第13話 悪役豚貴族は異母妹に出会う
訓練を終え、俺たちは屋敷に戻ってきた。
行きに比べ、帰りは意外と楽に帰ってこられた。
道に慣れたからだろうか?
「お湯の準備をしてきますね」
「ああ、頼む」
屋敷の中に入って、フィリアと別れる。
身体を清潔にするため、部屋に戻ろうとする。
(じぃ)
「ん?」
視線を感じ、俺は振り向いた。
廊下の先、少し離れたところにこちらを見ている何者かがいた。
以前も視線を感じたことがあるが、同じ人物だろうか?
気になった俺は近づいていく。
「何を見ているんだ?」
「っ⁉」
いきなり声を掛けられたからか、相手はとても驚いていた。
年齢は4、5歳ぐらいだろうか、まだまだ幼い少女だった。
黒髪のツインテールと可愛らしいドレスが特徴的だった。
ポールの記憶に彼女の情報もあった。
「俺に近づかないように言われていたはずだぞ、シャトン」
「近づいたのはポール兄様だもん」
俺の言葉にシャトンは頬を膨らませ、反論する。
彼女はシャトン=ヴァイス──ヴァイス侯爵と後妻の間に生まれた侯爵令嬢である。
つまり、俺の異母妹にあたる。
年齢はたしか4歳だったはずだ。
しかし、あまり良好な関係ではない。
なぜなら、彼女はポールの被害者になりかけたからだ。
「何のようだ?」
あえて冷たく問いかける。
俺と彼女が接近することを周囲は望んでいない。
それは俺の評判が上がった今でも変わりはないだろう。
「最近何をしているの、兄様?」
「・・・・・・」
まったく質問に答えてくれない。
まあ、まだ子供だから仕方がないのかもしれない。
どうしてこんなことを聞くのだろうか?
「使用人たちの間で兄様のことが話題になってるから気になったの」
「どうせ嫌みばっかりだろう」
「そんなことはないよ。「ようやく真面目になったのか」って言われてたよ」
「そうなのか?」
「大半は「何か悪いことを考えてるんじゃ?」って、警戒しているけど」
「・・・・・・素直に喜ばせてくれよ」
大半からはまだ警戒されているようだ。
元々がかなり悪いので、それは仕方がないのかもしれない。
「で、何をしていたの? 出かけていたみたいだけど?」
「魔法の訓練をしていた」
「魔法っ⁉」
「うおっ⁉」
いきなり近くで大きな声を出され、驚いた声を出してしまった。
正直、情けない反応だっただろう。
「どんな訓練をしたの? なんで外で訓練をしたの? どんな魔法が使えるの?」
「待ってくれ。そんなに一気に答えられない」
彼女の矢継ぎ早な質問に思わず止めてしまう。
いきなり叫んだことに注意しようとしたが、そんな余裕もなかった。
一体、何が彼女の琴線に触れたのだろうか?
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