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第6話 悪役豚貴族はダイエットを始める


「はぁ、はぁ・・・・・・よし、今日の目標はクリアだな」


 その場に座り込み、大きく息を吐いた。

 限界ギリギリまで追い込んだので、かなり消耗している。


「やはり最初は痩せやすいな」


 自分の身体を見て、思わず笑ってしまう。

 この世界に転生してからまだ3日しか経っていない。

 つまり、ダイエットを始めてから3日なのに、既に体重がそこそこ落ちているのだ。

 もちろん、目標を達成するにはまだまだ減らす必要があるし、後になればなるほど体重は落ちにくくなってくる。

 だが、体重が落ちているのを実感するとやる気が湧いてくる。


「ぷはっ、生き返るな」


 カップに入っていた液体を一気に流し込む。

 爽やかな酸味と香りが疲労感を和らげてくれる。

 コッホに用意してもらったレモン水である。

 なぜこんなものを飲んでいるのかというと、レモン水は疲労回復以外にもダイエットの効果もあるのだ。

 食前に飲むことで糖質の吸収スピードをゆるやかにすることができる。

 ビタミンCがコラーゲンの生成を助け、糖質代謝を促す働きも期待できる。

 今の俺にとって、必要な飲み物なわけだ。


「よっこらせ、と」


 床に手を突き、身体を起こす。

 以前はできなかった動きもできるようになった。

 それだけでも痩せた実感がある。

 だが、消耗が激しいのも事実だ。

 ただ立ち上がるだけでもまだ息を切らしてしまう。

 この程度で息を切らすようでは、死亡ルートから脱するのはまだまだできないはずだ。


(グググ・・・・・・グラッ)

「おっと、やっぱりまだ無理か」


 上半身を低くしながら、膝を曲げていく。

 だが、臀部が太ももぐらいの高さまでしか落ちていない状況でバランスを崩してしまう。

 咄嗟に椅子の背を掴み、どうにか倒れなかった。


「スクワットすらできないのか」


 少し悲しくなってしまう。

 前世の俺なら簡単にできていたことが今はできないのだ。

 情けない気持ちで一杯である。

 だが、考え方を変えてみよう。

 今はできないかもしれないが、このままダイエットを続けていけばできるかもしれない。

 新たなことができるようになるのはモチベーションに繋がるはずだ。

 前向きに頑張っていこう。


「・・・・・・まだ余裕があるな」


 自分の身体を確認する。

 初日と2日目は少し筋トレをしただけで、身体を動かせなくなった。

 だが、今日は目標の回数をこなしても、まだ身体を動かす余裕が残っているのだ。

 ならば、他にやるべきことを始めるのも良いだろう。

 ダイエットと筋トレだけでは死亡ルートを回避できないはずだ。

 この世界で生き残るためにはある技術が必要になってくる。

 その技術は前世の俺にはないものなので、早めに学ぶ必要があるだろう。

 しかし、残念なことにどこでそれを学べるのかわからなかった。


「やっぱりあそこか?」


 共有しているポールの記憶からある場所を思いついた。

 といっても、彼にとってはあまり縁のない──むしろ苦手と言っていい場所のようだ。

 まったくといって近づこうとはしていなかった。

 だが、俺がその技術を手に入れるために必要なものはそこにある可能性が高い。

 少し不安はあるが、行くべき場所なのは変わりない。


「よし、行くか」


 意を決して、俺は部屋から出る。

 思い立ったが吉日、新たな技術のためにとある場所に向かうことにした。







個人的には柑橘系が結構好きです。

レモン水って飲みやすいですよね。


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