第26話 悪役豚貴族は賭けに勝利する
「シャトンが天才であることは事実としよう。それがどうして暴走に至ったんだ?」
実父が困惑した様子で質問してくる。
天才であることは認めないと話が進まないとわかっているようだ。
「半分は俺のせいだよ」
「半分?」
言い方が気になったのか、実父は怪訝そうな表情を浮かべる。
だが、そこは今どうでもいい。
「シャトンは俺と一緒に魔法の訓練をしたがっていたんだ。最初は受け入れていたが、【属性魔法】の訓練を拒否したら暴走したんだよ」
「なぜポールと魔法の訓練をしようとしたんだ?」
やはりそこに引っかかるか。
普通に考えれば、嫌われている俺と魔法の訓練をしようと思わないだろう。
しかも、それが俺からの説明であれば、信じられないのも仕方がない。
「そこがもう半分だ。シャトンがまだ幼いからという理由で魔法の訓練をさせなかったんだろう? たぶん、何度も頼んでいたはずだ」
「・・・・・・」
思い当たる節があったのだろう。
実父は黙ってしまう。
だが、俺はこのまま説明を続ける。
「魔法の訓練ができないと言われた矢先、俺が魔法の訓練をしているのを見かけたみたいだ。俺だったら一緒に魔法の訓練をしてくれると思ったみたいだ」
「4歳の子供に魔法の訓練をさせて良いと思っていたのか?」
「思っているわけないでしょ。脅されたから、仕方なく一緒に訓練しただけだ」
「脅された?」
責められそうになったので、真実を口にする。
俺が危ないことをしているのがバレるが、背に腹は代えられない。
「俺とフィエラは我流の魔法訓練を行っていたんだ。それが危険もあるから、「バラされたくなかったら一緒に訓練をしろ」ってね」
「そういえば、ポールは魔法の授業を受けていなかったな。まさか独自で訓練しているとは・・・・・・」
素直に驚いた様子だった。
放っていた子供が自分で魔法の訓練をしているとは思わなかったのだろう。
本来、魔法は指導者から学ぶ必要のある技術である。
それを独自に学んでいたのだから、驚いて当然である。
「状況は理解できた。だが、まだわからないことがある。シャトンが魔力の暴走を引き起こしたようだが、どうやって抑えたんだ?」
実父が真剣な表情で聞いてくる。
やはりそこは突っ込まれるか。
魔力の暴走は感情の高ぶりによって使用者の限界を超えた魔法を発動してしまう現象である。
強力な力を放出する反面、使用者にも過剰な負荷がかかってしまう。
魔力の暴走を止める方法は2つある。
一つは、魔力の暴走の負荷に耐えきれず、使用者が亡くなってしまう場合だ。
魔力の源がなくなれば、暴走することがなくなるわけだ。
もう一つは暴走のために必要な魔力がなくなった場合である。
結果としては前者と同じであるが、使用者が命を落とさないという点では違う。
これが俺の使用した方法である。
「シャトンから魔力を吸収したんだよ」
「吸収?」
理解ができなかったのか、実父はそのまま聞き返してくる。
まあ、普通は使わない方法だろう。
俺もフィエラの話を聞いてなかったら、思いつかなかった方法である。
「獣人が気を持っていない子供に気を与える方法の応用だよ。接触した状態で魔力操作をすることで、シャトンから俺に魔力を移動させたんだよ」
「そんなことができるのか・・・・・・」
「まあ、一か八かだったけどね。上手くいって良かったよ」
賭けは俺の勝ちだったわけだ。
炎に包まれて熱い思いをした甲斐があったわけだ。
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