第34話 悪役豚貴族は継母の思いを聞く
「えっと、エリーゼさんは俺のことを嫌っているんですよね?」
継母──エリーゼさんに質問する。
流石にこの状況で継母呼びはあれなので、ポールの共有している記憶から名前を思い出した。
実父からはリーゼと呼ばれているらしいが、そこまで親しくない俺から呼ばれたくはないだろう。
「別に私は嫌っていませんよ」
「はい?」
予想外の反応に俺は呆けた声を漏らす。
屋敷の全員──特に家族からは毛嫌いされていると思っていた。
「私たちは家族なんですよ? どうして嫌うことがありますか」
素晴らしい考えである。
だが、家族だからと全員に好かれることは難しいと思う。
現にシオンはポールのことを嫌っているし・・・・・・
「だって、俺は貴女とシャトンのことを害そうとしたんですよ? 嫌われて当然ですよ」
「それは4年も前のことでしょう。たしかに、あの当時はあなたのことを疎ましく思うこともありましたが、あなたも私のことを嫌ってもおかしくはないと気づきました」
「どういうことですか?」
彼女の言葉に俺は首を傾げる。
一体、何を言っているのだろか?
「実の母親を亡くしたばかりなのに、見ず知らずの私とシオンが家族として迎え入れられたのです。あなたからすれば、自分の居場所を奪われたと思って当然でしょう。そうなれば、排除しようと思うはずです」
「・・・・・・」
かつてのポールの心情を理解してくれているようだ。
本物のポールなら、この言葉を受け入れることができ──そうにないな。
悪役豚貴族と呼ばれた彼なら今からでも追い出そうとするだろう。
「ですが、今のポール君なら大丈夫でしょう。私たちと本当の家族になりませんか?」
歳暮のような優しい笑みを浮かべ、エリーゼさんが提案してくれる。
これが大人の女性の母性だろうか?
思わず甘えてしまいそうになる。
だが、俺は首を横に振る。
「いえ、それは無理です」
「どうしてですか?」
「俺が貴女とシャトンにしたことは許されないことです。貴女が許したとしても、俺は罪の意識に苛まれます」
「・・・・・・」
俺の言葉にエリーゼさんは考え込む素振りを見せる。
どうにか反論しようとしてくれているのだろう。
しかし、これはあくまで俺の気持ちである。
彼女にどうこうすることができない。
しかも、理由はこれだけではない。
「それに本当の家族の中に異物がいるのは駄目でしょう」
「異物、って何のことですか?」
エリーゼさんが理解できていないような反応をする。
当事者なのにわかっていないのだろうか?
「俺のことですよ。この家で俺は家族になれない異物でしかないでしょう」
彼女からすれば、俺は血のつながりのない他人である。
シオンやシャトンとは血のつながりはあるかもしれないが、あくまで半分だけである。
俺こそがヴァイス侯爵家の異物であるわけで──
「何をいっているんですかっ!」
「っ⁉」
いきなりの大声に俺は驚いてしまう。
それは他のメンツも同様だった。
周囲の視線がすべてエリーゼさんに向かう。
彼女は怒った表情で俺のことを睨み付けていた。
目の端に涙を浮かべていた。
作者は血が繋がっていなくても、家族は愛すべきだと思います。
あくまで個人の考えです。
作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。
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