第21話 悪役豚貴族は妹と再会する
魔法の訓練を始めて、1週間が経った。
シャトンの提案を受け入れ、俺は【全体強化】をしながら訓練を行った。
最初は30秒程度しか動けなかったのが、今では10分近くは動けるようになった。
寝る前に全ての魔力を消費しているのも要因かもしれない。
魔法を使えるようになったおかげで魔力を消費できるようになり、魔力保有量を増やせるようになったのだ。
「・・・・・・シャトン様はもう来れないんですよね」
フィエラが少し悲しげな表情にする。
令嬢とメイドの関係ではあるが、仲が良かったのだろう。
俺の訓練について、色々と話していたのを覚えている。
「シオンが俺に近づけようとは思ってないからな」
義弟が俺を嫌っているのは1週間前の出来事で確定している。
しかも、その原因の被害者となったのがシャトンである。
シオンが近づけようと思わないのは当然である。
「ポール様は良い子になっていますよ」
「そんなことはわからないからな。あいつにとって、俺は妹を傷つける糞野郎に変わりはないんだよ」
「・・・・・・」
俺のことを褒めてくれるのは嬉しい。
だが、それを理解してくれるのは俺に近いからだ。
縁遠くなった者からすれば、信じられないことだろう。
元々、俺とシャトンは関わるべきではなかったのだ。
離れたことを気にせず、今は訓練をすべきだろう。
「何をきにしているのかしら?」
「「っ⁉」」
いきなりの声に驚いて振り向いてしまう。
そこにいたのは──
「「シャトン(様)っ⁉」」
──いるはずのないシャトンだった。
驚いたフィエラが口を開く。
「どうしてここに?」
「ここは私の家なんだから、当然でしょ?」
「そういうことではなく・・・・・・」
シャトンの答えにフィエラは戸惑っている。
だが、俺はすぐに事情を把握した。
「抜け出してきたな?」
「え?」
俺の指摘にフィエラが反応する。
予想外の内容だったのだろう。
シャトンはニコッと笑みを浮かべる。
「当たり前でしょう? こんなに楽しそうなこと、やめられるわけないじゃない」
「だからといって、家族に心配をかけるのは良くないぞ」
「ポール兄様だって家族じゃない」
シャトンは反論してくる。
彼女にとって、俺は家族のようだ。
血が繋がっていても、そんなことを言ってくれるのは彼女だけだろう。
「俺だって心配はしているさ」
「ポール兄様が心配しているのは自分のことでしょ? 訓練ができなくなることによる不利益を被りたくない、って」
「・・・・・・」
思わず視線を逸らしてしまう。
シャトンの指摘は正しい。
彼女の身の安全も大事ではあるが、俺の将来も大事なのだ。
訓練を止めるわけにもいかない。
「ポール様・・・・・・」
味方であるはずのフィエラの視線が厳しい。
彼女にそんな目で見られるのは精神的にかなりキツい。
だが、これは俺の性でもあるので甘んじて受け入れよう。
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