第18話 悪役豚貴族は妹の才能に恐怖を感じる
妹がものすごく天才キャラになってしまった。
まあ、いいか。
(ダダダッ)
地面を蹴り、勢いよく駆ける。
【身体強化】のおかげで速く走ることができた。
おそらく素の身体能力ではここまで走ることはできないし、少し走っただけで節々に痛みが出てくるはずだ。
「っ⁉」
だが、すぐにまずいと気づく。
走るのをやめて、その場に止まる。
「はぁ、はぁ」
【身体強化】を解除すると、全身に倦怠感が襲い掛かる。
両手を膝に置き、激しく息を吐く。
かなり身体に負担がかかっているようだ。
「30秒ね。初めてにしては、もった方じゃないかしら?」
「まあ、そうですね。ですが、実践で使うには効果時間が短すぎます」
「たしかにね。効果時間が過ぎたら、疲れて隙だらけになった状態を狙われることになるわね」
「そうなれば、確実に命を落としますね」
俺の様子を見て、シャトンとフィエラが色々と評価している。
だが、決して良い評価ではなかった。
というか、魔法を使ってまだ間もないのに、実践について考えるのは早すぎないか?
「まあ、兄様の魔法の効果時間が短い理由はわかっているけどね」
「そうなんですか?」
シャトンの言葉にフィエラが首を傾げる。
理論はだからこそ、シャトンは俺の欠点に気づいたのかもしれない。
一体、それはなんなのだろうか?
「こうかしら?」
(ブワッ)
「「っ⁉」」
シャトンから魔力によるオーラが発生し、俺とフィエラは驚いてしまった。
彼女はまだ4歳で、魔法をまだ習っていないはずだ。
それなのに、まさか【身体強化】を使うとは思わなかった。
「お兄様より先に図書館の本を読み始めたの。まあ、まだ簡単な本しか読めていないけどね」
「もしかして、「基礎から始める魔法の使い方 第1巻」か?」
「そのシリーズは全部読んだわ」
「・・・・・・マジか」
妹の方が知識を持っているということだ。
そのことにショックを受けてしまう。
「といっても、実際に使うのは初めてよ。でも、良い気持ちね。身体が羽のように軽いわ」
嬉しそうに駆け回るシャトン。
その動きはまるで重さがないように軽く、空中も自在に動き回っていた。
俺の動きとは明らかに違う。
激しさだけで言えば、俺の動きよりも大きかった。
1分ほど経ち、満足したのか俺たちの近くに戻ってきた。
まったく息を切らした様子はなかった。
「さて、兄様と私の違いは何だと思う?」
シャトンが俺に問いかけてくる。
おそらく同じ【全体強化】を使って、どうしてここまで差があるのかを質問しているのだろう。
そんなものは簡単である。
いくら魔法の初歩しか学んでなくとも、理由は簡単に導くことができる。
「それぞれの【身体強化】に使う魔力の必要量の違いだろう?」
「正解」
俺の答えにシャトンは笑顔で答える。
顔が整っているので、笑顔も可愛らしい。
上から目線なのは気になるが・・・・・・
理論的には簡単な話である。
俺の重い身体とシャトンの軽い身体。
それぞれを動かすのに必要なエネルギーは大きく違う。
当然、俺の身体を動かす方がよりエネルギーが必要になってくる。
それは魔力に関しても同じというわけだ。
「じゃあ、今後の兄様に必要な訓練はわかる?」
「・・・・・・痩せれば良いんだろ」
「半分正解。痩せるだけじゃなくて、筋肉もつけないとね。まあ、色々とやっているみたいだから、大丈夫だと思うけど」
「・・・・・・」
彼女の言葉に何も言えなくなってしまう。
本当に4歳なのだろうか?
末恐ろしく感じてしまい、違う意味でポールの過去の所業に共感してしまった。
まあ、そんなことをするつもりは毛頭ないけど・・・・・・
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