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第13話 悪役豚貴族は執事長から提案される


「さて、お休みの前に一つだけ」

「なんだ?」


 リブラとの話が終わった直後、セバスが話しかけてくる。

 まだ何かあるのだろうか?


「今回の一件、何が原因で起きたと思いますか?」


 セバスはまっすぐ問いかける。

 真正面からの問いに、俺を非難するためではないとわかる。


「・・・・・・俺がフィエラを異動させたことだろう」

「その通りです」


 素直に答えると、セバスは頷く。

 彼の思っていた通りの答えだったようだ。


「ヴァイス侯爵家でポール様の立場は非常に低いです」

「・・・・・・はっきり言うなぁ」


 オブラートに包まれずに言われたくはなかった。

 知っていることとはいえ、改めて言われるのは精神的にきつい。

 だが、本題はここではないだろう。


「そんなあなたにクビにされたのですから、フィエラの立場はさらに低くなります」

「クビにしたつもりはないぞ」


 内容は理解できるが、俺は彼女をクビにしたつもりはない。

 むしろ俺の専属という罰から解放したと思っていた。

 だからこそ、彼女が次の仕事を得られるように指示を出したのだ。


「ポール様の思惑がどうあれ、フィエラが専属の任を外されたのは事実です。周囲からすれば、蔑む対象になるわけです」

「今までクビになったやつは他にもいるだろう」

「屋敷に残っているのは彼女だけです」

「っ⁉」


 セバスの指摘に自分の失敗に気づく。

 俺が次の仕事を与えるように指示したせいで、フィエラはこの屋敷に留まることになってしまった。

 その結果、俺からクビにされた底辺の存在が屋敷にいる状況を作り上げてしまったのだ。

 しかも、彼女はまだまだ身分の低い獣人である。

 それが相まって、あのような虐めに繋がったわけだ。

 つまり、完全に俺のせいだ。


「で、何をすれば良い?」


 俺が原因であることは理解できた。

 彼女のために何かすべきなのだろう。

 だが、それが何かはまったくわからない。


「フィエラを再び専属にしましょう」

「なんで? 俺の専属とかただの罰だろう?」


 セバスの提案に思わず反論してしまう。

 たしかに虐めを受けたのは問題だが、俺の専属もあまり良い待遇ではない。

 お詫びにすらならないだろう。


「いえ、現状では専属であることがフィエラのためになります」

「そうなのか?」

「はい。今回の一件で「ポール様に危害を加えると罰を与えられる」と使用人たちに認識されたはずです」

「まあ、そうだろうな」


 4人もメイドが辞めさせられたのだ。

 その情報が真実であるのは誰の目にも明らかだろう。

 だが、それがどう繋がるのだろうか?


「ポール様の専属ということは庇護下にいることになります。つまり、フィエラに手を出すということは──」

「俺に対して敵意があるってことか」


 ようやく何が言いたいのか理解できた。

 腐っても貴族の俺の立場を使い、フィエラを守れというわけだ。

 たしかにお詫びになるだろう。


「その通りです。あと、もう一つ理由があります」

「これ以外にあるのか?」


 思いつかず、首を傾げてしまう。

 フィエラを守る以外にどんな理由があるのだろうか?


「ポール様本人がわざわざ調理場に訪れたりするのはあまり外聞がよろしくないです。用がある場合はフィエラに頼んだりして、直接訪れるのは控えていただきたいです」

「・・・・・・」


 当然の指摘に反論すらできなかった。

 本来、貴族なら直接調理場に行くなどしないだろう。

 いくら嫌われ者の悪役豚貴族でも専属の使用人が必要ということだ。







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