第29話 悪役豚貴族は決闘のルールを確認する
俺たちは談話室から庭に再び移動する。
決闘をするのに室内は流石に狭すぎたからだ。
「じゃあ、三本勝負で二本先取した方が勝ちで良いか?」
「三本勝負? 一発勝負じゃないのか?」
提案にシオンが怪訝そうな表情になる。
俺からの言葉だからこそ、警戒しているのだろう。
まあ、そういう風に警戒するのは悪くはない。
もしかすると、相手が騙そうとしているかもしれないからな。
今回の場合はそんなつもりはないが・・・・・・
「一発勝負であれば、その時の運にも左右されるだろうからな。あとで文句を言われないように三本勝負にしたのだろう」
「そういうこと」
実父は俺の意図に気づいているようだ。
一本勝負で俺が勝利した場合、あとでごねられる可能性があるのだ。
それを避けるために三本勝負を提案したのだ。
まあ、あくまで理由の半分ではあるが・・・・・・
「一本を取るのはどういった判定にするんだ?」
「え?」
「具体的に決めないと、取った取ってないと問題になるだろう」
「それはそうだね」
実父の指摘に考えが甘かったと思わされた。
【MGF】で学園で何か問題が起こったとき、決闘で解決することがほとんどだった。
それを元に提案してみたいだが、判定を決めることは考えていなかった。
一体、どうすればいいのだろうか?
「考えていたいのなら、クリーンヒットで良いだろう」
「クリーンヒット?」
「そうだ。簡単に言えば、攻撃が直撃すれば一本と判定するわけだ。それぐらいじゃないと、命を落とす危険もあるからな」
「まあ、そのぐらいが妥当か」
実父の提案に納得する。
【MGF】の決闘では体力を全て削れば勝利になるが、相手の命を奪うまではやっていなかったはずだ。
今回の子供同士の決闘でも命を落とすまでやるのはやりすぎだろう。
クリーンヒットが妥当である。
「では、俺が審判をしよう」
「え?」
「当たり前だろう? 審判がいなければ、一本の判定で揉める未来が見えるからな」
「それもそうだね」
言っていることは最もだった。
審判がいなければ、確実にシオンは文句を言ってくるはずだ。
勝負事はフェアで行くべきだが、まだ子供の彼には難しいだろう。
敵だと認識している俺に対しては特にな。
「シオンもそれでいいか?」
「うん、いいよ」
実父の確認にシオンはあっさりと答える。
早く決闘で俺を倒したいと思っているのだろう。
敵意の視線が俺に突き刺さる。
「決闘で勝ったら、俺に何を命令するんだ?」
「あ?」
「お互いの要求を通すために決闘をするんだ。何か命令したいんだろ?」
戦う前に聞いておきたかった。
内容によっては負けてあげることも視野に入れないといけない。
だが、その必要はないようだ。
「僕が勝ったら、お前は家から出て行け」
「何を言っているの、シオンっ⁉」
息子の言葉に継母が反応する。
まさかそんなことを言うとは思っていなかったのだろう。
実父も何か文句を言おうとしていた。
だが、その前に俺が口を開いた。
「了解だ。シオンが勝ったら、その命令を聞いてやるよ」
「良いのか?」
受け入れたことに実父が反応する。
俺の意図を計りかねているようだ。
「別に良いよ。ようは勝てば良いだけだからね」
「お前が良いのなら尊重しよう」
実父は思ったより素直に受け入れた。
ポールの記憶の中にある彼よりだいぶ優しい気がするな。
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