第11話 悪役豚貴族は魔力の集中と拡散を学ぶ
「だいぶ感覚が掴めてきたかな」
訓練を始めて1時間が経ち、俺は自然と魔力の流れを感じられるようになった。
それはまるで血液のように全身に流れている。
まあ、血液の流れを感じたことはないので、その例えがあっているのかはわからないが・・・・・・
「では、次の段階に進みましょうか」
「ああ、そうだな」
フィエラの提案を受け入れた。
一応、「基礎から始める魔法の使い方 第1巻」は持ってきている。
次にやるべき内容が書いてあるはずだ。
【魔力の流れを感じられるようになったら、次はその流れを操れるようになりましょう。
魔法を使う際、魔力を集中する必要です。
そのためには魔力の流れの操作をする必要があります。】
「魔力の流れの集中か」
右手を見ながら、そう呟いた。
俺のイメージとしては、片手を前に出してそこから魔法を放つ姿である。
つまり、右手に魔力を集中させ、そこから魔法を放つわけだ。
想像してみると、結構カッコいい気がする。
だが、説明の続きがあることに気がついた。
【ですが、この技術は決して安全なものではありません。
自分の限界を超えた魔力の集中は身体に悪影響を及ぼします。
なので、必要以上の魔力集中は行わないようにしましょう】
「魔力の過集中、ってことかな?」
説明を読んで、簡単な言葉で表現してみる。
普段は全身を流れている魔力を一点に集中することでその場所の限界を超えてしまう可能性があるわけだ。
そんなことになれば、たしかに身体へ負担になるだろう。
下手したら、魔力の流れを破壊することで二度と魔法を使えなくなるなんてことにもなりかねない。
まあ、これはあくまで俺の想像ではあるが・・・・・・
「気にもそんな悪影響があるのか?」
ふと気になって、フィエラに質問する。
魔力と同じようなものであれば、似た問題もあるかもしれない。
「私の知る限り、そんな失敗はありませんね」
「そうなのか?」
だが、返事は予想外のものだった。
多くはなくとも、まったくないとは思わなかった。
「使用者のほとんどが獣人なのも原因でしょうね」
「どういうことだ?」
「獣人は感覚的に気を扱う者がほとんどです。つまり、気の流れの操作も感覚的に行うので、自然と過集中というミスは避けることになります」
「ああ、なるほど」
説明を聞いて、すぐに納得することができた。
獣人は感覚派なのだろう。
フィエラの説明を聞いたとき、擬音ばかりで理解できなかった。
それも彼女が感覚派だからだ。
もちろん個人差もあるだろうが、【身体強化】で気を扱うのだから感覚派である方がイメージに合う。
「なにか?」
「・・・・・・いや、なんでもない」
フィエラに冷たい視線を向けられる。
失礼なことを考えていると思われたのかもしれない。
こういう勘が鋭いのも感覚派っぽい。
だが、俺は感覚派ではなく、どちらかというと理論派である。
おそらく魔力の集中の上限を感覚的に把握することはできないだろう。
繰り返し訓練することで限界を見つけないといけない。
「少しずつやってみるしかないな」
決意した俺はその場に座り込む。
全身に流れる魔力を右手に集中させていく。
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