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鬼畜な悪役豚貴族に転生したので、生きるためにシナリオから逃れます  作者: 福音希望
第二章 鬼畜な悪役豚貴族は家族と交流する
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18/20

第1話 悪役豚貴族は専属メイドと筋トレする


「98、99、100っ! よし、できたっ!」


 腕立て伏せを目標の回数こなし、俺は床に身体を投げ出した。

 腕の筋肉がパンパンで、呼吸も乱れている。

 だが、目標の回数をこなしたことに清々しい気持ちに満ちていた。


「お疲れ様です。レモン水をどうぞ」

「ああ、ありがとう」


 フィエラに感謝の言葉を告げる。

 受け取ったレモン水を口に含むと喉に染み渡るのを感じる。

 爽やかな味と匂いが心地よい。


「だいぶスムーズに動けるようになりましたね。見た目も良くなっていますよ」

「元々の見た目が悪かったからな」


 彼女の言葉に思わず嫌みな言い方をしてしまう。

 ポールは【悪役豚貴族】なんて呼ばれるほどのキャラである。

 性格が悪いのは当然ではあるが、見た目の方もかなり醜悪である。

 元々が悪いのであれば、少し痩せるだけでもマシになるわけだ。


「そういうことではありません。そもそも私は元々の体型も好きですよ」

「気休めはよしてくれ」


 フォローしてくれているのだろうが、醜悪だったのは理解している。

 同性から見ても不細工なのに、異性からの評価などさらに酷いだろう。

 見た目の整っている彼女なら尚更である。


「気休めではないですよ。たしかに太っているのは不健康かもしれませんが、柔らかい肉は触るのが気持ちいいです。そういう意味では悪くないですよ」

「そ、そうか?」


 予想外の褒め言葉に照れてしまう。

 太っていることに対して悪いと思っていたが、違う見方をすれば良いように見えるのかもしれない。

 そう考えれば、太っていることもあながち悪くもない──


「柔らかい肉は美味しそうですよね」

「・・・・・・」


──と思っていたが、勘違いだったようだ。

 まさか食用として褒められているとは思わなかった。

 たしかに柔らかい肉は美味しいが・・・・・・

 思わず冷たい視線を向けてしまう。


「あっ⁉ 別にポール様のことは食べませんよ。 いくら犬の獣人でも人肉は食べませんよ」

「それなら良いが・・・・・・」


 俺の視線に気づき、フィエラが言い訳をする。

 まあ、彼女は俺のことを褒めようとしてくれたのだろう。

 ただその言葉の選択がまずかっただけである。

 流石に彼女が人肉を食べるようなサイコパスだとは思っていない。


「さ、さあ、筋トレの続きを始めましょう。次は腹筋です」

「ああ、そうだな」


 フィエラは露骨に話題を変えようとする。

 人肉を好むようなサイコパスと思われたくないのだろう。

 内容自体はあれだが、自分の評判を気にして取り繕うとしているのは可愛らしい。

 こういうところは年相応の少女なのだろう。


「こちらにどうぞ」


 準備のため、しゃがみ込んでいるフィエラ。

 彼女に足を向けて、仰向けに寝転がる。

 そんな俺の足を彼女が押さえてくれる。


「いくぞ」

「どうぞ」

「1、2、3・・・・・・」


 腹筋を開始する。

 今の俺の体型では1人で腹筋できない。

 そのため、押さえてもらう補助が必要なのだ。

 そういう意味では、彼女が専属として戻ってきたのはありがたい話だった。







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