初めての共同作業(意味深)-終
「いやー、楽しい体育祭だったね!!最高の思い出になったよ~!!」
「ある意味では思い出に残りましたけどね…。」
リレーを初めて全力で走ったけど簡単に抜かされて、二人三脚ではこれ以上ないくらいの辱しめを受けて…。
今思い返すと酷いものですね。こんなに記憶に残る体育祭は初めてですよ。
「まぁまぁ。クラス総合一位だったんだから、いい思い出だよ。何より宿題も無くなったし!」
私達のクラスは、小雪さんの超人っぷりから全学年の総合一位だった。当然と言えば当然ですが。
秋月さんもなかなか運動神経が良かったのが思わぬ発見でしたね。あの小さな身体でよくやれると素直に感心できます。
「陽菜ちゃんは楽しくなかったのー???私は超☆楽しかったよ!!」
「…まぁ、楽しくなくは、なかったです…。」
楽しかったか楽しくなかったかで聞かれれば、答えは言わなくても分かるだろう。
今までの体育祭なんて、記憶にも残っていないのだから。今日のことは一生記憶に残り続けることだろう。
私の言葉を聞いて、小雪さんは嬉しそうに何度も頷く。
「だよねだよね!!私も陽菜ちゃんと一緒に行事楽しめて最高の気分だよ!!」
…そこまで言われると、こっちまで少し嬉しくなってしまう。今日起きたことでいいことなんてあんまりなかったはずなのに。
尚も嬉しそうにピョンピョン跳ねたり、走り回ったりする小雪さん。
それを見て、つい吹き出してしまう。どうしていつもこの人はこんなに楽しそうで、幸せそうなのか。
だから、私が言うべき台詞はきっとこれしかないだろう。
「…ありがとうございます、小雪さん。」
引き摺られた、死ぬ思いもした、訳分からない体勢でお姫様抱っこもされた。
でも、これだけは言える。この人がいなかったら、それ以上に苦しいものだったに違いないと。
どうせ一人で見てるだけだったと、最悪サボったりもしていただろう。
私の数少ない高校の思い出を作ってくれたのは、紛れもなくこの人なのだ。
「!!…もう!そんなにストレートに言われたら流石の小雪さんも照れるよ~!!陽菜ちゃんったら、プレイボーイだね☆ミ」
ボーイでは間違いなくないですけどね。
小雪さんが照れるのは珍しい。いつもおどけているからこういうシーンはレアショットだ。
一頻り照れたポーズをとったところで、小雪さんは何かを思い付き私に近付く。
その手には、さっきまで使っていたあるものが握られていて…。
「私は感動した!!陽菜ちゃん!!もう一回二人三脚して友情を確かめ合おうよ!!」
「え」
って、もうつけ始めてるし!?嫌ですよ!!もう二度とやりたくないです!!
「ちょ、本当に待っ」
「私達がいっちばーん!!!超特急でいくよーッ!!!」
もう何度目かも分からない制止を華麗にスルーして、小雪さんは一瞬で加速する。
一瞬見えたのは、困ったような顔をした秋月さんと呆れた顔の西園寺先生。
「…前言、撤回、です…。いつか殺す…。」
地面との過度なスキンシップを受け入れつつ、そう心に誓った。
続く




