初めての共同作業(意味深)-15
あぁ…。地面の温かさが心地いい…。
って、やってる場合か!!こんなの二人三脚じゃないでしょ!!
「小雪さぁぁぁぁん!!!引き摺ってますよぉぉぉ!!??」
「大丈夫!!私達一位だよ!!」
そういうことじゃないんだって!!勝敗云々じゃなくて今この状況が問題なんですよ!?
全力で引き摺られながらも、既に後ろにいた阿吽の呼吸コンビの様子が見えた。
…気持ち、分かりますよ。こんな状況見たら唖然としますよね。
二人三脚という形をとった、拷問のようなものが全校生徒に晒される。
しかし私も伊達に何回も引き摺られてはいない。一番被害が少なくなるようには努めている。
引き摺られ慣れてないと身に付けられないスキル。こんなに嬉しくない技能は初めて。
もうゴールまでは恐らく後10メートルほどか。他には何もいらないから早くゴールしてくれ…。
「ラストは派手に決めるよーッ!!ヤッフゥゥゥゥ!!!」
テンションが爆上げな小雪さんが、普通のゴールで満足するわけがなかった。
引き摺られていた身体は、突如急激な浮遊感に襲われる。
私の目は、叫びながら拳を突き上げて大ジャンプしている小雪さんの姿を捉えていた。
さっきまで0距離だった地面が、あんなに遠くに…。
「もう、嫌、です…。」
私の悲痛な感情をそのまま言葉にした音は誰に聞こるわけでもなく、無情にも空間に消え去る。
そしてどんどん地面は近付いてくる。こればっかりは私も死ぬんじゃないですかね。
「一位はもらったぁぁぁぁ!!!」
小雪さんの熱い叫びと共に私達の身体はゴールでラインを越えたところで地面へと降り立った。
…何故か、足が繋がった状態でお姫様抱っこをされながら。
あの高さを、私を抱えながら片足で完璧な着地。
「ご、ゴール…。」
ゴールを判定する体育委員の生徒の気の抜けたコール。
…巻き起こる大歓声。片手で私を支えながらそれに応える小雪さん。
「一位だよ、陽菜ちゃん!!『準決勝』も頑張ろう!!」
「え」
疲弊しきった私に止めの一言が聞こえたような気がしたんですが…。
「今のは一回戦なので、またやっていただくことに…」
「棄権しますッ!!!!!!!!」
多分、私史上一番の大声であり、絶叫。
こうして私の体育祭は幕を閉じたのであった…。
「色々な意味で凄かったです。あれは果たして二人三脚と言えるのかどうか…。」
「自分があの立場だったらと思うと、寒気がしました。」
「日向はよく生きていたと思う。普通だったら死んでるだろ、あれ。」
※競技後の目撃者インタビューより、抜粋




