壊滅させたのは少なくともAランク級の冒険者・・・それも魔族となると『階位』持ちやも知れないな。
街に被害を出さずに壊滅させるとは・・・余程入念な作戦が練られたか、はたまた持ち前の強さを活かして即効制圧したか、もう一つは考えたくないが組織側が雑な計画を立てていたかだ。
しかし・・・入念な作戦を練ったとしても被害がないというのはおかしいし、幾ら強くても強行作戦に出たのなら被害は出るだろう。
考えられるのは最後だけか・・・それにしても被害が0はおかしいな。
「・・・ふむぅ。接触は図れますか?」
「相手の力量がわからない今、危険かと愚考します」
「何も戦えと言っているわけではない。一通り観察した後、もう一度戻ってきなさい」
「・・・承知致しました」
「ふむ。後帰りに甘味を」
「行ってまいります」
そう告げると彼女は踵を返し、自分に背を向けて歩き始める。どうやら、甘味は買ってきてくれそうにない。
長い廊下から、彼女が姿を消した後、もう一度窓の外を眺める。
先程下卑た顔を浮かべていた者達は、首を切り離され、事切れていた。
そして、これまた、何時もの事と何の感情も浮かんでこない・・・いや、黒翼を壊滅させた者に少々興味を引き摺りながら。
「ふむ。指が疼きますねぇ」
男は笑みを浮かべ、廊下を後にした。
サテラの正体が判明しましたね・・・王都ではサテラさんが大暴れ!!する予定はないですが、メインはサテラとなります。
ハルウ達にもスポットを当てて冒険させていきましょう!!
ということで新章『王都冒険編』今後の展開に乞うご期待でございます!!
何か変なところ、見にくい、誤字だ!などがあればどしどし教えて頂けると嬉しいです。
(言い換えでこういうのがありますよなどが合ったら教えてください。例:取得→習得、思いやる→慮る、聞こえる→耳に届くなど)
感想や活動報告の方にコメント頂けると私の気力になりますので気軽にどうぞ!!
※活動報告がどうやったら見れるのかわからなかったと読者様から聞き及びました。
方法は一番上にある?「作者:砂漠谷」の名前を押していただくと、私は左上に出てきました。
わからないことがございましたら、どんな些細なことでも構いませんので質問送ってください!!




